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(4)お揃い

ブクマありがとうございます!

顔を赤くしたチビッコなんて眺めても楽しくないだろうに、エリーはキラキラと輝く笑顔でこちらを見ている。




「ふふ、エタってば桜色で可愛い。ねえ、エタは卒業パーティーはどうするか決まった?」


「卒業パーティー?うーん、非常に非常に残念で遺憾ではあるんだけど、入学前からほとんど体形が変わっていないから……手持ちでまだ着ていないドレスでも着ようかなと思ってて…」




ええ、大事なことなので二回言いましたよ。


甚だ遺憾であるが、入学してからも身長は2センチ弱しか伸びなかった私は、入学時に家族から大量に持たされたワンピースやドレスを問題なく着ることが出来る。


それにドレスは基本的に既製品はないので、一着新調するにもかなりの金額がかかる。


ドレスに合わせてアクセサリーも新調しようものなら、下手すれば家が一軒建つレベルだったりする。


無理無理、そんな恐ろしいものいらないです。


そもそも私はまともな嫁ぎ先のあてもないのだから、卒業してからどこかで働くのだろうし、そうなれば新調したところでそのドレスを再度着る機会はないかもしれないのだ。


そう思っての発言だったけれど、エリーは心底ビックリしたようで綺麗な青い目を丸くした。




「え?卒業パーティー……ドレス新調しないの?エタのご家族なら喜んで新調するだろうと思っていたんだけど」


「ああ、まあ確かにそうなんだけど、うちはそこまで裕福なわけでもないし、うちの家族に任せるとやたらと可愛らしいデザインのドレスがね……もう私が居た堪れないの」



私を溺愛している家族だが、選ぶドレスはある意味本当に私に似合うものしか選ばない。


私だって似合うのは分かってはいる。


分かってはいるけれど、だからといって18にもなってデビュタント前の少女が着るようなリボンやフリルがたっぷりついたフリフリなドレスは、正直どうかと思う。


しかも、エリーのような美女であれば少女の頃だって花も恥らう美少女だっただろうから良いかもしれないが、私は肌の色こそ白いものの前世と大差のない平凡な顔立ちなのだ。


25歳まで生きた記憶を思い出した今、あれを着るのは痛すぎる。


私の精神的ダメージが大きすぎる。




「あー……なるほど」


「それぐらいなら、持ってるドレスを少しリメイクして着ようかなと思ってるの」




前世でもオーダースーツやカジュアルなTシャツGパンの様な服装以外は、ジュニア用の服を大人用に見えるように自分なりにリメイクするのが私にとって当たり前であった。


SSサイズの婦人服があるメーカーなどは拝むほどありがたかったものだ。


友人の結婚式に着ていく程度のフォーマルワンピースまでならリメイク経験はあるので、ドレスでもフリルやリボンを外してビジューをつけたりするぐらいは私でも出来るだろう。




「ふーん?ね、だったら私とお揃いにしよう?もちろん、私が二人分費用も持つから、ね?」




良いことを思いついたという風に微笑むエリーは、テーブル越しに私の手を両手でそっと握った。




「ふぇええ!?そんな…エリーとお揃いは私だって嬉しいけど、費用を持ってもらうなんてできないわよ」


「エタ、お願い。私がエタとお揃いにしたいの。私の我侭なんだからエタの分は私に準備させて欲しいな、ダメ?」




そういえばエリーは良く私とお揃いのものを持ちたがる。


これまでの誕生日に貰ったのも、二人でお揃いのペンダントやブレスレット色違いの髪飾りなどで、お忍びで出かけた時にもお揃いで花の入った硝子のペーパーウエイトを買ったりしている。


その為、私からのプレゼントも必然的にお揃いの刺繍をしたハンカチやリボン、私の魔法で花から抽出した製油で作った練り香水などだったが、そういえばお揃いの服は着た事がなかった。


強いていうなら、学園の制服がお揃いだというぐらいだろうか。


もちろん他の生徒もお揃いなのだが、そこはこの際気にしないことにする。




「ぐっ……も、もう!エリーってば、そう言われたら私が断れないの分かってて言ってるでしょ…」


「あはは、じゃあお揃いでいい?」




ああ、エリーの周りにホワホワと舞う花と甘いフェロモンが見えるような気がする。


そんなにキラキラの笑顔見せられたら、断れるはずなんてないのに。


エリーのお願いとはいえ、おそらく辺境伯家嫡子であるエリーのドレスとなれば最新の最高級オートクチュールであろう。


伯爵家でも標準的な我が家で一度に支払える額だとは思えないが、少しずつでも返済するなりお礼の品を贈る必要はある。


私は自分の魔力で作れる薬草などでなんとか稼ぐ方法を見つけようと心に決めた。




「はぁ……じゃあ甘えちゃうけど、今度ちゃんとお礼はさせてね?」


「ふふっ、お礼とかいいのに。でも、だったら卒業パーティーの日にお礼を貰いたいなぁ」




握られたままの両手は私の手が小さいからか、エリーの綺麗な手にすっぽり包まれている。


エリーの手はスラリと長い指も爪の先まで綺麗だけれど、次期辺境伯なだけあって魔術も剣術も学年でトップクラスなので実はしっかり剣ダコがあるのだ。


剣術の授業でのエリーは凛々しくて、美貌の騎士のようだ。


遠巻きにされてはいるものの、エリーに憧れているらしい女生徒が頬を染めて溜息をつく姿をこの3年で何度も見てきた。




「パーティーの日?何か欲しいものとかして欲しいこととか決まってるの?」


「うん。でも何かはパーティーまでは内緒。絶対欲しいから、欲しいものお願いしたら断らないでね?」



可愛くお願いされたけど、エリーは無理なお願いなんでしないだろうし、お揃いのドレスのことを考えれば断るなんて選択肢は私の中にない。




「え?ええ、もちろんよ!私ができるお礼なら断るなんてありえないわよ。今までエリーのお願い断ったことないでしょ?」


「そうかも」


「それに……エリーは私が嫌がるお願いなんてしたことないでしょ?3年の付き合いで私にもそれぐらい、ちゃーんと分かってるのよ」


「……もう、エタってば可愛すぎる…」



えへへと笑って見せると、何故かエリーに抱きしめられてしまった。


ふわぁ……今日もやっぱりすごく良い匂い…。


凛としたエリーにぴったりな爽やかな柑橘系の香りに包まれて、内心フニャフニャになった私は、卒業したら辺境伯家でエリーの侍女として雇ってもらうのもアリかなぁなんて暢気に考えていたのだった。

エタの家族も別にエタに嫌がらせをしている訳ではありません。

ただ単純に甘系フリフリドレスが一番似合うと思っているだけで…(笑)

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