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相補性の法則  作者: べべ
2/2

きっかけは

最初に興味をもったのは私のほうだった。

とはいっても彼女に興味を持たない人のほうが珍しいのでこれは至極当然のことだったのだろう。

興味をもったのは自分の書いている小説に行き詰ったことがきっかけだ。

登場人物はまさに彼女のような容姿端麗で才色兼備な主人公。

自分が今まで読んできた恋愛小説の主人公のほとんどは凡庸で自分に自信がなく、

恋をすることでそんな自分を変えるために努力し、その努力が実り晴れて両想いになるというありふれたものばかりだった。

そんな小説がどこかつまらないと感じた私は今まで誰も取り上げたことがない人物を主人公にしようと考えたのだ。

そこで思いついたのが彼女をモデルに小説を書くということ。

彼女ならどこをとっても短所といえるものがないし、誰もが憧れる完璧な主人公になれるだろう。

そう考えた私は、彼女について徹底的に調べ上げることを決意した。


・・・のはいいのだが。


そう、問題は彼女の周りには常に人がいて、全くつけ入る隙がない。

休み時間はファンクラブのようなものに囲まれているし(あれは親衛隊か?)

帰宅時はそういう人たちを警戒してか母親らしき人がよく迎えに来ていた。

すごく華やかに見えるけど、なんだか自由がなくて息苦しそうだなぁと思ったのは私だけだろうか。

いやそんなことはどうでもいい。

なんとかして彼女について調べなければ。

正直彼女の周りにいる親衛隊たちに聞いてしまえば話は早いのかもしれないが

人づてに彼女の話を聞いてもきっと彼女自身を理解することはできないし、

主人公に感情移入できないだろう。

それではつまらない。

どうせなら仲良くなって、誰も知らない彼女を知りたい。

そうすれば物語の主人公はきっとどんな人物よりも魅力的になるだろう。

今まで誰も書いたことのない小説を書くために、私は誰も見たことのない彼女自身を知って見せるのだ。

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