2
もうちょい説明話です。
「おお、そういえばお主にはまだであったの。ほれ」
怒りの雄叫びをまるっと無視し、神様は私の左手をむにむにの小さな手で握ってきて……?
――――――――
異世界≪リヴァイヴァル≫
蘇生を意味する名を与えられた世界。
周期的に魔物が凶暴、活性化し人々に恐怖と絶望、死を与える。
しかし希望もある。
それぞれの国の騎士団、軍隊、そして異世界≪地球≫から現れる勇者、賢者、聖者(聖女)の存在である。
レベルはMax100。
スキルポイントはMax150p(200p)
魔法は火・水・風・土・闇・聖属性の6つ。
この世に生を受けたら教会に赴き、その子の初期スキルポイントを神の託宣として聞く。初期スキルポイントが多い程、将来有望。
7歳になったらまた教会で神の託宣を聞き、初期スキルポイント振り分けを行う。
それ以降はレベルUPごと、または特別スキルボーナスでスキルポイントを得るたびに振り分けを行える。
ポイントが余っている場合はいつでも振り分け可能。
各町にギルドはあり、そこで依頼を受け金銭やアイテム、情報を対価として受け取る。
お金の単位はギル。1ギル=1円。
1ギル硬貨、10ギル硬貨、100ギル紙幣、1000ギル紙幣、1万ギル紙幣、100万ギル紙幣がある。
100万ギル紙幣はそれぞれの国の代表、王族が特別な謝礼金としてのみ発行する。
人の国≪ユートピア≫
楕円形の大陸。
王は人間。人間と獣人両方暮らしているが、獣人を軽んじる貴族も多い。
ギルド以外で国の抱える軍隊と、教会の抱える騎士団で治安を守っている。
獣人の国≪デカラビア≫
少し潰れた星型の大陸。
王はいない……、……、……
――――――――
「……いったぁ〜……っ」
神様に手を握られた途端。
何かのゲームに出てきそうな単語にまみれた知識が、頭の中に勝手に溢れてきた。
ズキズキと刺すような痛みを伴いながら!
……ううう。私の頭の中なのに、思い通りにならないってどういう事!?
「ふふ。一時的に色々な知識が出てきておるのだろうが、1日2日過ごせばそれも収まる。……今度から欲しい知識は、その場でピックアップして思い出せる様になるからしばし我慢せい」
「ぇえ……?」
そんな事言われても。
既に私の脳みそ、パンク気味なんですが?
「…………あ、あのぅ…………?」
「……何?えっと……」
頭を抱えていた私に怯えながら声をかけて来たのは、女子高校生の方だった。
「わ、私、園崎萌って言います。……た、谷山さんは、初心者セットの知識出てきました?」
「しょ、初心者セット?」
何の事だと一瞬思ったけど、神様の言う通り知識は関連事項も色々ピックアップしてくれるらしい。
――――――――
異世界≪リヴァイヴァル≫には魔法やスキル、レベルの概念がある
個人の基本スキルポイントはMax150p(200p)
特殊・魔法・武器スキルにポイントを振り分け、様々な恩恵を受け取って人々は生活している。
産まれた時に多めにスキルポイントを持ってると、才能有りと言われ将来有望視される。
基本的に10p〜80p(ある国で確認されている最高値が80p)
それ以降はレベルUPで1〜2p。無い時もある。
しかしどんなにレベルを上げてもMax150pに到達すると、レベルUPしてもスキルポイントは貰えない。
最大体力(HP)と最大魔力(MP)等の身体能力がUPしていくのみ。
しかし例外で神様の神託、力ある精霊の試練をこなす事で特別スキルボーナスを取得出来ることもある
一度に1p〜10p。勿論、例外はある。
なお特別スキルボーナスは1人50pまで。
なので個人としての獲得出来る総スキルポイントはMax200pとなる。
神様の神託は定期的に教会からギルドに伝えられ、緊急依頼として受理出来る。
神様はいつでも見ているので、嘘や誤魔化しはきかない。正しく依頼をこなさなければスキルポイントは貰えない。
試練に合格し精霊に気に入られた場合、各属性魔法を取得出来るだけのスキルポイントを貰える事もある。その場合は魔法適正がある事が必須。
適正の無い場合、または特別スキルボーナス上限に達していた場合は高価なアイテムなどに変わる。
≪異世界初心者セット≫
神様に選ばれた者たちへの特典。
初心者ボーナスとして、初めからスキルポイント150p進呈。しかも、今だけさらにプラス50pでお得。
ギルドに登録し、依頼を受け特別スキルボーナスを取得出来る場合、Max250pとなる。
(攻撃特化)
特殊スキル:飛ぶ斬撃
最大体力量+1000、力+10、守+5
魔力使用量50%軽減、敵に対して状態異常率50%UP
(魔法特化)
火・水・風・土・闇魔法取得可能
最大魔力量+1000、魔+10、護+5
魔力使用量50%軽減、テイムモンスター数上限1→6
(防御特化)
特殊スキル:結界
最大体力・最大魔力量+500、守+7、護+7
魔力使用量50%軽減、状態異常無効(即死含)
――――――――
「……え?」
初めっからスキルポイントMax貰えるのは、確かに凄い。
魔力使用量……MP節約出来て、これも凄い。
……で、後の能力値はドユコト???
「ちなみにこの最大体力・魔力はMaxレベル100になった者の平均値が2000前後。そして攻撃を司る力と魔、防御を司る守と護、成功確率を司る早と運、それぞれの基礎能力最大値は個人差はあるが基本的には100と思えば良いよ。基礎能力値は服や武器で上乗せ強化可能でのぅ。」
「中々サービス良過ぎですね!?」
基礎能力は役職勇者とかだし妥当……かなぁとか思ったけど。
レベル100の人のHPとMPの平均が2000なら、1000とか500って大盤振る舞いやないかな!?
「なんじゃ。初心者には優しくせんといかんのだろ?スマホのアプリではそうなって」
「まさかのスマホゲームに精通してるだとぉ!!?」
今時の神様すげぇな!
「あ、その反応は初心者セットまで見たんですね」
「……う、うん。何か凄いわねこれ」
「はい。それで翔太……彼が、≪攻撃特化≫のセットが欲しいって言ってて……私はそれでも良いんですけど、谷山さんはどれがいいとかありますか?」
私の剣幕に、未だ白いソファの後ろに隠れたままなヘタレ男子はさておき。
ここまで聞いて、私がやっとまともに顔を見た女子高校生、萌ちゃんは中々の美少女だった。
見た目は今時の高校生というより、一昔前のお嬢様高校に通う様な大和撫子タイプ。
キューティクル最強のストレートの黒髪を右肩でゆるく纏めてる。長さは背中の真ん中にいかないくらいのロング。
……日本人の、ううん。外国の人にだって理想とされる和風美少女だわ、萌ちゃん。
私は肩で切りそろえられた、染めたことのないストレートな黒髪だけど………………キューティクルぅ(涙)
「げふんげふんっ…………まぁ、行くことは確定みたいだしね。私は何でも構わないから、萌ちゃん先に選んで良いよ。選ぶっていうけど、彼が≪攻撃特化≫選ぶって言うならあと2つでしょ?」
こんだけチートなら、私でも何とか生き残れそうな気もするし?
少しは年上の余裕見せとかないと!
「なら!……私、モンスターを使役出来るテイムって魔法使ってみたくて……魔法特化、選んでも構いませんか?」
「どーぞどーぞ」
ふむふむ。テイムか……憧れのゲットだぜ!が現実に出来るの?
……異世界って、凄い。
「ありがとうございます。あと……ご、ごめんなさい。私と翔太の、せいで………………ぐす」
……もしかしなくても、ここに来る前の交差点での出来事よね。
……そっか。彼と違って、彼女は罪悪感とかちゃんとあるのね。
「…………今度から、よく周りを見て行動しなさい。自分だけじゃなくて、一緒にいる誰かの為にもね。……それで許してあげる!」
美少女の涙に笑顔で答えてあげれば、萌ちゃんは小さく頷いてから私に微笑み返してくれた。