15.救いの剣
構成が迷子になって遅くなりました。
今回は頑張って書いた戦闘シーンなのでお楽しみに!
エナから精霊契約について教わった翌日―――
俺たちは鉱山都市アルバスに到着した。
だが、門を前にしてすぐ異変に気づく。
「……おかしいな」
本来なら開いているはずの関所の門が、固く閉ざされている。
城壁の上に目をやると、配置されている兵の数も異様に少ない。
(おまけに騒がしいな……)
「…………」
エナは門を見上げたまま、しばらく黙り込んでいた。
「なあ、エナ――」
「これからどうする?」
そう声をかけた瞬間、なぜか彼女は俺の方へ手を伸ばしていた。
「……おい、待て待て!!」
「申し訳ありませんが、時間がありません」
「ちょっ―――」
「―――抜刀」
彼女の言葉と共にあたりが光に包まれる。
制止する間もなく、俺の身体は剣へと変えられた。
次の瞬間―――
エナは俺を握ったまま、片手で城壁の凹凸を捉え、一気に見張り台まで駆け上がった。
「お、おい! 何者だ!」
当然、見張りの兵に気づかれ、槍を向けられる。
だがエナはそれを意にも介さず、視線を一点に固定していた。
「アル、あれを」
彼女が北側を指差す。
「ああ……煙だな」
鍛冶屋や炊き出しのものとは明らかに違う。
黒く濃い煙が立ち上っていた。
「け、剣が……喋った……」
「貴様ら、一体何者だ!」
動揺する兵士たちの声が飛び交う。
中には敵意が高まる者もいた。
だがエナはそんなことは意に介してないようだった。
「アル、すみませんが超特急で向かいます」
「え、それって―――」
答えを聞く前に、景色が弾けた。
ギュン、という音とともに、視界が一気に流れる。
見張り台の側面を蹴り、屋根へ、さらに次の屋根へ。
(こいつ……!!今まで相当抑えてたな!!)
二、三、四――
わずか五回の跳躍で、都市の反対側の門へ到達していた。
「やはり……」
エナが怪訝な顔をするが、その理由は明白だった。
眼下では、大型のアリ型魔物が十匹ほど、兵士たちと交戦している。
だが状況は明らかに悪い。
(アリが押してるだと……)
虫型魔物は知能が低く、通常なら兵士でも対処可能だ。
だが、この統制――。
「これは……」
俺の疑問は、エナの動きによって遮られる。
空中で、彼女は大きく剣を振りかぶった。
「おい、今度は何を―――」
次の瞬間、
「さあアル、殲滅の時間ですよ」
エナは俺を――投げた。
「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
グサッ!!
最前線のアリの頭部に、剣が深々と突き刺さる。
「それでは」
落下の勢いを殺さず、城壁を足場にして俺を掴み取り、
そのまま振り抜く。
アリの頭部が宙を舞った。
「どんどんいきますよ!」
地面を蹴り、兵士たちに迫っていたアリへと躍りかかる。
一閃、二閃。
(……楽しそうだな)
声が明らかに弾んでいる。
瞬く間にさらに三匹を切り伏せた、その時――。
ビュッ。
何かが噴き出す音。
「エナ!後ろだ!」
俺の声に反応し身を翻す。
振り返った彼女の背後で、緑色の液体が地面を溶かしていた。
液体が飛んできた方を見ると、
残ったアリたちが列を成し、腹部をこちらへ向けている。
(やっぱり妙だ……統制が取れすぎてる)
「アル、考え事は後です」
その言葉と同時、酸が一斉に放たれる。
だが――
エナはその隙間を縫うように踏み込み、
スパァン!!
横薙ぎの一閃で、まとめて叩き斬った。
「あと一匹は――」
そう呟いた瞬間だった。
ボゴォ
地面が盛り上がり、背後からアリが姿を現す。
ビュッ
至近距離から酸が放たれる。
(避けられない――)
その瞬間、
エナは――俺を庇うように身体を捻った。
ジュゥゥゥ……
岩とも土とも違う、嫌な匂いが漂う。
「エルナビス!!!」
「大丈夫です」
明らかに無事ではないのに、声は冷静だった。
次の瞬間――
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
一気に距離を詰め、切り上げの一閃。
アリは真っ二つに裂け、沈黙した。
戦闘終了を確認し、エナは俺を人の姿に戻す。
「エナ! 大丈――」
言葉が詰まる。
背中の左半分と、左腕が焼け落ちていた。
「問題ありません」
「魔力で構成しているので、痛みは感じません」
「だからって問題ないわけないだろ!」
だが彼女は、俺の言葉を制するように視線を向ける。
「それよりも……」
「彼らをなんとかしなとですね」
振り返った先には――
俺たちへと剣先を向ける、兵士たちの姿があった。
できるだけ更新しますので見捨てないで....




