モノローグ:失ってしまった平穏
この世界には知らなくていいことがたくさん存在する。
悲しく嬉しくもたまたまその『知らなくていいこと』を知ってしまった人間は俺の経験上ドラマやアニメとかのフィクションでは大体抹殺されるか、その当事者になってしまうかのどっちかだ。
俺の場合は後者だった。
そうあのバカのせいで俺は首を突っ込むことになってしまったのだ。かなりめんどくさいことに。いや、むしろそれより酷いかもしれないことに。
ああ、今思い返すだけでも頭が痛くなってきた。
神様が本当に存在するとしたらなんて災厄を俺に放ってくれたものだろうか。
もしかして俺が無宗教だからいけないのか?
でも一応、仏教国日本に生まれた俺だ。葬式とかお盆とかにはちゃんと数珠とか持って参列したりしたぞ。
まあなんにせよ、世界ってヤツは本当に理不尽極まりない。普通の善良なる一般市民たる俺にこんな災厄をよこすのだから。
さあ俺はこれからどうな――――
「あ、クロード。醤油切れてる」
……さあ俺はこれから――――
「ねえ、醤油取ってきて」
「ちょ、うるさい! 今モノローグ中! 話しかけんなって」
「な、なに意味分かんないこと言ってるの」
――――とこのようにモノローグ中に話しかけてくるようなKY野郎だったりする。このバカは。
これ以上話しかけられて真剣な空気をぶち壊されても困るので早急にまとめるが、要は俺の身に災難が起きたって事は分かってほしい。
そうあれは―――――
「醤油まだ~」
………コホンッ。
――――一週間ほど前のことだった。
アドバイスや感想など、書いてもらえたら助かります。