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ヒーロー登場、です。



 


「……」



 月明かりが逆光になってて顔は見えないけど、凄く背の高い男性なのは分かる。


 いやいやいや、それよりも!



「…………尻尾」



 し、尻尾や!

 あのゆらゆらしてるながーいの、絶対尻尾や!

 ……よ、よく見たら頭の上に丸っこい耳もある!


 暗くて模様までは見えへんけどっ、貴方は猫とか豹とか虎の獣人さんなのでは!!?




 自分でも、表情がキラッキラに輝いてるのが分かる。



「……?」



 正体不明の怪しい女の喜色満面は、そりゃあ不思議でしょうね。ものごっつ首かしげてる。



 顔見えへんかなぁと思いながら、さながら花びらの落ちる速度で落下していた私。


 丁度獣人さんと視線の高さが同じになったくらいで、がくん、と。

 私の落下スピードがあがった。



「ひあぁ!?」

「!」

 


 がさがさがさっ!






 あーあーおーちーるー!!?




「っ!」




 恐怖からがっつり目をつぶってしまった私は、兎に角何かを掴んで落ちる勢いを殺そうと前方に両手を伸ばして…………。



 まあこの時。

 私は自分のスキルの存在をしっかりがっつり忘れていた訳で(おバカ)



 ……あれ?

 でもいくら待っても、痛みが来ない?


 それどころか、何か……あったかい?



「……」

「ふぇ?」



 目の前には、前髪だけもっさりの成人男性。

 おそらく、木の上に居た人と同一人物。



 ……前髪もっさりのせいで目元隠れてるけど、結構男前なんじゃないかな?鼻筋とか顎のラインがめっちゃ綺麗。


 ……遠目には細く見えたのに、()()()()()()()筋肉がっちりムキムキなの分かっちゃうなぁ。




 ……ん?

 ……筋肉?




「……」

「ご、ごめんなさい!」



 いつのまにか、私は葉っぱまみれ。

 見ず知らずの、私を助けてくれた目の前のもっさり前髪男性(獣人)に力の限りしがみついていた。



 慌ててバンザイ姿で男性を解放すれば、男性はその場を動かず、右手で私の頬に触れて……。




「……≪ヒール≫」


「っ!」




 どきっとした。

 その低く、甘い声に。



 頬に人肌では無い暖かさを感じたと思ったら、男性の手はすぐ離れてしまった。






 ……私、日本人は総じて声フェチだと思う。



 だって海外映画、字幕好きで見る人の理由の大半が「俳優さんの声が好きだから」って聞いた事もあるし。


 外国ではめんどくさいからって理由で殆ど吹き替え放映らしいけど、日本ではどっちもでしょ?



 まあ、私の独断と偏見多大に混ぜられてるけどね!


 今の私の心臓、ばっくんばっくんで脳みそも茹だってると思うんで正常な判断無理やからっ!



 ……いや、少し落ち着いて整理しよう。

 この素敵な声の持ち主は、私の頬に出来ていた擦り傷か何かを魔法で治してくれた恩人で……いやいやその前に、正体不明の浮かんでた私を身を呈して助けてくれた……やだなにそれ優しい。


 ……そうか!

 声が素敵やと、中身も素敵になるんやな!!?(落ち着け)



「……?」



 私が喜色満面(再発)で見つめているのを、やっぱり不思議そうにこてっ、と音聞こえそうな感じに首かしげて見下ろすもっさり前髪で素敵な声の持ち主。


 ……男らしい背の高い男性の、幼さ感じるその仕草。

 凄く、可愛い。きゅんきゅんする。




 うん。認めよう。

 この人、私のめっちゃツボや。

 てか、モロ好みや!

 ……これは、メルヘンゲット目指すべき?(好きにしたら良いよby神様)




「あ、あの! 助けてくれて有難うございます! 私……マイって言います。異世界から来たんですけど、……恩人の貴方のお名前、聞いても良いですか?」




 ……多分、軽はずみに異世界人って名乗らない方が良い様な気もするけど。


 でも私、どストライクなこの人に、嘘言いたく無いって思っちゃったから。




「……ディルムッド」




 もっさり前髪で素敵な声の持ち主……ディルムッドさんはやっぱり不思議そうにこてっ、と首をかしげたままだった。



 やっと目が慣れて来て、月明かりに照らされた青味がかった柔らかそうな灰色の短髪と同色の、黒の縞模様が浮かび上がる丸みを帯びた虎耳。


 前髪だけもっさりやけど、風でふありと浮いた前髪の、その奥に隠れていた……この異世界の月に似た美しい金色の猫目。





 神秘的で……とっても、ステキな瞳。












 くるるるるぅ



「「…………」」



 そんな感動の中にいた私ですが。


 どうやら人間の三大欲求の1つ、食欲には敵わないらしいです。






せいじょは、ひとめぼれ(ひとこえぼれ?)した。


しかしおなかがすいて、ちからがぬけた(不憫)



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