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万屋チェーン正直堂【商品目録】  作者: 一二三 五六七
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ハンドアックス

 その日、オリビアは修道院の薪割りを自分にやらせてほしいと副院長に直談判していました。


 修道院は毎年セントレイク伯爵から多分な援助を受けています。そんな恩義ある伯爵家のご息女に薪割りなどという重労働をさせてしまって良いのだろうか?副院長は困ってしまいました。


 しかし、連日連夜繰り返される嘆願に根負けすると、そんなに言うなら試しにやってみなさいと、オリビアの願いを聞き届けました。


 そして薪割りを担当するブラザー・レオが呼ばれ、副院長から事の次第を説明されました。


 レオは当然困惑します。いくら本人の希望とはいえ、こんな年端もいかないシスターに薪割りをさせるなど、副院長様は何を考えておられるのか。


(仕方ない、薪割りは今まで通り自分が行い、シスターにはそこから焚き付け用の小さな薪を割ってもらおう)レオはそう考えながらオリビアに笑顔で会釈すると、その場を去りました。



 数日後、副院長はレオを呼び出すと、その後のオリビアの様子について聞いてみました。


 レオは沈んだ様子でこう言いました。


「副院長様、最近私はシスター・オリビアが本当に女性なのかを真剣に悩んでおります。――私が薪を1束分作る間にシスターは大根でも割るように4束分の薪を作り終えます。最近は薪割りを全てシスターにお任せしている有様です……」


 レオはそこから興奮気味に話を続けます。


「今日、私が久々に薪割り場に顔を出すと、シスターの手斧に薄っすらと血のようなものが付いていることに気が付きました。理由を聞くと“早朝に薪割りをしているとそばの森で誰かがゴブリンに襲われていたので、薪と一緒にゴブリンの頭も割ってやりましたよ“と笑っているのです……」


 それを聞いた副院長はすぐに別の修道士に森を調べさせました。



 しばらくして、帰ってきた修道士が青い顔で副院長にこう報告します。


「森の中には武装したゴブリンの死体が12体転がっており、皆、兜ごと頭を割られていました」

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