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不穏な影

昨日の夢の余韻が醒めないまま今日も学校へ行く。

靴を履き替えて廊下を歩いている途中で声を掛けられた。


「ねぇ、ルナ君?」

声を掛けられたので振り向くと黒髪セミロングの女性だった。

一度会えば忘れられない程、迫力のある美人だ。僕の記憶に該当しないといことは初対面だろう。


「はい、そうですけど。 あなたは?」


「私は生徒会長を務めている”マスター”(Master)と言います。 突然話しかけてごめんなさい。 でも、どうしてもルナ君と話をしてみたかったのです」


「特に目立つことはしていなかったと思いますけど」

なぜ、生徒会長に興味を持たれたのか分からない。

入学して日も浅く、人と関りが少ない僕にとって誰かと接点を持つ機会なんて無かったはずだ。


「動物虐待の事件です。 噂で聞きましたが犯人の思考を辿って事件を解決したのですよね?」


「はい」


「その時のことを是非詳しく聞きたいです」

このAPCの生徒は様々な方法で事件を解決している。推理、情報、コネ、お金など各々が得意な手法で事件解決に挑んでいる。

その中において僕のトレースが異質だから興味を持ったというところか。


別に隠すつもりもないので話してもいい。

だが、話そうとした瞬間何者かに手を引っ張られる。



「ルナ、もう授業が始まるから急いで!」

強引にルールに手を引っ張られ教室へ連れていかれた。

生徒会長との話は僕が途中で居なくなる形で終わってしまった。

僕のせいではないが、次会う機会があれば謝ろう。


その前にやらなくてはいけないことがある。


「あの、いい加減手を放してくれると嬉しんだけど……」


「あっ、ごめん……」

急にしおらしく謝られると反応に困る。

大勢の生徒がいる教室に手を繋いで入ってくる男女がいればカップルと思われるだろう。


「お! 朝から暑いねぇ」

「いつから付き合ってたんだよ!」


案の定、クラスメイトから冷やかしの声が投げかけられる。

どうにかして誤解を解かないと僕は良くても人気者のルールに迷惑が掛かってしまう。


「これは誤解だよー。 あんまりしつこいとドラマの最終回をネタバレしちゃうぞ?

知り合い伝手で放送前だけど内容知ってるんだから!」

その後もルールの説得が続き、無事に誤解が解けた。

それにしても、人の扱いが上手だな。誰も嫌な思いをせずにこの場をやり過ごした。



朝のドタバタも過ぎ、授業に入る。

今日は自分たちで事件を探すのではなく、APCに来ている数多くの依頼の中から選択した事件を1週間かけて解決するそうだ。このやり方が主流となっており午前は学力を上げ、午後からは事件解決の時間に充てるのが通常授業の流れらしい。


どの事件にしようかとタブレットで依頼を一覧で見る。

事件の難易度はS→A→B→C→Dに分かれており、Sランクの事件は世界的に有名な犯罪者なので基本的にAPCの生徒が対応する事は無い。

Sランクは3つある。

表向きは存在しないことになっているが実際は国家機関に属し組織規模で目的の為に非道を行うタリオン。

人を言葉だけで意のままに操り、凶悪犯に仕立て上げるストーリーテラー。

そして、フィルムメーカーが登録されている……。


「よし、これにしようか!」

突然ルールが後ろから現れ、勝手に僕の画面を操作して2人で受ける手続きをしてしまった。

チーム組んで解決にあたるのは良いんだけど、今日のルールはやけに強引だな。


「それで、何の依頼にしたんだ?」


「Cランクの詐欺事件だよ」



この時は何気なく選んだ依頼をあんなにも後悔することになるは思わなかった。

いや、何を選んだかは重要じゃない。どの依頼でも同じ結果になっていただろうから、すでに道は決まっていたんだ……。


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