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「……あれ?」



 マジック・ピストル構えた状態で固まる私の視線の先には、ドロップアイテム拾ってる可愛い娘と旦那様。


 ……娘の相棒となった赤ちゃん龍が、ドロップされた金色の甲羅齧ろうと狙ってるのを頑張って防いでる娘が可愛いです。



 私は若干の現実逃避をしながら、静かに武器を片付けて皆に合流した。



「……う〜ん」



 ……そっかぁ。

 私達のパーティー、赤ちゃんとはいえ竜種のルシファー加入のお陰で火力が一気に上がったんやな。


 ……良く考えたら、今の時点で私よりサーリーの方が魔法攻撃強いもんな。


 私のマジック・ピストル、魔力依存の武器やから。

 ステータスの魔が高ければ威力上がる仕様やから。



「……やばい」


「ぐりゅっ!?」



 ずっとは疲れるから、とサーリーに代わって私の腕の中に居たルシファーが変な唸り声あげてるけど、今それどころとちゃう。



 私が戦闘に参加せんでも、何とかなってしまうって……私、役立たず?


 まさか、今度からただの飯炊き&雑用オンリーに?



 ……ご飯作るのは楽しいけどっ、それだけなんは淋しい! 仲間外れみたいで嫌やっどないしよう!?



「……マ、マイっルシファー、く、首っ!」


「あわわわっ中身出ちゃうっ! ルシファーの中身出ちゃうよマイ〜!」



 首と胴体羽交い締めにして、口から内臓どころか魂飛び出しかけたルシファーの存在に私は気付かなかった。


 ……ワザとじゃ、ないよ?


 でも、そんな事ルシファーには関係無い。



 ディルが救出したお陰で無事だったルシファーは、サーリーの腕の中からじっとり据わった目付きで私を見上げてる。



「ルシファー、ごめん!」


「……りゅ〜りゅるる〜?」



 うん。言語が違ってたって、分かる。


 その顔と鳴き方、誰が聞いても「え〜どうしよっかなぁ〜」って言ってるやんなそうやんなっ!?



「本日のご飯山盛りにしますんで、何卒お許し下さいませっ!」



 私は平身低頭、誠心誠意、心を込めて両手を合わせながら拝む勢いでルシファーへと謝罪した。



「……りゅるっ、るるるるっ!」



 ルシファーの返事を聞いてくれたサーリーが、苦笑しながら私を見上げた。



「……なら次のご飯、果物より甘いのちょうだいねって」


「承りましたっ!」


「りゅんるるるん♫」



 私の返事に満足したらしいルシファーがご機嫌になったので、私は安堵の溜息をついた。


 そしてサーリーがルシファーの重さで若干よろよろ先に進む後ろで、私はいつのまにか左隣に居たディルに優しく手を握られた。



「……マイ、どうしたの?」



 疲れた? と心配してくれる優しい旦那様。


 ……その優しさ、心に沁みる。ぐすん。



「いや〜、……私、戦闘ではもう役に立たんなぁって……」



 なので思わず正直に口から出た私の言葉に、ディルはきょとんとしてしまう。ですよねー!


 うう。1番年長やのに、情けないったら……。



「……? ……マイが、1番頑張ってる」


「……どこが?」



 そんな、可愛く首を傾げんでも。

 ……慰めは要らんよ?


 そんな風にヤサグレ気味の私に。



「……マイが≪結界≫で守ってくれてるから……俺、背後(うしろ)気にしないで、敵だけ見て戦える」



 ディルは真っ直ぐ私を見据えながら、そう言ってくれた。



「俺、()()覚えてる。……だから前見て、戦える。……1番頑張ってるの、マイ。マイが1番、良い子」



 そうして私は、優しく微笑むディルに良い子良い子、と頭を撫でられてしまい。

 ……自分でも顔が真っ赤になっちまったの分かったので、頭を上げられなくなった。




『…………モンスターや、敵と戦う時。何かの拍子に、私が側を離れていても……その目に、私の姿が映っていなくても。ディルは不安にならず、全力で戦って下さい。……だって、私は絶対に()()()()から』




 以前、私はこう言った。

 ……ディルは、この約束を覚えてくれてたんやなぁ。


 私は絶対に死なないし……私の家族も誰ひとり、死なせない。

 天寿を全うするまで、精一杯生きてもらうつもりやからな!



 ……ディルはそこんところ、ホントに私を信じてくれてるんや。




「で、でも……私、弱いままやと困るやろ?」



 信じてもらえるのは嬉しいけど、それでもレベルが高い方がスキルの性能は良い。

 私の≪聖結界≫なんかモロに影響される。


 ……しっかり守る為には、私も強くならないと!



「……マイのペースで良いの。それまで俺が守るから、平気。……何処に居たって、俺はマイの所に走って行くから」



 だから慌てないで、と私の手を握ったまま顔を覗き込んでくるディルが……ぅうう、キラキラした後光が……頼もしいのとカッコ良すぎな姿に私の心臓が痛い!


 無意識に頷きかけて、いや待て私っ落ち着け、と踏みとどまった。

 こ、このままやと甘やかされて私の為にならんっ!



「い、いやいやそこは娘優先で!」



 私は大丈夫やし! と自分でも赤いと分かってる顔で誤魔化すように言えば。



「…………サーリーは、ルシファーが守る。……だから、マイは俺が守るの。……家族、守ってくれてる……お嫁さん、守っていいの……旦那様の特権。…………みゃぅ、……ダメ?」


「………………………………ダメ、ちゃい、ます…………おねがい、します」


「にゃ!」




 ちゅ、と頬に吸い付かれながらの台詞とか鳴き声とか……トドメの可愛すぎる笑顔とかで……私は、撃沈した。




「……ルシファー。2人があんな風にラブラブしてる時は、邪魔しちゃ駄目だからね?」


「……りゅ〜るぅ?」


「つまんなくても、駄目。……それに、ラブラブした日のご飯……豪華なんだよ?」


「りゅっ!」


「うん。良い子」




 そんな感じに空気読んで待ってる娘に私達が気付くまで、あと5分。



 



来週は諸事情により木曜日のみの投稿になります!

宜しくお願いします!

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