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従者編

◆破壊神の影響

八大蛇に吹き飛ばされてしまった暁は、一朗太が妃果梨のように保護することとなった。

一方、妃果梨は体の回復が思うように進まず、現代医療ではどうにもならないとは思われたが、一縷の望みをかけ、大病院に入院することになった。

亜香里と命士たちは暁や妃果梨の様子を多忙の中時々見に行くことに。

暁は、一朗太にも亜香里や命士たちにも心を開かず、ただただ孤独な日々を過ごすようになった。それと対照的に、妃果梨は、多忙な亜香里たちを心配してくれた。


◆報道

その日、テレビのワイドショーでは、八大蛇が引き起こした災害についての話題が上がっていた。そこで、コメンテーターの男性と司会者の女性がこんなやり取りをしていた。

「あまり確証はないんですが、実は、この連続した災害にですねぇ、政府が対応するために特殊な組織を作ってですねぇ、それを支援しているという情報があるんですよぉ。」

「なるほど、そんな物があるんですね?私、初耳です。」

「しかし、現状を鑑みると、その組織は機能していないと思われますぅ。それを支援している政府の体制が問われる事態と思われますよぉ、この状況はぁ。」

その報道は、亜香里たちも、暁も見ていた。

「これって?私たちの事?」

亜香里は呟いた。

「へっ、よくは知らねぇけど、あいつらの事じゃねぇか?これ。叩きに行ってやる。」

暁も呟いた。その後、一朗太の神社を抜け出していってしまった。


◆脱走の後

暁の姿は、亜香里たちの所にあった。

「もう、大丈夫なの?」

亜香里は、暁の心配をした。

「こっちの心配してる場合かよ?見たかよ?お前たち、なんも役に立ってないってよ?どうすんだよ?」

「それでも、私は、私たちはやれることをやっていくよ。」

「はー!そうかよ!!」

その話に教宗が、割って入った。

「私たちのことはお前には関係のないこと、去れ!」

「へへっ、まぁー、役立たずの方が、俺としてはいいんだけどなー。」

「そうかもね、役立たずかもね。」

光輝が暗い顔をしてそれに反応した。

「天子と命士は、このまま、役立たずでいてくれよー?妃果梨様、八小蛇様、八大蛇様と一緒に世界をぶっ潰せなくなった今、お前らの失点を待つだけなんだからさー?ま、言いたいこと言えたから、あのおっさんとこ帰るわ。あのおっさんもたいがい鬱陶しいけどよー?」

暁は、高笑いしながらその場を去った。

「何だあいつ。」

晃が呟くと、亜香里がこう言った。

「で、ても、なんだか暁くんのああいう話、初めて聞いたような気がする。」

「けど、父さんのこと、『おっさん』呼ばわりはカチンと来た、俺。」

朝陽が憤慨した。亜香里はそれに返した。

「一朗太さんも大変かもね。」


◆対峙

八大蛇は、その日活動を開始した。当然それに対応するため亜香里たちも急行する。

「八大蛇様!この俺を!再び従者にしてください!!」

「ひ弱な従者よ、そなたは我には要らぬ。要らぬと言っておるのに、しつこいぞ!!貴様!!」

八大蛇は、暁に攻撃を仕掛けてきた。その攻撃を見て、亜香里は駆け出し、暁を庇った。

倒れる亜香里。誰からともなく上がる命士たちの「天子!」という叫びが辺りにこだました。


◆手負いの天子

亜香里は、命士たちが展開した補佐神、読月の力によって回復を遂げた。そして、目を覚ます。

亜香里は、命士5人の心配そうな顔をぼんやり見た。

「あー、よかった!天子、起きた!!」

朝陽はそう言うと、ほっとした様子に。

「全く、無茶なことしやがって。」

晃が言葉と裏腹な安心した声色でそう言った。

「ご無事で何よりです。」

忠通が穏やかに言うと、

「我々の思いに天子が応えてくれたんだな。」

と守常が笑う。それを受け、教宗がこう締めくくった。

「しかし、このようなことはこれ以降、謹んでいただきたい、天子。」

亜香里は、

「心配かけてごめんね。みんな。」

と命士たちに謝罪した。この時意識を取り戻せたのがやっとというのが事実だったが、亜香里は命士に心配をかけまいと普段通りふるまうことにした。


◆万全ではない戦い

そんな亜香里の状況など構ってはくれない八大蛇は、数日後、破壊行為を始める。

命士たちは亜香里の本当の状況を察していたため、心配した。しかし、亜香里は「大丈夫」としつつ報道で貶された命士たちの名誉を回復をさせたいと無理をおして戦場に出る。

すると、そこに再び暁の姿が。しかし、この日の暁は、八大蛇にも、亜香里にも、命士たちにも近づかず、ただただ戦況を見ていただけだった。

とりもあえずも八大蛇に当面の活動を不能にする損傷を与えた亜香里たち。それを受け、命士たちは撤退していった。一方、亜香里は、去って行きそうな暁を追いかけて行ってしまった。

「なんだよ?お前。」

「話、したくて。」

そう言った亜香里だったが、無理が祟って暁の目の前で倒れてしまう。

「おいおいおいおい!なんだよ!!」

暁は扱いに困って命士たちの元へ亜香里を運ぶ事にした。その命士たちは、忽然と姿を消した亜香里を「もしや」としつつ探す。

「おい!お前ら!こいつ何とかしろ!!」

そんな命士たちを発見して暁は亜香里を引渡した。「やはり」と命士たち。守常が抱き抱え、晃が様子をつぶさに診ながら運ばれていく亜香里。それを見送るだけのつもりだったが、暁は、亜香里が倒れる前に言っていた「話」が気になって、自らに警戒する命士たちについて行った。


◆冤罪

罰の悪さを感じながら、暁は、命士たちと共に亜香里が目覚めるのを待った。すると、亜香里はしばらくした後、目を覚ました。

「ごめん、また心配かけちゃった。」

意気消沈しつつ亜香里は呟いた。すると、暁の姿を見る。

「暁くん。」

「なんだよ、話があるって言いながらぶっ倒れるなんてよ。」

「そうだね、ごめん。命士たち、ちょっと暁くんと2人で話したいんだ。いいかな?」

心からの心配の色を見せつつも命士たちはためらいがちにその場を去った。

「情けない天子だけど、命士たちの為にも、なんで私たちに暁くんがいたずらしてくるか知りたいんだ。」

「そんなこと言って、俺が答え言うと思ってんのか?」

「答えて、くれないの?話によっては私、暁くんの味方になるよ。」

「本当に味方になんのか?お前が?」

「それで、私も、暁くんも、命士たちも嫌な思いをしないで済むなら、いくらだって味方になりたいよ?」

「俺は、中2の時まで、水泳やってた。」

唐突と思える話が暁の口から出された。

「けど、その中2の時に俺、万引きで逮捕されたんだ。」

「えっ。」

「俺、そんな事やってねぇのに。あのスーパーの店長も、警察も、俺を信じてくれなくて、ずっと『やってねぇ』って言ってたら、裁判まで行って、俺、大好きだった水泳やれなくなった。」

「本当に?」

「なんだよ、お前まで俺を疑うのかよ?」

「ごめん。話の続き聞かせて?」

「すっかり俺、周りの奴らから『犯罪者』呼ばわりだ。やってねぇのに。」

暁は、拳を震わせながら続けた。

「後で、万引きの真犯人がわかったからって警察とかの奴らが謝りに来たけど、それがわかった後は、俺を周りの奴ら腫れ物扱いしやがった。」

暁の声に熱が加わって来る。

「世間は、くそだ。俺と背格好似た万引きの真犯人も、俺を間違って警察に突き出したあの店の奴らも、よく調べもしなかった警察の奴らも、やってねぇ罪で俺を裁きやがった奴らも、俺を『犯罪者』呼ばわりした奴らも、みんな、みんな、くそだ!!だからそんな奴らがいる世界なんてぶっ壊れちまえって思ってるぜ!!」

「ずっと、心を壊されて来たんだね。」

「八小蛇様が妃果梨様を乗っ取って俺を『破壊の従者』にしてくれた時は、嬉しかったぜ!俺に、壊す力をくれた!だから、妃果梨様も、八小蛇様も、そして、八大蛇様も俺のための神様だ。そんな神様に攻撃するお前らは許したくねぇんだよ!!」

「そういう話なら、『許して』って言えないね。でも、わからないよ。壊される痛みがわかる暁くんが、その痛みを他の人に与えるなんて。きっと、私とか命士の5人より、この世界に優しくなれそうなのに。」

「優しく?優しくだと?世間が俺に優しくなかったっつうのに、何で、俺が世間に優しくしなきゃなんねぇんだよ?」

「そう、だね。うん、私、暁くんの話を聞いたら、味方になりたいって思ったの。そんな人が優しかったらもっといいのになぁって思っちゃったから、つい、言っちゃった。わがまま言ってごめん。」


◆優しさ

その後の暁の頭の中では、「この世界に優しくなれそうなのに。」と言った亜香里の言葉が響いて仕方がなかった。そして、亜香里の存在が日々大きくなっていく。これは、「恋」だとはっきり自覚することになった。

「俺に、『優しさ』なんてねぇよ。」

暁は、恋心を向けている亜香里が望んでいる「自らの優しさ」がほしくなった。今まで持ち続けた「破壊衝動」より手に入れたくなった。

「あー!なんなんだよ!!この気持ち!俺は!!世間が憎いんじゃなかったのかよ?」

大声を上げた暁。その声を聞いた一朗太がどうしたのかと声をかけた。

「あいつ!亜香里ってやつ!変なこと俺に言うから!!」

と暁は、恋心を振り切るため、悪態をつきながら、亜香里との話の内容、そして、今の気持ちを一朗太に伝えた。

「君が『優しさ』を手に入れたくなったのなら、是非とも手に入れてほしいね。君らしい『優しさ』、僕も見てみたい。」

「おっさんまでそういうのかよ?」

それから、暁は亜香里の元へと出向いた。そして、命士と共にいる亜香里にこう言った。

「よくも、俺に変なこと言ってきやがったな!お前、責任とれよ!」

天子に危害が加えられるのを恐れ、教宗中心に亜香里と暁の間に命士たちが立つ。そんな命士たちをよそに亜香里は、暁と話をし始める。

「責任、どうとればいい?」

暁は、亜香里の姿を見て、亜香里の声を聞き、心に吹き荒れる恋心の嵐が抑えきれなくなった。そして、立ちはだかる命士を押し退けて亜香里の元へとたどり着き、抱きついた。驚く亜香里と命士たち。

「俺のモノになれよ。」

「そ、そうしたら、暁くんは、世界を壊さない?私たちを、許してくれる?」

「おお、そうする。」

「わ、わかった。あなたの私になるよ。」

亜香里は、暁にきつく抱き締められながら、その肩越しに納得のいっていない命士5人の顔を見た。

「えっと、その、命士たちより下になるけど、私の従者になる?」

「お前のそばにいられるなら、俺は、お前の従者になる。」

「よろしくね?暁。」


◆紫

なし崩し的に暁の「モノ」になった亜香里。本当にこれでよかったのかと迷いを抱いていた。しかし、その「迷い」こそ、自分が暁を愛した証拠だと思うようになった。そう考えが固まると、雪だるまのように亜香里の暁への想いは大きくなった。

そんなある日、亜香里は補戦玉に似た形の石を見かける。そこで胸が高鳴った。これを、暁の従者の証としたいと。

その石の色はあまり良くない色だったため、亜香里がイメージした暁の色である紫色に手作業で塗り直し、暁に贈った。

「あいつらと同じ、か。」

「うん、でもこれは私の手作りだよ。暁は特別だから。私の、愛する人だから。」

「亜香里!」

愛の心が繋がった二人は、抱き合った。2人とも幸せを感じた。

その後、暁の右手首は特別な紫の石の居場所となった。嬉しい瞬間だったが、亜香里は同時にある不安を抱くようになった。


◆冷遇

亜香里の従者となり、恋人同士にもなった暁だったが、亜香里の態度は変化した。暁に対して素っ気なくなったのだ。

それに耐えられず、暁は亜香里に最近の態度を問いただした。

「何で、俺たち恋人同士になったのに、お前は俺の事を見てくれなくなったんだよ?」

亜香里は、こう返した。

「命士がいるからだよ。」

「やっぱ、命士のほうがいいのかよ?優しいあいつらの方が好きなのかよ?」

「そんなこと言ってないよ。」

「くっそ。」

暁は亜香里を乱暴に押し倒し、覆いかぶさるような体勢をとりながらこう言った。

「あいつらとは違う『繋がり』を作ってやる!お前を俺で汚してやる!!俺を忘れないために!!」

「いいよ、私を汚したければ。汚されて、めちゃくちゃになりたい。ねぇ、暁、私をめちゃくちゃにして?心が壊れちゃうまで。この戦いの辛さを、感じなくなるまで。ねぇ、暁。」

亜香里は、はじめ極めて冷静に暁を見上げながらこう言ったが、次第に涙を浮かべ始めた。その涙に驚き、動揺する暁。動きを止めた。そんな暁に対しての思いが溢れ出始める亜香里。涙の勢いを借りて矢継ぎ早に暁に言葉をぶつけた。

「本当は、もっと暁と一緒にいたいよ。でも、いられないんだよ。命士たちは、力の繋がりで私についてくるしかないの。そんな命士たちにとって今まで私と暁がしてきちゃったことは、すごく嫌なことばかりだったと思うんだ。だから、いつか命士たちが怒って暁に変なことをするのが怖いの。私にはしてもいいけれど、暁にされるのは嫌なの。私は、暁を守りたいの。だから、暁のそばにいられない。ごめんね、暁、ごめんね。」

そこからの亜香里の言葉は、涙にすべて奪われた。

暁は、亜香里からの大いなる愛を受けていたことに再び動揺する。そして、亜香里から離れるように立ち上がると、押し倒した亜香里のあらわになった太ももに無数の「痣」のようなものがあることに更に動揺し、先程亜香里が言った「戦いの辛さ」の一端を感じた。どうにもならない気持ちが暁を襲う。

「くっそー!!」

暁は、叫びながら亜香里の元から去った。

「暁。」

亜香里は、暁に押し倒されたその体勢のまま再び泣き始めた。


◆近の悲鳴

それから日を改めたある日、亜香里は具合が悪かった。それにある悩みが拍車をかけていた。発熱はなかったが、あまりの苦しさに、熱に浮かされたように従者としてそばにいた暁に悩みを一方的にぶつけた。

「あれから、近ちゃんの声が、聞こえないよ。力は使えてるから、近ちゃんは、起きてる筈なのに、近ちゃん、近ちゃん、近ちゃん。」

「『近』?」

暁は戸惑ったが、妃果梨の中に八小蛇という神がいたことを思い出し、亜香里の中にも「近」という神がいるのだろうと推測した。

「おい、『近』とか言う神様よぉ!亜香里と話してやったらどうだよ?」

よくわからない状況だったが、考えられる範囲のことを暁は言ってやった。すると、亜香里がいつもと違う口調で話し始めた。

「我は、亜香里とはもう、話さぬ。」

「おお!びっくりしたー!!お前か!近って奴は!!」

「いかにも。」

「亜香里は、話したがってるようだぜ?嫌なのかよ?」

「嫌に決まっておろう!我は、我は、何度八大蛇に攻撃されねばならぬのじゃ?何度我が宿りし者を攻撃されねばならぬのじゃ?戦いの時に受ける攻撃ですら耐え難い物だと言うのに、亜香里はそなたを庇った!我が覚悟をしていない時に!!」

「話が全くわかんねぇけど、これだけはわかった。お前は、遠回しに『俺のせいだ』って言いたいんだな?」

「そんな事は申しておらぬ!」

「そうやって『気遣いしてます』みたいな雰囲気出されんの、気に障んだけど!あー!あー!!いいよ?俺、そういうの慣れてっから、言っちまえよ!!その代わり、さびしがってる亜香里とは話してやれよ!!」

「ぬぬ。そこまで言われると、我も悪い気がしてきたの。すまぬ、許せ。」

「なんだか知らねぇけど、亜香里と話してやったら許すぜ。」

すると、亜香里の話し方が戻る。

「近ちゃん、ごめんね。私、ごめんね。」

その言葉から、少し間を空けて亜香里は暁に礼を言った。

「暁のおかげで、近ちゃんと話せたよ。ありがとう。」

そう言うと、安心したのか亜香里は眠りに就いた。そっとしてやろうと暁は亜香里のそばを離れた。


◆従者の懇願

暁は、とある決意をしながら、命士5人が集まっている所に行く。

「あいつ、やっと眠った。」

命士たちは、安堵の声を暁に聞かせた。しばらくの静寂の後、暁は改めて決意を固め、再び口を開く。

「そう、そうだよな。俺のせいで今、あいつが苦しんでるんだよな。だから、もうあいつには戦わせない。俺が代わりに戦う。そして、迷惑かけたお前らにも、これ以上戦わせるわけいかねぇ。」

そう言うと突然、暁は命士5人に土下座をし始めた。

「頼む!俺に、お前たちの力をくれ!八大蛇を俺に討たせてくれ!!そのためには、俺の力じゃ足りねぇ!!お前たちの力に頼るしかねぇんだ!!虫のいい話だと思ってる。けれど、やらせてくれ!今まで俺がしてきたことの罪滅ぼしをしたいんだ!!」

その熱意に押され、命士たちは自らの力を暁に預ける事にした。


◆天子の懇願

睡眠で体を休めた結果、調子がとりあえず戻った亜香里は、命士たちの所へ戻ってきた。すると、命士たちに力の気配がない。

「みんな、みんなの力は?」

命士たちは、暁に全ての力を預けた。その暁は八大蛇の所へ戦いに行ったと話した。

「そんな!」

亜香里は、命士たちの全ての力があるとはいえ、暁が八大蛇と単独で戦う危険性を感じた。そして、何も告げずに走り出して行った。命士たちはしばらくお互いに顔を見合わせていたが、亜香里の後を追った。

そうしているうちに、亜香里は妃果梨の病室にたどり着いた。そして、暁の真実と今の状況を伝えた上で、こう願い出た。

「妃果梨さん、あなたの中の私の力を返してほしいんだ。勿論、全部じゃない。破壊の力だけ。その力で八大蛇と1人で戦う暁を助けたいの。」

「わかったわ。」

「その代わり、私の方にある創造の力を預けるよ。」

そうして、亜香里と妃果梨の力の交換が行われた。

「こう言うのもなんだけど、私が不幸にしちゃった暁くんをよろしくね。」

そんな妃果梨の思いも受け、亜香里は暁と八大蛇の元へと向かおうとした。すると、命士たちと鉢合わせする。

「どうしたの?みんな。」

それに命士たちは逆に亜香里は何をするつもりだと問い返してきた。

「1人で戦う暁の所へ行くの!大丈夫、妃果梨さんから力をもらったから!」

いてもたってもいられない亜香里は、命士たちとの話の途中で駆け出して行ってしまった。

そんな様子を見た妃果梨は、少し笑いながら命士たちを気遣った。

「命士さんたち、振り回されちゃってるね?亜香里さんに。」

命士たちは、それに苦笑いで答えながら、亜香里を放ってはおけないと再び亜香里を追いかけはじめた。


◆討つ、神を。

亜香里は、八大蛇の力、命士たちの力の気配を頼りに、八大蛇と暁の戦う場所へとたどり着いた。

「無茶だよ!暁!!1人で八大蛇と戦うなんて!!」

「なんで!亜香里!!」

「私も、戦う!!」

「お前を戦わせたくない!帰れ!!」

「これが最後にすればいいでしょ?私と暁で八大蛇を討とう!」

そう言っている間にも八大蛇の攻撃は止まない。亜香里も暁も反撃することでなし崩し的に2人での八大蛇との戦いが始まる。

すると、亜香里を追いかけてきた命士たちが到着。教宗は、こう言った。

「今の我々には力がない、だから任意だが、天子と従者の加勢をしないか。」

それに異を唱える者はいなかった。命士たちは交互に肉弾戦を八大蛇に仕掛け始める。

「みんな!」

「お前ら!」

そうしているうちに、八大蛇は、弱っていく。同時に、命士たちの補戦玉が砕け散っていく。

「非力な者たちに、我が押されておる?信じぬ!信じぬぞ!!」

そんな叫びを八大蛇は上げた。それを合図に亜香里は、全ての力を注いだ破魔の剣を繰り出した。暁は、自らに残された破壊の力と命士たちから預けてもらった力を全て混ぜ合わせ、5つの命士奥義を同時に展開。

八大蛇は、暁が展開した破壊の命士奥義にて深刻な損傷を受けた後、亜香里の破魔の剣にて絶命した。一片の存在すら残さず消えていく八大蛇。

「終わった、終わったよ!暁!!」

亜香里は暁に抱きついた。

「ああ!!」

暁は、亜香里を抱き締め返した。


◆創造の力

近の創造の力のみで満たされた妃果梨は劇的な回復を遂げ、退院を果たした。

「もう、我の力は必要ないであろう。それを我に戻せ。父の不手際で傷ついた大地を直さなくてはならぬ。」

妃果梨から亜香里に返却された創造の力は、世界を美しかった時の物へと戻した。

「我は、そなたらと八大蛇を討ててよかった。我は、もう思い残すことはない。我は再び眠りに就く。みな、達者での。」

全ての力を失った近の最期の言葉だった。

「近ちゃん。」

さびしがる亜香里を暁は励ますように抱き締めた。


◆未来の泳ぎ

ここは、とある家電量販店。テレビ売り場では、デモンストレーションとしてテレビ番組を流している。その時間、世界的なスポーツ大会の中継が放送されていた。

「第6レーン、不破暁選手。不遇の時期もあった、そんな選手がこの舞台に立ちました。辿り着いた決勝、どんな泳ぎを見せてくれるのか。楽しみですねぇ。」

実況の男性アナウンサーが意気揚々と解説担当の人物に話しかけていた。

そんな中、第6レーンのスタート台に立つ暁は、右手首に口づけをしていた。

「よっし!いくぜ!!」

そんな言葉で気合いを入れた暁は、その後、最高の泳ぎを見せた。

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