無能と蔑まれ魔法学園を追放された俺、実は規格外のチート能力を隠してました ~美少女たちに懇願されても遅い!今さら俺を英雄扱いすんな、もう俺には最強ハーレムがあるんで~
「アルス・クローネ。君は魔力適性が極端に低く、今後の成長も見込めない。よって、君を学園から追放とする」
無機質な声が講堂に響く。嘲笑する教師、憐れむ同期生たち。アルスは、その全てを無言で見渡すと、黙って踵を返した。
その日、最年少主席だった天才魔術師は、学園を追放された。
——もっとも、それは“予定通り”だったのだが。
「ふぅ……ようやく解放されたか」
辺境の町。騎士団もほとんど駐留していないこの地に、アルスは隠れ住むことにしていた。
「……さて。そろそろ本気を出すか」
彼は静かに呟き、手元の魔導書を開いた。そのページには、学園では禁忌とされていた“異世界の魔術理論”がびっしりと記されている。
アルスが追放された理由。それは魔力がないからではない。“魔力制御があまりにも高すぎて測定不能だった”からだ。
そして彼は隠していた。もう一つのスキル——
《魔導演算 EX》
それは、魔法理論を瞬時に解析・再構築し、常識を無視した魔術を現実にするチートスキルである。
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数日後。辺境にある古代遺跡での事件が、運命を変える。
「た、助けて……誰か……!」
遺跡に観光目的で訪れていた王都の貴族令嬢が、魔物の群れに襲われていた。
「無詠唱・多重展開・領域破壊」
アルスが放った言葉の直後、地面が振動し、空気が震える。
——ボゥン!!
漆黒の炎が魔物を焼き尽くす。全ての魔物が一瞬で消滅した。
「え……誰……?」
震える少女の前に立つ青年。懐から取り出したマントで、彼女の肩をそっと包む。
「怪我はないか?」
「……はい。あなたは……?」
「ただの元・学園生さ。追放された、無能のな」
その噂は、瞬く間に広がった。
「辺境で魔王級の魔物を一人で討伐した謎の男がいる」と。
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次にアルスの元を訪れたのは、赤髪の美少女剣士だった。
「お願いです!私を弟子にしてください!」
彼女、フィオナ・レインは王国でもトップクラスの剣術士だったが、ある事情で騎士団を抜け、強さを求めて旅をしていた。
「見ていてください。私のすべてを、あなたに捧げます」
——それは剣士としてだけでなく、ひとりの“女”としての決意でもあった。
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さらに数日後——
「アルス様!また女性が来ていますよ!」
「……また?」
日増しに増える美女たち。元聖女、王国魔法団の元エース、獣人族の姫……。
みな、かつての学園や王国で“力を持つが浮いた存在”だった者たち。
彼女たちはアルスの下に集まり、“最強の居場所”を築き上げつつあった。
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そして運命の日——
王都が、魔族の侵攻により陥落寸前となる。
アルスを追放した学園長と、かつて彼を蔑んだ王国貴族たちは、屈辱にまみれながら彼の元を訪れる。
「……頼む。アルス・クローネ。我が王国を、救ってくれ!」
アルスはゆっくりと椅子から立ち上がり、彼らを見下ろす。
「へえ……あれだけ『無能』って罵っておいて、今さら頼るんだ?」
その瞬間、学園長の顔が引きつる。
「だが、俺にとってはもう関係ない。今さら戻ってきてくれって言われても、遅いんだよ」
背後には、彼を慕う美少女たちの姿があった。
「さあ、行こうか。俺のハーレム——いや、《最強戦隊》の諸君」
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王都が崩壊の危機に瀕しているという知らせが、アルスの元に届いた。魔族の侵攻が始まり、王都の防衛線はすでに崩壊し、最前線の騎士団も壊滅状態にあるという。かつて彼を見下し、追放した者たちが、今やアルスに助けを求めてきた。
「……どうしても、助けてほしい。アルス、頼む」
学園長、王国の貴族、そしてかつて彼を蔑んだ王女が、足を引きずりながらアルスの前にひれ伏していた。かつての彼らの態度とはまるで違う。だが、アルスの表情は冷ややかだった。
「今さら頼むか。お前たちが俺を『無能』だと切り捨てたこと、忘れてないからな」
彼の言葉には一切の情けは含まれていなかった。
「けれど、俺にはもう戻る気はない。俺の仲間たちは、もう俺を必要としているからな」
彼が背を向けると、そこに集まったのは、あの美少女たちだった。
フィオナ・レイン――元騎士団の剣士、オリヴィア・ホーク――元聖女、リディア・アストリア――王国魔法団の元エース、さらにはシルフィア・フローラ――獣人族の姫。彼女たちは、皆、アルスに心酔し、忠誠を誓っていた。
「アルス様、私たちもお手伝いします。王国を救うために!」
フィオナが力強く言った。オリヴィアがうなずき、リディアは不安げに周囲を見渡しながらも言葉を発する。
「私も……王国を守りたいけれど、力不足です。でも、アルス様と一緒なら、きっと!」
シルフィアは静かに微笑みながら、アルスの隣に立った。
「私も、共に戦います。アルス様がいれば、どんな困難も乗り越えられるでしょう」
アルスはその言葉を静かに受け止め、ゆっくりと振り返る。
「よし。じゃあ、俺が行く場所は決まってる。お前たちは後ろからサポートしてくれ。今度こそ、あの王都を――そして、この世界を俺の手でひっくり返してやる」
その言葉に、彼女たちの目が輝いた。
「でも、アルス様、あなたは無敵の魔導士なのに、どうしてそのような決断を……?」
オリヴィアが困惑しながら尋ねると、アルスは微笑んで答えた。
「俺が“無能”だと思っていたのは、あの学園の連中だけだ。しかし、俺の真の力を見せつけてやるには、あの連中がどうしても必要だ。あいつらには絶対に勝たなきゃならない」
彼の意志は固かった。もう、王都の支配者である貴族たちに情けはかけない。今、アルスにとって大切なのは、仲間たちとの絆と、自分を無能だと思い込んでいた世界を変えることだった。
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王都。外壁が崩れ、魔物たちが侵入してくる中、アルスとその仲間たちは最前線に立っていた。
「《魔導演算 EX》……」
アルスの呟きと共に、空間が歪んだ。異次元の魔力が一気に解放され、空気が震える。瞬時にして周囲の魔物が一掃され、空間に亀裂が走る。
「無詠唱でこの威力……さすがアルス様です!」
「さすが、最強の魔導士!まるで何もかもを破壊していくような力!」
フィオナとオリヴィアは、その圧倒的な力に驚愕し、敬意を示す。しかし、魔族の王が姿を現した瞬間、状況は一変する。
「……貴様がアルス・クローネか?」
魔族の王、シャイダル。強大な魔力を誇り、今まで数々の王国を滅ぼしてきたと伝えられている存在。彼は冷徹にアルスを見つめ、続けた。
「貴様が無能だと言われていた魔導士か……面白い。だが、今更何をしても無駄だ」
シャイダルは手を一振りし、魔力を空間に解き放った。その圧倒的な魔力は、まるで天を引き裂くかのような威圧感を放っていた。
しかし、アルスは冷静にその言葉を受け止め、穏やかな笑みを浮かべる。
「俺を無能だと……?」
アルスの声が響いた瞬間、彼の周囲の空間が異次元の力で支配され、シャイダルの魔力を無効化した。
「俺が無能?ああ、確かに過去はそうだった。だが、今の俺はもう違う」
「無駄だ……!」
シャイダルが魔力を集結させ、アルスに向けて全力で放つ。しかし、アルスはその攻撃を指先一つで止めると、魔力の流れを完全に逆転させる。
「さようなら」
そして、アルスは一歩前に踏み出し、無詠唱でシャイダルに最終的な一撃を加える。
「《領域破壊》」
その瞬間、シャイダルの姿は消え去り、魔族の王は跡形もなく消えた。
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王都は無事に守られ、アルスはその後も仲間たちと共に圧倒的な力で世界の支配者となった。
「アルス様、私たち、あなたにすべてを捧げます」
フィオナがそう言ったとき、他の美少女たちも頷く。
「あなたがいれば、もう怖いものはありません。私たち、ずっと一緒にいますから」
そして、アルスはゆっくりと答えた。
「ありがとう。だが、俺はこれからも、自分の力で世界を変える。お前たちと一緒に、もっと素晴らしい未来を作るために」
これから、アルスの伝説は、終わることなく続いていくのだった。