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今回はマイ視点です。
祝! 総合評価3000超えました!
ツッコミどころ満載なのにお付き合い下さり有難うございます!
投稿がのんびりペースになってしまってますが、真面目にぽちぼちしてますので、出来たら気長に待ってやって下さい!
午前11時。
冒険者達に行ったスキル発動作業のおかげであまり緊張せずにこの場に立ってられるのは、ありがたいけど……ありがたいけど、あんま嬉しくない。
現在、ディル率いる私達≪ニクジャガ≫はギルド前広場にて唐揚げをお供にサンドイッチとおにぎり頬張る昼食を挟みながら待機してる。
ギルド地下にあるシェルターには、急な遠出が難しい年配の方と幼い子を連れた家族に、彼等の世話を買って出てくれたアニスさん達含む町の住人100人程、Cランク以下の冒険者100人程の総数200人ちょっとが避難してる。
これも思ったより少ないって思ったけど、サルーは冒険者が立ち寄る町って事で他所からの人が多く、住人っていうのはほぼ商売人系。それに隣国に避難した人は、冒険者を雇って護衛にして集団で移動した筈やし。こんなもんなんやろう。
一応、ギルド全体に≪結界≫と≪聖結界≫施したから大丈夫と思う。
サーリーの夢の光景にギルドが見えていた事もあり、今はお裾分けした唐揚げもぐもぐしてるリカルドさんとヒューリッヒさん、それにカールとキールの4人と一緒に居る。唐揚げはスタミナ付けようとにんにく醤油使った濃い目の味付けにしてたお陰で好評でした。
他の冒険者達は、それぞれの東西南北にある門へとっくに向かってる。
「むぐむぐ……他の冒険者の人、居てもらわなくて良かったんですか?」
私の咀嚼音混じりの質問に、ヒューリッヒさんはギルド前に設置した1人掛けソファ(自前)に腰掛けながら頷いてくれた。ソファは彼の持つ≪アイテムボックス≫から出してたよ。
「問題無い」
「ああ。巻き込んじまったら大変だからなっ! ヒューリッヒも居るし、この広さなら俺と≪ツインズ≫で大丈夫だっ!!!」
「「任せろっ!」」
おお、巻き込む方が心配とな。それは頼もしい。
「……サーリー」
そんな時にちょいちょい、とヒューリッヒさんが手招きするのでルシファーと一緒に素直に側に寄って行ったサーリー……その後ろから、ぞろぞろ続く保護者×6が様子を伺う(※ギルド長と双子含む)
……いやだって、まさかやで? こんな時に、かあいい娘が、実験台なるかもやねんで?
元相棒のリカルドさんが、私達の背後で冷や汗垂らしながらガチで心配してんねんで? そりゃ疑うやん!?
「……これを」
「え……っふわ〜〜かわいいっ!!!」
そんな私達の心配を他所に、サーリーに手渡されたのは……サーリーの装備と同じ魔女の服を着た、お人形さんやった。まさかのプレゼントやった。
サーリー位の年代女児なら持ってそうな、腕にすっぽり収まるサイズ。見た感じはむにむにとした質感のヌイグルミ系で、サーリーと同じ銀髪に褐色の肌。でもとんがり帽子には穴が空いてるのか青味がかった灰色の虎耳が飛び出て、ローブの裾からも虎耳と同色のしましま尻尾が伸びてる。そしてお人形の顔は、どことなくディルを思わせる可愛くも美人系。瞳も金色や。
「ふふ、久し振りの力作だ。題して、『サーリーの妹』!」
そして、ヒューリッヒさんの手作り。わお。
娘は父親に似る、と聞いた事があるからディルムッドに似せてみたぞ、と無表情ながら若干頬を赤らめ語るヒューリッヒさんが……おっと、ちょっと、キモかわいい、ぞ?
「……ふみっ、みゃうん!」
まぁ、私のほんの少しのトキメキを感じてしまった旦那様が背後から抱き着きながらのスリスリちゅっちゅして来たから、すぐにそんな気持ちぶっ飛んでったがなっ!
「……………………辛い系の酒、飲みてぇ」
「「同感」」
ノーランと双子のしょっぱい顔は、気にしない!
ああ、私の旦那様、こんな運命の日でも通常運転! 可愛さ天元突破してるぅっ!!!
「セーフだ……蜘蛛とかミミズとか、キワモノ系じゃ無かった……良かった!」
「そっちはそっちでなんつう心配してんだよ!」
うん。ノーランのツッコミ内容、理性の飛んでた私でも分かる。
蜘蛛とミミズのヌイグルミ。今ここでの需要は、無いな!
「貰って、良いの?」
「うむ」
ソファで足組みながら頷く仕草は、どこぞの国の貴族の様や。めっちゃ偉そう。そして似合う。
カールとキールは、サーリーの肩を軽く撫でながら笑っていた。
「良かったなぁ、サーリー! ヒューリッヒの旦那が作る魔導人形は貴重だぞ!」
「気分乗らないと作らないから、余計にレアなんだよ!」
……魔導人形? なんか、仰々しい名前やな。普通に可愛いお人形に見えるけど……魔道具なんかな?
「う? うん! ありがとぅ、ございますっ…………でも、ちょっとだけでも、マイにも似てたら……良かったなぁ」
除け者は淋しい、と。
サーリーは無意識にぽそっと、小さく、そう口走ってた。
……え、ウチの娘が尊過ぎてツライ。戦いの前に泣きそう。
「む、そうか。……では、ディルムッドの嫁。前に出ろ」
「ぐすっ……えっと、はい!」
最近歳を感じるくらい涙脆いなぁ、とか鼻をすすりながらサーリーの隣に並べば……え、立ち上がったヒューリッヒさんにイキナリ頭を撫でられって痛っ!?
「良し」
「いやイキナリ髪の毛抜かんといて!?」
「ここをこうして、と」
「ぐるるる……俺の、お嫁さんにっ……触ったなぐるる」
「ねぇ聞いて私の旦那様が殺人鬼な顔してるから槍構えてるからお願いします詳しい説明プリーズ!!?」
私の髪の毛数本持った状態でブツブツ呪文唱えてる場合ちゃうからね!?
私がディルを宥めてるその状態をまるっと無視していた所で、リカルドさんとノーランの顔色が変わった。
「おい。どうやら楽しい雑談は一旦終了らしいぞっ!」
「ディルムッドっ、お前らも、来るぞ!!!」
ノーランの言葉に、ズン、と空気が震えたのが分かった。
同時に、町の雰囲気が変わる。
ざわざわ、と肌を撫でていく空気が違う。
ぎらぎら、と睨め付けられる気配がある。
まるで、そう。
私達冒険者が、旅してたら必ず立ち寄る……ダンジョンに立ち入った時の、あの感覚!
『ぐるおおおおんっ!!!』
前後左右、周囲からヒトとは思えないケモノの雄叫びが響き渡るのと同時に、足元の地面が揺れる。
ギルド周辺は公園みたいな少し広い広場になっていて、そんな広場の地面が、ボコボコと隆起して…………ヒトの、腕が、頭が生えて来た!?
オマケに空から、黒い雲が猛スピードでこっちに……いやっ、雲やなくて空飛ぶモンスターかっ!?
スキル≪鷹の目≫で見ると、まだ数キロ先の空の上に腐りかけた体長数メートルの巨大なカラスが、冒険者達が集まってるこの町に……向かって来る!!!
「ぞろぞろ来やがって……≪ブラスト≫!」
「まったくだっ……ヒューリッヒ、頼む!」
リカルドさんがギルド正面入り口前にいるヒューリッヒさんの元に走り出すのと同時に、ノーランは左手の赤い剣を地面に向け、一定範囲に効果のある炎の弾を放ちながら、これに怯んでる地面から這い出て来た存在に突進! 素早く近寄りどんどん首チョンパしていく! めっちゃグロイ!!!
……は、早いっ。流石≪赤い雷≫って呼ばれるだけあるわ!
「マイ、サーリーっ! そのままギルド周辺の≪結界≫の内側に! そこから攻撃して!」
「わ、分かった! …………これでも喰らえ! 属性付加、≪ホーリー・ショット≫!」
「ごるるるるっ!」
「うんっ、ルシファーも行って、ディルとノーランを守って! ……私を手伝ってサラマンダー! ≪ブラスト≫!」
そしてノーランの魔法からあぶれた、地面から這い出て来た存在……ヒト型のゾンビに向かって、サーリーはノーランが使用したのと同じ火の魔法を、私はマジック・ピストルで聖属性を付加させた魔法弾を、2人並んで撃って、撃って、撃ちまくる!
「≪ゲイル≫!」
ディルは自身の素早さを上げ、右手に愛用の大剣、左手に今回新調した乳白色の槍を持ってノーランと共に応戦していく。
そして、ディル達の背後に陣取ったルシファーは、その口から真っ黒い炎のブレスを吐き出しゾンビ達の上半身を焼き消したり、避けた相手は振り上げた尻尾で頭を叩き潰してる! そっちもグロイな!!?
……皆、初めっから全力投球や。
でも大丈夫。フェールさんからも頑張ってくれって差し入れにエーテル系アイテムいっぱい貰ったからな!
MPなんか気にせず、使いまくったらぁ!!!
そして、私達の背後。
ギルド正面入り口にはリカルドさん達が陣取り、ヒューリッヒさんが何か大掛かりな魔法の準備を始めてるらしく、瞼を閉じ意識を集中させながら呪文を唱え続けていた。
カールとキールは、そんなヒューリッヒさんと未だに無手のリカルドさんを守る為、私達と一緒にゾンビ軍団を相手しててんけど……。
何故か、さっきまで装備していた軽装ではなく、ゴツゴツとした岩の様な鎧をその身に纏って戦ってた!
私の≪結界≫と≪聖結界≫で、ゾンビ達はギルドの建物から半径4メートルの範囲には入って来れない。
それでも放置したら、≪結界≫の外に出られず、身動き取れなくなるのは目に見えてる。だから私達と双子は、まず正面入り口周辺のモンスターを文字通り掃除してる。
カールとキールはそれぞれ剣と大盾を持ち、這い出て来たゾンビの頭をその剣で斬り落とし、盾で叩き潰して消していく。
……私の平均的な攻撃力でも頭を狙えば一撃で倒せる時もあるから、そこまで強くない。そんで、このゾンビ達にドロップアイテムは無いらしく、何も残さず消えていく。
それでも、ゾンビはぞろぞろ地面から這い出て来る。視界に入る分だけでも、もう既に100体軽く越える数や!
それに空の黒い雲に見えてる敵……お腐れ巨大カラスの大群も近付いて来てる!
……あの大群を、どうしよう?
ルシファーと≪漆黒の翼≫、あと一部の空飛べる冒険者だけに任せるのはキツイんちゃうか!?
「「ヒューリッヒの旦那! まだか!?」」
「五月蝿いぞ、まったく…………空気の読めんゾンビ達だ。……ほら、出来たぞ持っていけ!」
そして、私が心配しながらも狙撃を続けていけば、ヒューリッヒさんの呪文が終了したらしく……なんと私の世界での健康グッズ、バランスボール程の大きさの、誰が見ても高魔力が込められてるって分かる属性無しな魔力の塊を頭上に掲げてるやんか!
……なんで無属性って分かるか? 勿論≪鑑定≫したからです!
そんでなんと、ヒューリッヒさんはその魔力の塊を、リカルドさんの方に軽く、ぽいっと放物線を描く様に放り投げた!
えっなにそれあっぶな!!?
「おうっ、ありがとよっ!!!」
リカルドさんは、笑顔でその危険物な魔力の塊を受け取ると、一瞬でその身に装備した、肩に担ぐタイプの、成人男性並みに大きな真っ黒い大砲の発射口に乗せ、頭上の空へと向けた。
そう。弾を中には詰めずに、弾丸を発射されるその口に乗せてるの。斬新。
「理性も誇りも失い彷徨う、死者の軍団よ! 我等の必殺の一撃、その身に受けよ! ……属性付加っ≪インフェルノ・ショット≫!!!」
大砲の発射口に乗せられた魔力の塊は無属性。その為リカルドさんの持つ火属性の魔力に反応した魔力の塊は、赤く発光しながら数十数百の小さな玉に変化し……リカルドさんが叫んだ直後、目を焼く様な赤い閃光と爆音を響かせながら、数多の火属性の弾丸となって空に放たれた!
光に目が眩んだ為に私が数回、瞬きした後。
光の消えた後の空は、雲一つない青空。……お腐れカラス、どこ行った?
「……、……………………筋肉の、役割とは!?」
「にゃにゃんっ! 変な事叫んでないでっそっち行ったよ!」
ディルに注意されながらも、目の前の敵を屠りながらも。
こんな感想しか出てこない位の威力でした。
サルーの町、町長兼ギルド長、リカルド。
彼の冒険者時代の通り名は、≪爆撃者≫
……私達は後日、知る。
彼が実はステータス魔が150超えの、筋肉無駄男なのだ、と。
そう。きっとこれが本当の、筋肉の無駄遣い( ̄▽ ̄)




