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紗来  作者: ミズワリ
1/1

思いつかない

初投稿、初書き。

拙い文章で非常に読みにくいと思いますが精進します。

シエルは暗闇の中走っていた。闇雲にただ真っ直ぐと。

どれくらい長い間走っただろうか。

暗く湿った森をひたすら走るうち片方の靴は脱げてしまったようだ。おそらく出血もしているだろう。しかしそんな痛みを感じる余裕もなく前へ前へと進む。

今足を止めれば『アレ』に追いつかれてしまう。息が上がり目が霞む、それでも恐怖だけが自分を走らせていた。

しかし不意に視界が反転し地面へと体が叩きつけられた。

「ーーッッ!。」

一瞬何が起こったか分からなかった。が、酸素の不十分な脳みそが泥濘によって足を滑らせたのだと理解するのにそう時間はかからなかった。そして、自分が転んだのだと理解すると同時に後ろから迫る『アレ』の存在がすぐそこまで来ている事に気づいた。

上手く立ち上がれず這うように後ろを振り返る。すると『アレ』は互いが手を伸ばせば届く距離まで近ずいていた。

パニックになりながらようやく差し迫るそれの形をハッキリと認識した。

ーーそれはほとんど人間に変わらない見た目をしていた。ボロボロのシャツに所々破れたズボンに裸足だった。しかし首には継ぎ接ぎのような赤い傷がありそこから黒いモヤが頭部を覆うように溢れていた。酷い腐敗臭のするそれは、まるで死体が歩いているようだった。直感でそれが危険なものだと判断するには十分過ぎるほどだった。ーー

「ア…ァァ…、ァ」

何か語りかけるように発してる声は金属同士を擦ったような思わず耳を塞ぎたくなるような音だった。

あまりに異形の姿を前に、冷静な判断はもはや不可能だった。

立ち上がれずに手足をばたつかせなんとか目の前恐怖から距離を取ろうとする。

自分はただ、この森の先にある国へ妹を探しに来ただけなのに。

何故こんな化け物に追われなきゃいけないのだ。

何故こんな所で死ななければならないのか。

何故神様はいつも自分達ばかり不幸な目に合わすのか。

そんな事が頭をめぐり、目の前に迫る手にもはや逃げることさえ諦め目を閉じた。

その時だった。


ーバンッー


自分の息しか聞こえないような静かな森に銃声が鳴り響いた。

その音に恐る恐る目を開くと、先程まで自分に迫っていた怪物はその場に伏せピクリとも動かない。頭部のようなモヤからは黒い液体が血液のように流れ出ていた。

助かったのか…?

上手く状況が飲み込めないまま音がした方へゆっくりと目を向ける。

そこには、くせっ毛な金髪を後ろで1つに結んだ長身のベストを着た男が立っていた。シャツはヨレヨレでスボンに収まっておらずだらしない格好をしたその男の手には先程の銃声の正体であろう拳銃が握られていた。


「よぉ。こんな森で何してんだ?坊主」

ふゥーっと咥えていたタバコの煙を吐きながらそう訪ねてきた。

片目が長い前髪で隠れているが、緑色をした切れ長の瞳がこちらを刺すように見つめる。不機嫌そうなその顔はこちらの返答次第では無事では済まなそうな雰囲気を感じる。


「あっ、あの!助けてもらい、あ、ありがとうございます!

アスティア共和国へ向かっている途中で…」

と、思わず上擦った声で喋ってしまい、すぐに

(しまったっ!)

と後悔した。


「アスティアに…?なるほど、不法入国か。」

と男は言うと、その鋭い眼差しをさらに強めこちらを睨んだ。


そう、自分が目指している場所アスティア共和国は入国審査の通った選ばれた人間しか入れない国だったのだ。それゆえ整備された正規の道ではなく、アスティア共和国を囲む森から入ろうとしたのだ。まさかその道中あんな化け物がいるとは思ってもみなかったが。

しかし、この男はもしや森から不法入国をしようとする輩をとっ捕まえる警備隊か何かだろうか。格好こそだらしないもののよく見ると着ている衣服は相当高そうな代物だった。とりあえずしょっぴかれる前に言い訳をしなくては。


「あっ、あの、ち、違うんです!ただ妹を探しに来ただけで!でも入国出来なくて、それで…」


と言い終わらないうちに、男は軽いため息を吐いた。


「なるほどねぇ。妹を探しにきたけど門前払いを食らって、それならと森から不法入国を試み呪人に襲われたと。

大方、アスティア協会への招待状が届いて向かったもののそれから連絡が途絶えたとかだろう。」

と呆れるように言い放った。


「どうしてその事を?!」

まさに男の言った通りだった。妹は突然届いたアスティア協会から内容は分からないが手紙を受け取った後、行方が分からなくなったのだ。

そんな妹を探すためアスティア協会のあるアスティア共和国へ向かっていたのだ。

しかし何故この男はその事を知っているのか、そして呪人とはなんなのか疑問に思っていると、男は突然


「アスティア協会の事が知りたいなら教えてやる。ついてこい」

そういうと男は背を向けて歩いていく。


「ッ!まっ、待って下さい!!」

疑問だらけの自分を置いてズカズカと歩いていくその背中を必死で追いかけた。

一体全体この男は何者なのか、そしてどうして妹の事を知っているのだろうか。そもそもあの怪物はなんなのか。そんな疑問を抱えしばらく追いかけていると、アスティア共和国の国境ともいえる巨大な壁が見えてきた。

妹の事ばかり考えていて忘れていたが、アスティア共和国は巨大な壁で覆われていて正面の門からしか出入りができないのであった。森を超えた所でこの壁を登らなくてはそもそも入国なんて出来なかったのだ。

そんな軽い絶望に浸っていると


「どうした?そんな顔して、もしかして国境の事知らなかったのか?」

とまるでそんなヤツいるのかと言うような哀れな目で見られた。

知っていた。知っていたさ。でもここまで高いなんて思わなかったのだ。頑張れば登れると思い込んでいたのだ。

そんな言い訳を心で唱えていると、男が壁の近くの地面に手を置き何やらゴソゴソと動いたと思えば、軽く地面を持ち上げた。

草が覆って分からなかったが、地面に取っ手が着いておりその下に地下道に続く空間があったのだ。


「さて、この道を通ればアスティアへ入れる。引き返すなら今だが行くか?」

と男は尋ねる。正直まだ怪物の事やこの男の正体など気になる事ばかりで整理が着いてないが、妹への手がかりになるなら行かない訳はない。


「もちろんです。聞きたい事も山ほどあるので。」

この先どんな真実があろうと妹を探し出す。そのためにこの男から話を聞き出さなければ。


そう覚悟して地下道へ続く道へ降りていった。

ありがとうございました。

続きは読んで下さる方いるなら細々と投稿しようと思います。

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