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11.魔王と剣精

ブルーアーカイブって楽しいですね。

ケイちゃんのことはわかりませんが楽しいことはわかります。


あの後のことは、正直よく覚えていない。

ただ風を切り裂く感覚と――

内臓が置いていかれるような衝撃。

それだけが断片的に残り、思考が追いつく前に意識はあっさり途切れた。


――次に目を開けたとき、視界いっぱいに誰かの顔があった。

近すぎて、一瞬距離感が掴めない。


「……起きましたか?」

聞き慣れた声に、ようやく状況を理解する。

俺は仰向けで、柔らかい感触に頭を預けていた。


「……エナ?」

声を出すと、喉が妙に乾いている。

視線をずらすと、頭上では木漏れ日がゆっくり揺れていた。

どうやら木陰で休んでいるらしい。


「大丈夫ですよ。少し気絶していただけですから」

さらりと言われたが、頬に当たる風は温かい。

朝の冷たさはもうない。


「……少しって、どれくらいだ?」


ゆっくりと上体を起こしながら聞くと、彼女は特に気にした様子もなく答えた。


「日が高くなるまで、ですね」


その一言で、頭の中で時間が繋がる。

俺たちがクセルを旅立ったのは、まだ朝日が昇りきる前の時間帯だったはずだ。


(つまり――)


俺が意識を失ったあとも彼女は俺を抱えたまま、

真っ昼間になるまで全力で走り続けていたということになる。


「……で、ここはいったい?」


現実逃避気味にそう尋ねると、

彼女は「とりあえず」と前置きして、鞄から硬パンを取り出した。


「お昼にしましょうか」


その提案に逆らう気力もなく、俺はお湯を沸かした。

差し出されたパンを齧りながら改めて問いかける。


「結局、ここはどこなんだ?」


「クセルより北に進んだ平野ですよ」

「正確な地名までは知りませんが」


精霊である彼女にとって、場所の区別はあまり重要ではないらしい。


(まあ、それはいい。問題は……)


「で、北には何がいる?」

俺の問いに、彼女は一瞬だけ表情を引き締めた。


「……アルは、魔王についてどこまで知っていますか?」

若干呆れを含んだ声音に、俺は素直に答える。


「灰都の竜王と、二年前に討伐された蟹王くらいだな」


「残りが三体って言ってたよな、あと二体は?」


彼女はじっと俺を見つめてから、静かに説明を始めた。


「灰都の竜王は……もういいですね」

「残りの二体は――蟻王(ぎおう)と、樹王(じゅおう)です」


五年も旅人をやっているが、どちらも聞いた覚えがない。


「樹王は竜王と同じく、ほとんど動きません。ですから後回しです」


「蟻王は数ヶ月前、北の山脈の麓で発見されました」

「現在は、鉱山を巣にしているそうです」


淡々とした説明のあと、彼女はきっぱりと言い切る。


「虫は際限なく増えます」

「ですから、さっさと潰すに限ります」


「……なあ」

「俺たち、二人で行くって言ったの覚えてるか?」


「ええ、もちろんです」


彼女はなぜか嬉しそうだった。


「つまり……」

「蟻の大群がいる巣に、二人で突っ込むってことか?」


「なにか問題でも?」


即答だった。


「はぁぁぁぁ」

その狂気じみた返答に、俺は深くため息をつく。


「まあ、いきなりとは言いませんよ」

「道すがら、力の使い方に慣れていきましょう」


「それって、どういう――」

俺の疑問に対し、彼女は妙なことを言い出す。


「途中で会った行商人が言っていました」

「この辺りで、魔物の群れが出るそうです」

そう言って彼女は遠く指をさした。


「……は?」

その言葉の意味は、遠くに見えた黒い塊を見て理解した。

地平線の向こうで、何かが蠢いている。


「さあ、行きますよ!アル!」

彼女は俺に向かって手を伸ばす。


「剣精エルナビスの名において――」


光が視界を満たし、俺の体が剣に変わっていくのを感じる。


「待て待て!!」


「いいえ、待てません!」


彼女の目が、はっきりと輝いている。


「――抜刀!!!」


「話を聞けぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


俺の叫びも虚しく――

彼女は魔物の群れへと、音を置き去りにして駆け出した。


ブルアカのストーリーを見ると区切りの参考になりますね。

魔王種の名前はこれから出していきますので、楽しみにしていてください。

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