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2.引き裂く風

筆が乗るって怖いですね

お付き合いくださる皆様には感謝しかありません。


『私と、同じですね』


昨晩の彼女の言葉が胸に引っかかったままだった。

理由も分からず、だが無視するには妙に重い。


気づけばクセルまであと半日の距離まで来ている。

この森の街道を抜ければ、目的地は目と鼻の先だ。


馬を休ませるために小休止を取ることになったが、意識は自然と馬車へ向いていた。

街に入れば話す機会はもうないだろう。


それでも、このわだかまりだけは残したくなかった。


(一言だけだ。たった一言聞ければいい)


意を決して扉を叩こうと息を吸った、その瞬間だった。


背後の茂みから、こちらを狙う気配を感じた。

(――魔物の群れだ)


「カリナ、ダル、気づいてるか?」


「当たり前でしょ!」

カリナは剣を構え、余裕すら感じさせる声で返す。


「いつも通りやるぞ!アルは馬車を守れ!」

ダルが斧を構えた、その直後だった。


ガルゥ!!!


茂みを突き破り、二十を超える魔物が一斉に躍り出た。


「大丈夫ですか?!」

馬車の中から、焦った声が上がる。


「あの二人なら大丈夫です!だから絶対に出ないでください!」


風の中位精霊と契約する二人は、嵐そのものだ。

ダルの斧が振るわれるたび轟風が吹き荒れ、魔物をまとめて吹き飛ばす。

その隙を逃さず、突風を纏ったカリナの剣が次々と急所を貫いていく。


相変わらずの強さだ。

安心すると同時に、これが最後だと思った俺はただ見惚れていた。


(結局、最後まで俺の出番はないな)


そう思った、その時……


オオオオォォン――


木々の奥から、轟音と地響きが同時に迫ってきた。

次の瞬間、へし折れた木々を吹き飛ばしながらそいつは姿を現す。


土埃の中佇んでいたのは――

馬車の倍近い巨体を持つ、漆黒の狼だった。


「コイツは……、中位の魔物じゃねぇか!」

ダルの叫びと同時に、カリナが叫ぶ。


「アル!護衛対象を連れて逃げなさい!」


その一言で、状況は嫌というほど理解できた。

(――俺たちじゃ、勝てない)


選択肢は一つだった。

巨大な狼に立ち向かう二人を背に、俺は馬車の扉に手をかけた。


テンポは大事にしてます。

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