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3.剣精◯◯◯◯◯との契約 後編

厨二病は最強!!!!

変なテンションになってます、ごめんなさい

俺は勢いよく扉を開けて、中にいる彼女にまくし立てた。

「今の音はいったい?!」

「やばいのが出た!馬車じゃ逃げられない!」

無礼かどうかなど今はどうだっていい。


「では、どうやって…」

「馬車を捨てる、君を乗せて馬だけで行く」

もうそれしかない。このままじゃ全員まとめて魔物のエサだ。

(――そんなのはごめんだ!!)


「さあ早く、あの二人が時間を―」

彼女を外に引っ張り出そうとしたときだ。

外套がめくれて顔があらわになった。


翡翠の瞳、赤い瞳孔―

この瞳を持つのは世界でもほとんどいない。

(こいつ、上位精霊じゃねぇか!)


精霊の中の最上位種。

滅多に現れない希少個体であり単体で魔物と渡り合う強さを持つという本物の化け物。

(上位精霊は精霊と人類の切り札、普通なら国家が保護するはず―)

こんな場所でこんな扱いを受けるなどあってはならないはずだ。

「君は―」

疑問を投げかけようと彼女と目を合わせた瞬間だった。

体の奥底から溢れ出る熱を感じた。


その感覚とともに、昔の記憶も引きずり出される。


――思い出した。

精霊契約は、魂を結ぶものだ。


何よりも必要なのは、お互いの波長が同調すること。

それを知る最も原始的な方法が――目を合わせること。


目は魂の入口だ。

扉を向き合わせた魂は、否応なく反応する。


(――これが、感応か)


「―あなたも感じていますね」

頭の中に直接声が響いてくる。

それと同時、周りの音も遠くなっていった。

(精霊契約の印が、俺とこいつの魂を繋いでるんだ)


「魂の会話では感覚が引き延ばされます」

「とはいえ時間がありませんので手短に」

俺の返事も待たずに、彼女はそのまま続けた。


「あの二人では、あそこにいる魔物には勝てません」

「ですが、正式に契約を結んだ私たちならできます」

一切の躊躇もなく、いきなりそんなことを言い出した。


「契約の手順は知っていますね、では今すぐに契約を―」

「馬鹿言うな!お前は俺に死ねというのか!」

たまらず彼女の言葉を遮った。


色んなことが起きすぎて混乱している。

(俺が精霊契約?しかもあの化け物を倒すだと?)

彼女の言ってることはまるで理解できなかった。

言ってることに現実味がなさすぎる。


(それになにより―)


「前にも言ったが、俺は今まで精霊と契約できなかったんだ!」

「お前とだってうまくいかないに決まってる!」

怒り、困惑、恐怖、俺は感情のままに言葉をぶつけた。

「仮にできたとしても、いきなりあんな怪物を倒すなんて―」


「できます」

「私なら…いえ、私たちならできます」


俺の怒号も泣き言も、一切の躊躇なく切り捨てた彼女は―

俺の目を見てまっすぐと言い放った。


「これは運命です。ならば後は委ねるしかありません」

彼女の目、言葉には一切の曇りはなかった。


(―こいつは本気なんだ)

本気でできると、勝てると言っている。

()()()としか呼ばれなかったこの俺を信じてくれている。


(腹括るしかないってことか…)

彼女の言葉通り、本当に最初から決まっていたのだろう。

だったら―


「後悔しても遅いからな!」

「しませんよ。あなたにも後悔させないと誓いましょう!」


俺は右手の甲に刻まれた精霊契約の術式に、魔力を込めた。

「契約の証を持って、契約者アルが問う。汝の誓いをここに」

「契約者アルに捧ぐ、我が名はエルナビス、剣の上位精霊にして汝の運命なり」


「「今ここに、精霊の誓いを結ばん!!!」」


遠ざかっていた音が戻ってきたとき、

俺の右手と彼女の左手には、同じ紋章が刻まれていた。



「アル、いきますよ」

彼女が差し出した手を掴み、俺は咆えた。

「ああ、ぶちかましてやろうぜ!」


馬車から飛び出た視界の端で、ダルに向けて狂爪が落ちてくるのが見えた。

「アル、私に合わせて魔力を流してください!」

「わかった!」


相棒の言葉を信じ刻印を通して魔力を流すと、彼女からの魔力の流れも感じた。

「剣精エルナビスの名において―」

詠唱とともに眩い光が放たれた。


その時ふと思い出す。

精霊契約では精霊の力を借りて戦うのだが、彼女の特性について何も聞いてなかったのだ。

(剣の精霊ってことは、とんでもなく強い剣を出してくれるのか?)

光がどんどん俺へと収束していく。そして―

「抜刀!!!」


彼女が叫ぶと同時、狼の左前足は宙を舞っていた。


その光景を見ながら違和感に気づく。

俺の手に彼女の剣は握られてはいなかった。

俺は何も持っていないし斬ってない。

それどころか、体が透けてやけに軽い。


「おい、エルナビス、これはいったいどういう…」

振り返って見た彼女の姿に言葉を失う。


「アル、あなたは本当に素晴らしい契約者です!」

エルナビスの手には、先程まではなかった一振りの剣が握られていた。


「数多の剣を見てきましたが、これほどの逸品は初めてです!」

「これが正式な精霊契約の力なのですね!」

その言葉で事態を察することができた。


―どうやら俺は、彼女の剣になっているらしい。


「いきますよ、アル!共に勝利を掴みましょう!!!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ???」


頑張りました。

ようやく二人の物語が始まりますね。

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