危ない二人と災厄と4
ファミレスで昼食を食べ上げた後は竹中がまだ行く所があると言うので着いていくとエアガンを専門に売っている店に着いた。そこで竹中が色々ブツブツ言いながら色々と購入した後は二人とも特に用も無かったので俺達は家路に着くため再び駅に向かって歩いていた。
「いやあ、いい買い物したな~」
「お前ミリオタだったのか」
「別にミリオタってわけじゃないけどね。それに色々なことに手を出していても損しないしね」
「色々ねえ」
アニメにゲームにモデルガン。こいつ趣味多いな。小学校から一緒だがこいつのことは今だによく分からない。
「それでさクロードこの銃はね………」
また数の増えた袋から出し始めたな。
「おい、ここで出したら銃と間違えられて銃刀法違反で捕まるぞ」
とまあ、言ってる俺も日本刀を近頃は振り回しているわけだから決して人のことはいえないんだが。
それから俺達は電車に乗り、元来た駅に戻ってきた。
「なんか疲れたな」
「いやあ充実した一日だったよ」
「そうだな」
「じゃあクロード、またね」
「ああ、またな」
またな、か。
竹中とは高校も違うからいずれは会うこともなくなって、今日みたいに一緒に出かけることもなくなるんだろうな。
腐れ縁ではあるがなんか寂しいな。ま、これが自然か。
さて、帰るか。途中はどっかで食料品も買っていかなきゃな。
「えっ!」
驚きあまり素っ頓狂な声を上げてしまった。
瞬きをした瞬間、先ほどまで人の喧騒などで騒がしかった駅に静寂が訪れ、そこにいた人達も跡形もなく消え去っていた。
「クロノスの仕業、だな」
間違いようもない。ここ数日無理矢理体験するハメになったクロノスの特殊空間ってやつだ。
やれやれ始めるか………
ポケットから刀のキーホルダーをしたところで思い出した。
つい癖でポケットから出したが、今日の朝クロノスのやつ、もうグール狩りしなくていいとか言ってたな。
ならやることもないし、ここは誰もいない空間ってやつを散歩でもしてみますか。
というわけで俺は思いっきり公道のど真ん中を歩き、人がいない街を散策し始めた。
……う~ん、本当に人のいない町並みってのも改めてみると気持ち悪いほど不自然だ。
この界隈は都会ってほどじゃないけどまあまあ人も多く通るし、普段なら結構賑わっている通りだ。だが、これほどまでに静かだとまるでどこかの猫型ロボットの鏡の世界に入ってような感じだ。
でもこの空間は嫌いじゃない。こういう人の喧騒がない静かな場所にいるとなぜか落ち着く。一人になりたい時はこの空間はぴったりだな。
辺りを見回しながら歩いているとバックの外ポケットの方がもぞもぞしていることに気づいた。
どうやらポケットに入れていた探知機が反応しているらしい。
だが今の俺には関係ない。クロノス皇帝陛下直々に手伝わなくていいって言われたんだ。別に無理してしゃしゃり出る気は毛頭無いね。というか手伝えって言われてもこの腕輪さえなかったら絶対手伝わないんだが。
グール探知機を無視してゴーストタウン化した我が街を歩いているといきなり爆発音がした。距離からして近く。
――――クロノスか。
あいつもドンドン騒がしいやつだ。人がせっかく静けさの中で物思いに耽っているっていうのにもうちょっと静かにやれないものだろうか。
あ、そうだ。ついでにこの腕輪外してもらおう。どうせもうグール狩りしなくていいとか言ってたし。
俺は爆発音のする方へと軽い気持ちで向かった。
この後、何が起こるかも知らずに。




