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もてるのも大変なんですよー

美青年視点。

もしかしたら早々に書き直すかもしれません。ごめんなさい。

さっそくお気に入り追加ありがとうございます。

つたない文章ですがよろしくお願いします!


「ごめんねー、俺お昼まだなんだ」


 にっこりと有無を言わさない笑顔でそう言うと、女の子は頬を染めて走って行った。


 なんとなく、今までの勘でいけばあれは俺に告白をしようとしていたのだと思う。いや絶対そうだ。危ない危ない。下手するとお昼を食べる時間がなくなるところだった。


 思ったよりあっさりと女の子がひいたことに少しほっとしながら目的の場所に行く。



 目的の場所、というのは中庭のことで、お昼だけでもゆっくり過ごしたいという願いを受け入れてくれた皆様のご厚意のもと基本的に立ち入り禁止区域となっている。


 というよりも、一日中女の子がべたべた付きまとい、ご飯も安心して食べられない状態に限界がきて、一度だけ派手に切れてしまったのだ。女の子相手になんて大人げないことをしてしまったのだろうと後悔はしている。うん、でも我慢できなかったんだ。しかし、それからお昼はゆっくりと過ごさせてもらっているので良かったといえば良かったのだが。


 立ち入り禁止といっても特にうるさく言っている訳ではなく、暗黙のルールでそうなっている。中等部と高等部が隣り合っているため小さな中庭は変わらず俺の場所、という訳だ。



 昼休みだけでも有意義な時間があるのは俺に遠慮してくれている女の子たちのおかげで感謝しなくては、


 というのはもちろん嘘で、


 てゆーか、俺なんか相手にしなくてもいいのに。


 実を言うとこっちが本音である。



 女の子は確かに好きだ。思春期まっさかりの男子だし、そりゃあ女の子が寄ってきてくれるのはうれしいし、告白されればそれなりに付き合う。いくら白馬の王子様のようと言われても中身はただの高校生なのだ。


 

 だけど、・・・だけど!


 そんなぎらぎらした目でこられると怖いものは怖い。

 女同士のどろどろした感じもどうも苦手だ。なんでいじめにまで発展してしまうんだ。

 一日中べったりとした視線を感じていると精神的にもまいってくる。

 

 男たちは女にもてるなんてうらやましい。と、嫉妬混じりの視線を寄越してくるが、そんなにいいものじゃない!とぜひとも言いたい。


 普通の恋愛がしたい、なあ。





 ため息をつきながら購買で買ったパンを片手に歩く。


 もういい、とりあえず何も考えなくていいや。

 今日は部活がないから授業が終わったら早く帰ればいい。

 女の子に声を掛けられても上手くかわせばいい。用事だと言えばそう簡単に引きとめたりしないだろう。


 そう思いながらいつもの定位置に向かおうとしたとき、足が止まった。



 ―誰か、居る。



 短いスカートが豪快にめくれている少女がベンチに寝転んでいた。スパッツを履いているので残念ながらパンチラという訳にはいかないみたいだ。ううん、とうなりながら寝返りがうてるほど細っこくて小さい身体。俺が寝ると身動きがとれなくなる、そんな小さいベンチなのに。


 ベンチの下には小さなお弁当箱が放り投げられていた。どうやらお昼ごはんを食べに来たようだ。まだ、食べてはいないみたいだけれど。


 なんでこんなところにいるのか、とぼんやり考えながら少女を眺める。


 苦労も何もしてなさそうな真っ白い肌。イメージとしては美術部で絵でも描いてそうな感じ。運動は苦手そうだと推定。

 そして染めたこともないだろう黒い髪。

 顔は整ってはいるが特別綺麗という訳じゃない。かといって不細工なわけではない、たぶんどこにでもいるような普通の顔。



 ここが俺の場所だというのは内部の人はみんな知っている。外部から来た人もおそらく脅しともとれる忠告を受けているはずだ。




 よっぽど自分に自信があるのか、何も知らない哀れな子羊か。




「―――この子はどうなんだろうね?」

 ぽつり、呟いた。


 俺の場所だと分かって来ていても、分かっていなくてもそんなもの大して関係ない。問題はそのときの反応。


 頬を染めて恥ずかしがったり、ぱくぱくと口をあけて赤くなったり、甘ったるい声でなついてきたら適当にあしらえばいい。そんなのもう見慣れた反応だ。



 願わくば、普通の反応を返してくれる普通の友達が欲しい。


 

 目の前でのんきに眠りこけている少女の髪に触れながら、青年はとろりとした甘ったるい笑顔を浮かべた。





顔は美形なのに中身が普通の子と何ら変わりないっていうの大好きなんです。

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