ドナドナ パート2
ドンドンドン!
「ん〜だれ〜こんな朝早くに〜」
「ヨルハ様、ヨルハ様にお客様が来ております」
何でドア越しの小さい声なのに聞こえるのか、この際どうでもいい、でも今はまだ眠んだよね〜まぁ返事だけしてもう一寝入りしようかな?
「ギルドの職員の方が急用とのことです」
「後で行くから〜」
「いえ、ですから急用と」
「分かった、分かったから待ってて下さい!」
朝ってさ起こされるとなんか不機嫌になるよね〜今の私は正にそれだよ!未だ眠いのに起こされてしかも急かされる、これ以上にストレスはないでしょ?
だから私のこの対応もしかないのである。
「あの〜準備でしたら手伝いますが?」
え?無理無理無理!今の私完全に寝間着だし!翼出ちゃってるし!
「いえ!大丈夫!大丈夫ですから!」
「そうですか、わかりました。では下で待ってます」
はぁ〜危なかった〜!!あの人がノック無しで入ってくる人だったら完全にバレてたよ〜、次は入ってくるかもしれないし早めに着替えよっと。
今の服は何にしようかな?急用って事だし、今日はクエストにも行く気はないし私服でいいかな?適当なズボンに上は・・・・うん!白のニットでいいや!きちんと翼は上着の中に隠してっと、これで完璧!
それでは行きますか、何の用事かは分かってるからさっさと終わらせよう。
私は部屋を後にし一階へと向かった。
「すいません、お待たせしました」
「いえ、さほど待って・・・わ・・・」
・・・
私の名前は「ミモザ」ギルドの受付の一人で、今日はギルド長の命令でとある高級宿に来てます。命令の内容はここにいるとある冒険者を呼びに行くというものです、何でも朝ギルドに来ると拘束された男と青年の死体がギルドに放置されていたとのこと、そして身元を調べると拘束されていった男はジャスレイという問題の多い冒険者の一味であると判明。
この報告を受けたギルマスはすぐにジャスレイを呼びに使いを出したけど本人は行方不明、だから今回の騒動の渦中にいる可能性が一番高いもう一人の元に来てるってわけなんですけど、どうやら私が呼びに来た人は朝が弱い人みたいです。
部屋の前まで呼びにいったら、何やら不機嫌な感じで起きそうになかったから中に入ろうとしたら、ものすごい勢いで拒絶されてしまい仕方なく一階で待ってます。
ギルマス曰く絶対に連れてくる様にとのことなので彼女が出てくるまでここを動くわけには行きません、まぁ汗臭い冒険者の対応よりも楽なので全然いいんですけど、でも何であんな必死に部屋に入ろうとすると拒むのか?
とりあえず、今私は彼女が来るのを待つのみ。
コンコンコン
ようやく降りて来たみたい階段から足音がして来た。
「すいません、お待たせしました」
「いえ、さほど待って・・・わ・・・」
え!?嘘!何この人!?見たこともない銀色の髪に抜群のスタイル!しかも顔だって匠の作り出した造形品としか思えないほど整ってるし。
私は女だからあまり興味ないと思ってたけど、彼女なら私いけるかも?いや!いける!彼女だったら全然いける!むしろイキたい!彼女の唇に私の唇を押し付けたい!胸なんかを愛撫したらきっと彼女の口からは甘美な声が聞こえてくるはず、しかもそれを出している原因が私ってお思うとなお興奮する!
パッと見クール系な感じだけど、私は何年も受付として多くに人を見て来た、もちろん中には女性の冒険者もいた。何年もこの職をしていて色んな経験をしてくると、何となく分かってしまう。彼女は見た目はクール系だけど中は絶対に可愛い系の女性だと!きっと裸とか見られたら顔を赤くしてその細い腕で隠しきれないが頑張って隠そうとするに違いない!
おっとこれ以上は鼻血が。
・・・・
えっとなんか受付の人がじっと私のことを見てくるんだけど、やっぱりさっきの対応はまずかったかな?だってしょうがないじゃん私朝弱いんだから!でもさぁ突然そっちもきたんだからさ〜あんな感じの対応になっても仕方ない部分ってあるよね!?・・・ねッ!
「あの〜」
「失礼しました!私は受付の一人のミモザと申します、ギルドマスターが指示で参りました今からギルドまでご同行願います」
「わかりました」
なんかすごいできる人って感じで、なんか近寄りがたいかな。今でも歩く後ろ姿とか完璧なキャリアウーマンって感じで下手なこと言ったらなんか怒られそうでちょっと怖いかも。
「すみません、こんな朝早くにお邪魔してしまって。朝食がまだでしょうから道中何かご馳走します」
「えっあっ・・はい。ありがとうございます?」
「この先に私が朝よく買うパン屋があるのでそこにまず行きましょう」
「お任せします」
緊急の用件じゃなかったのかな?確かに朝ごはん食べてないからお腹は減ってるけど、そんなところで油売ってていいのかな?まぁ私としてはありがたいんだけど。
てゆうか今結構早い時間のはずなのに街の露店とかお店ってもうやってるんだ、みんな朝からご苦労なことで。なんか昼過ぎまで寝ようとか考えた私が少し恥ずかしくなってくるんだけど、まぁこの際考えないでおこうかな?
やっぱり外に出たりするをよく見られるんだよね〜まぁもうなんかしょうがないと割り切るしかないけど、特に男からの視線は絶対と言っていいほど複数の人から見られてるからもう諦めた。
「ここです」
やっと着いたらしい、何々?「パン屋」・・・・・普通!何この普通な名前、何とかのパン屋とじゃないの!?なに「パン屋」って!もっとなんかあったでしょ!それとも考えるとかめんどくさかったのか他にパン屋さんがないからパン屋でいいと思ったのか、何はともあれなんかちょっとこの名前からして不安になってきた。
「野菜サンド二つ下さい」
「はいよ!いつもありがとね!はい、野菜サンド二つね」
任せるって言った手前何か注文はできないけど、何か一言欲しかったとは言わないでおこう彼女のおごりなわけだから私が何か言う事はちょっとね。
「どうぞ・・えっと、そう言えばお名前聞いてませんでしたね」
「そう言えばそうでした、すいません。私はヨルハって言います」
「ヨルハさんですね、ここの野菜サンドは絶品なんですよ?ギルドに向かいながらさっさと食べれて栄養満点なので私は重宝してまして」
なるほど確かにこのボリュームなら歩きながらも食べられるし、そう時間はかからないから朝食にはもってこいの量かな、でもやっぱりせっかく宿で朝食が食べられるんだったらそっちで食べたかったけど、まぁ今回はしょうがない。
そのまま野菜サンドを食べながら歩いているとちょうど食べ終わる頃にはギルドに着いていた。
「それでご案内します」
こうして二日連続で私はギルマスの部屋にドナドナされるのだった。
「面白そう!」
「続きが気になるかもしれない」
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