4.薬草の勉強とギルドの仕事
翌日は部屋にこもって、薬草と錬金術の勉強をした。
さすがは、『20階級特進』と『特別ボーナス』の権限。
スッと、頭に入ってくる。
そして、錬金魔法の上級者になれば、空気中や砂の中など、から物質を取り出せることが分かった。
ただし、使う魔力が大きく、聖の加護持ちでも、できない人がほとんどであり、質量が重いもの、イメージするのが難しいものに関してはより難しく、それらの物質を空気中などから取り出すことが、出来る人がこの世に数人居るか居ないとかが書かれていた。
少し試してみる。
コップを用意して。
食塩水をイメージする。
すると魔法陣が現れ、食塩水が出てきた。
その食塩水を水と、食塩に分離してみる。
水の構造式、食塩の構造式をイメージして。魔法陣をさらに発動させる。
見事に、水と食塩に分離で来た。
よしよし。成功。質量が重い物質とかは、おそらく、鉄とか、金、そして、この異世界でよく言葉にする、世界で最も固い金属、オリハルコンとかなのだろう。
医学や薬学の分野だ。オリハルコンなんてものはまず使わないし、水や食塩ができればいいだろう。少なくとも、この用途で生理食塩水が作成できることが分かった。
生理食塩水があれば、薬の調合でかなり役に立つ。
その後も、いろいろと、錬金魔法や回復魔法を試し、薬草の知識を吸収していった。
薬草も大体、日本の者と類似している果物があったり、漢方とも類似しているものがあり、あとはこの世界特有の薬草の知識を吸収して、かなり早く覚えられた。
どうも、これも『20階級特進』と『特別ボーナス』の効果のような気がする。
そんなことは気にせず、僕はさらに書物を読む一日を過ごしていった。
そして、翌朝。
昨日学んだことの復習ということで、薬草採取依頼を受注することにした。
採取するべき薬草は二つ。
一つは、『レッドプラム』という名称の薬草で、文字通り、日本の梅とよく似ている、赤い果実だ。
効果も日本の梅とほぼ同じ物質が入っており、ただ、物質の濃度が、日本の梅より多く。薬草の一種になっているのだそうだ。
もう一つはこの世界特有で、『ポーション』の原料になる薬草。その名の通り、『ポーション草』だ。
幸い二つとも、簡単に見つけることができ、すぐに依頼達成だった。
依頼を達成の報告に行くと、ギルドが騒がしい。
「あっ。シュウ=フォレスト君だよね。急ぎ君の依頼が必要になったよ!!」
と受付のお姉さんから言われる。
「依頼というと。」
僕は尋ねる。
「こちらの人なんだけどね。」
受付のお姉さんはいかにもガタイのいい男性を紹介される。
「おお。すまない。実は、俺の建設現場の足場が崩れっちまって、俺の若けぇのが2人けがしちまったんだよ。誰か、ヒーラー、回復魔法が出来る奴を探してて、そうして、ここへ来たら、つい先日、すっげー加護持ちの回復魔法の使い手が居ると聞いてよ~。」
ガタイのいい男性が涙ながらに大きな声を出す。
そして、豪快に床に手をついて。
「頼む!!見てやってくれねえか!!」
僕は土下座されてしまった。
この世界に転生して初めて、自分以外の誰かに、治癒術を施す。
まだ自信がないが、これだけ困っている人をほっておけないのは、薬剤師、医療現場で働いていた人の職業病からだろう。
子供の病気に必死の親御さんが薬局に心配そうに来店していたよな。
海外ボランティアなんかもっと心配そうな表情の人が来ていたよなと、思い出す。
「わ、わかりました。わかりましたから、顔をあげてください。貴方まで泣いてしまうと、怪我をされた方がさらに不安になります。どこまで、出来るかわかりませんが、最善を尽くします。さあ、案内していただけますか?」
僕は、ガタイのいい男性に手を差し伸べる。
建設現場の現場監督なのだろう。手も血豆ができるほど、大きなものを運んだりしているのだろう。
「あ、ありがてぇ。よろしく頼む。」
2倍くらい大きな手を僕の手は掴み、そして、引き上げた。
現場監督は案内してくれた。
けが人が二人横たわっていた。
骨折の個所を確認すると、二人とも、大きな骨折は見られる、捻挫、もしくは骨にヒビが入っている程度で済んでいることが分かった。
錬金術で作成した、薬を患部に塗り。
回復魔法を施す。
「ゆっくりと立ち上がっていただけますか?」
僕はけが人に話しかける。
彼らは立ち上がる。
そして、歩いたり走り回ったりすることができた。
さすがは回復魔法の威力だ。
魔法がない、地球では、薬を投与したり、ギブスをして、リハビリをして、やっと戻っていくのに。
「おお。すごい。すごいよ。ありがとうございます。回復魔法の腕があるのですね!!」
「本当にありがとうございます。これでまた頑張れそうです。」
けが人二人は、そういって僕のもとに手を伸ばす。
現場監督と同じくらいの二人の大きな手を握り、僕は握手を交わした。
「兄ちゃん!!ありがとうよ!!本当にすげ~回復魔法を得意とする魔道師なんだな。お礼はギルドに払っておくから、受け取ってくれよな!!」
現場監督は深々と頭を下げた。
「あ、あの、念のため、今日一日は安静にしておいてくださいね。それでは!!」
「押忍!!ありがとう!!」
丁寧に、丁寧に見送られた。
ギルドに戻り、依頼達成の報告をすると、これまで引き受けた依頼よりもはるかに高い額の報酬が僕の口座に振り込まれていた。
それからだろうか。
その現場監督の口コミで、子供の病気を見て欲しい依頼、同じようにけがをした人がいるので、治療の依頼。
冒険者で魔物に襲われた人のけがの治療。
山に大量の『悪霊バッタ』の群れが現れたので、討伐隊支援のためのポーションの納品。
空き時間での薬草採取依頼などなど。
本当に回復魔法や錬金魔法の依頼をこなしていった。
「本当に、回復魔法と錬金魔法は、シュウさんにお任せという状態になりましたね~。こちらの町に来てから、1か月くらいですが、本当にすごいですね~。」
ギルドの受付のお姉さんに、依頼の達成のたびに言われる。
「もっと努力します。回復魔法のシュウ=フォレスト、ここにありみたいな感じで。」
「ふふふ。素敵ですね~。頑張ってください。」
そういって、こんな感じに、僕は今日もいつも通りのギルドの仕事をこなしていった。
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