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今回、少しセクハラ的扱いと雑な扱い受ける方達が居ます。

深く考えずにサラッと見てやってください( ̄▽ ̄)


 



 電車の窓から見るのと同じく景色が流れる中。

 家族を包む形で≪結界≫を発動させた私を誰か、褒めて欲しい。


 ……頭が回らなくて、ちゃんと風圧防止とか細かい設定出来てないっぽい気もするけど……無いよりマシな、筈や。



「ふーしゃー!!!」



 最早二足歩行の虎にゃんこ……いや獣となったディルに運ばれる私は虫の息、サーリーは早々に気絶してた。羨ましい。


 金ぴかの蟹とエンカウントしかけたけど、ディルの豪脚によって蹴り飛ばされてた。その際衝撃を感じさせないのは流石、私の旦那様。

 自身の素早さを上昇させる風魔法≪ゲイル≫は数分で効力が切れる為、ディルは何回も何回も重ね掛けしながら走り続ける。



 ……うっぷ。時間の感覚が分からん。

 ……空の彼方に、少し欠けた猫目のお月様。あ、もう夜?

 ……星の位置見て方角確認してるわぁ。私の旦那様、物知りやなぁ。……今は知りたくなかったけど。



 取り敢えず、ディルの体力(HP)が心配なので吐き気を我慢しながら途中で≪ヒール≫かけたり。MP半分以下になった時に魔力(MP)回復出来るエーテルをルシファーに頼んでディルに飲ませたり。家族皆の口におにぎりを放り込んだり、と最低限の世話だけした。

 眠らず私、頑張った。



 ちなみに、ルシファーはおにぎりではなくバナナマフィンを要求したけど私が却下しました。調子乗せたら、あかんよな?



 そんなこんなで、月明かりの空が明るくなって、太陽が高い場所に来た頃。

 ディルは、立ち止まった。



 ちょっと迷いかけたらしいけど、見慣れた町の入り口が見える。

 周囲をダンジョンに囲まれてるサルーの町は、町長兼ギルド長の指示で10メートルはある壁で町を囲い、東西南北にある門に交代制で見張りを立てている。見張り役はサルーのギルド職員で、元冒険者。

 現役引退したおじさんや、ギルド長自ら勧誘したりと数もそれなりに多い。

 町の中には治安を守る為にギルド職員が駐在してる詰所もいくつかある。日本の交番やな。



 その門の見張りらしい人影に、尋常ではない様子の私達は声を掛けられたっぽいけど。



「ぜ……はぁ…………のー、らん……」



 ディルにも私達にも、彼等に返事をする心の余裕は無かった。




「るるっ、るる!」


「……ディル、あっち……猫髭亭の方角から、……ノーランの匂い、するって……」



 途中で目覚めていたサーリーがルシファーの言葉を伝えると、ディルは小さく頷いた。



「はぁっ……はぁ……≪ゲイル≫……っ!!!」



 そうして風となったディルは門番を無視したまま……ものの数分で見慣れた看板と扉の前に立ち。

 両手が塞がっていた為、目の前の扉を躊躇なく蹴破った。



 ばきゃばきと聞いてはいけない音を響かせながら、扉は吹き飛び店内へ。



 驚きに騒然となる店内。

 でも、思ったより人が少ない。どうやら混雑する昼時も終わって、まったりおやつタイムの時間帯らしい。



「ちょ……ちょっとディルムッドあんた何してんだい!?」



 アニスさんの慌てたような声が聞こえる。

 うん。後で心から謝ろう。



「まさか」


「ディルムッド!?」


「え、おい。あの抱えられてるのっ」


「……うそ、マイさん!?」



 うん。どうやら懐かしい顔と新顔、どっちも私達に注目してる。

 ……ディルは有名人やから、馴染みの宿も見つけやすいかぁ。



「…………ちっ」



 そうして。

 カウンター席にひっそり座っている、古ぼけた外装を羽織る目立たない男の舌打ちが店内に響く。


 ……スキルでも使っていたのか、舌打ちが聞こえるまで、その存在が分からなかった。


 数束の紅髪が混ざる黒髪を、適当な髪紐で纏めた尻尾頭が見える。

 ワインボトルを握ったままこちらに向けられた視線は、怒りだと分かる。ディルと似た体格の男……ノーランは、感情の乗せられたギラギラ光る明るい緑色の瞳で此方を凝視してる。


 目当ての男とディルの間に、これまた目立つ、金髪の神々しい雰囲気の男が立ち塞がる。……うん、邪魔や。




「どうしたんだディルムッドっ! 具合でも悪がはっ」


「「「そこどけえっ、のーらあああああんんん!!!」」」

「りゅるるるるるううううううう!!」


「「「ユーリ王子ぃ!!?」」」



 神々しい金髪をディルは躊躇無く蹴り飛ばし、ディルの腕から飛び出した私とサーリーとルシファーはノーランの両腕にしがみ付きながら泣き喚いた。



 生きてる! 生きてる! まだ生きてる!!!

 町の様子が普通やったから、大丈夫やと思ったけどっ!

 ……ああでも、油断は禁物や!!!




 言い訳するなら。

 この時、私達は疲れ切ってた。

 ディルは眠らず一昼夜走り続けたし、私とサーリーも限界に近かった。




「テメェら、何で来た」



 様子のおかしい私達に、怒りよりも困惑に近い表情に変わったノーランが声を掛けてくる。



「……げ」


「ぁあ?」




 でも、許して欲しい。

 私達、疲れてて、余裕無いの。




「…………さっさと、服を脱げ言うとるんやこんボケがあああああああああっ!!!」


「「さっさと脱げえええ!!!」」


「はあっ!? 何言っ……おいどこ触っ、ま、待て待てちょっと落ち着……ぎゃああああああああ!!?」





 私の号令を合図に女子供に乱暴出来ないノーランは私とサーリーに両腕を拘束され、抵抗も虚しく、ディルによってほぼ素っ裸……それでもパンツだけ死守しながら、絶叫した。



 後日、取り込み中なんだと店内を覗くだけで去って行った常連客の1人が言うには…………私達の背後の向こうに、目が点な勇者様御一行と宿屋の女主人が居たそうです。



 彫刻の様な見事な腹筋のあるお腹に、サーリーが言うような傷は無かった。

 全身に大小の古傷はあるけど……でも右胸に、巨大な角か爪で刺し貫かれた様な、塞がったばかりの真新しい傷跡があって……ルシファーがるぅるぅ鳴きながら傷跡ぺろぺろしてるの見て私達は大号泣。


 でもノーランが、これは1ヶ月前に引き分けた火龍(かりゅう)との一騎打ちでの傷とかなんとか説明してくれて、それを聞いて安心した私達は……ノーランにしがみ付いたまま、寝落ちした。





「こ、こ、……この状況で、寝てんじゃねええええええっ!!!」




 パンツと脱ぎ掛けのズボン以外ひん剥かれ、動く事も逃げることも出来ないノーランの絶叫が、猫髭亭に響き渡った。



 うん。マジでごめん。

 ちょっとだけ、寝さして。






うん。ホンマにごめんと思ってる。

でも書いてて楽しかったです(酷)


あ、ノーランのパンツは皆様の想像にお任せします。

死守出来たんだから、多分紐パン以外のパンツです( ̄∀ ̄)





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