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神薙くんと僕  作者: chiwa
神薙くん
7/9

かくれんぼ鬼ごっこ⑤

順調に合流していた僕らは緊張感がほぐれて、気を抜いていた。

1階に着く、その時




シャキンッ!




暗闇の中でハサミの音がした。


「「「「!!!!!!!」」」」


僕らは硬直した。ただ1人、カンナギ君を除いて。


「おい、お前ら。軽はずみな行動取るんじゃねーぞ?分かったか?とにかく集団から離れるな。バラバラになったら探す手間で戻るのに時間がかかる」


カンナギ君が声をひそめて皆に言った。


僕たちは声を出さずに、力強く頷いて返事をした。




コツ、コツ、コツ―




華子さんの靴音がする。歩きながら時々ハサミを鳴らす。


「あーやって恐怖値を上げて墓穴を掘るのを待ってんだよ」


またもカンナギ君が言った。




―い…かい?




華子さんの方から声が聞こえてくる。


なんて言ってるんだ?




もーいーかい?




隠れてる人に呼びかけてるんだ!




まぁーだだよ…クスクスクス




いや違う。自分で問いかけて自分で答えてるんだ。

笑ってる。怖い。




もーいーかい?



もう、いいよねぇ?




突然、声が変わって華子さんが一方的に断定した。


その瞬間、ガスッ!!と物凄い音がした。思わず悲鳴を上げそうになった僕らは必死で口を押えて飲み込む。

と、同時に職員室の中からガンッ!という音が聞こえた。




「ちっ!」


カンナギ君が鋭く舌打ちをした。


「やばいな。残りの奴が中にいるってバレちまった」


「…」


華子さんは職員室の扉の前でじっとして動かない。


「?」


いい加減、僕らがしびれを切らした時、職員室の扉を華子さんがゆっくりと開けた。ガラガラガラ…




「いやーーーーー!!!!!!!」




パニックになって叫ぶ佐野さんの悲鳴が聞こえた。


「ばかが!お前らはそこにいろ!」


カンナギ君が言って、職員室へ走っていった。

走る背中を見た僕は思わず反射的に後を追いかけていた。


「嵐山くん?!」


後ろで驚いて僕を呼ぶ声がする。

走りながら、なんで僕は彼の後を追いかけてるんだろう?と妙に冷静に考えていた。どう考えても足手まといなのに。


「は?お前なんで着いて来てんだよ?」


「な、なんでだろうねぇ?あはは・・はは」


「馬鹿野郎!足手まといなんだよ!」


う…やっぱり、そうだよね。戻ろうかな?と思った時には職員室の中に入っていた。職員室の真ん中で、机を挟んで対峙している佐野さんと華子さんがいた。


「あ…嵐山くん!!!助けて!」


僕に気づいた佐野さんが叫ぶ。

グリン!と首だけを回転させた華子さんがこっちを見た。


「ひっ!」


華子さんは僕らを見ると、にぃぃ…と笑ったんだ。

どうでもいいけど、首、曲がりすぎだよ!ホラーだよ!!!

存在自体がホラーだけど!




「みぃぃ~つけたぁぁぁあ」




ジャキン!嬉しそうにハサミを鳴らしながら、華子さんがにやぁっと笑って言った。

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