31:猫髭亭のやっちまった事件簿について
ちょっとしたセクハラ的な不愉快表現があります。
1話で終わらせたかったので、詰め込みすぎて普段よりちょっと多い文章量です。
それでも宜しかったらどうぞ。
これは、サーリーと出逢って2週間とちょっと経ったある日の話。
私がいかがわしい本を燃やした、次の日の夜の事。
猫髭亭の1階食堂部分は4人がけのテーブルが6、カウンター席が8ある。
皆のイメージする冒険者の酒場より、ちょっと小綺麗な感じかな。小まめにアニスさん掃除とかするし。
この日は私とディルがアニスさんに誘われて、カウンター席の端っこで酒盛りタイムを楽しんでいた。
夜の酒場は子供の教育に良くないから、とサーリーが眠ってから来たけど。
……規則正しい寝息を確認してから、念の為本人と部屋自体に≪結界≫も施してから私達は階段を降りた。
何かあったら精霊達も私達に分かる様に教えてくれるから、そこは安心。
ディルはお酒に弱いから、今飲んでるのは私がツクヨミ様から貰った米麹の甘酒。
あっさり甘めで、疲れた時に夜あっためてよく飲んでたやつ。
実は時々教会に遊びに行ってるサーリーは、教会に併設された孤児院の子供に混じって、ツクヨミ様とも仲良く遊んでるらしい。
ちなみに、周囲はツクヨミ様を近所の子供と思ってる。神様特権で認識誤魔化してるみたい。
そんな訳で2人は仲良しになり、時々お土産と称して日本にある物品をサーリー経由で分けてくれてる。
そこまでされるのは流石に申し訳なくて、代わりにサーリーに持たせたオヤツを倍以上にして渡し、教会でツクヨミ様や他の子供達と食べて貰ってる。
ツクヨミ様はクッキーより、ホットケーキみたいなふわふわ系の甘いのが好きみたい。甘酒混ぜたホットケーキ、気に入ってたらしいし。
ディルが悪酔いする事も無いので、私は安心してアニスさんと双子の失敗談やサーリーの話で盛り上がっていた。
その時丁度、からんからんとベルを鳴らして男女含む3人組が入って来た。
話を中断したアニスさんも「久しぶりだねぇ」と言いながら近寄って行ったから、知り合いの冒険者かな?
重装備着込んだ角刈り頭で大柄な40歳過ぎた男性と、ディルみたいな軽装備で短髪の若い男性が並んで歩き、その後ろから踊り子っぽいヒラヒラした服着た腰までの長い髪を流した女の子。
私は……初めて見る人やなぁ。
扉のベルが鳴った時にちらっと視線向けただけやねんけど……なんでか私は、3人組の中で一際大柄な、ディルとは全然違う濃い金髪の虎獣人にがっつり睨まれた。
え、なに?
「……その様子だと、その女に惚れてるって話は本当だったか」
「……フィン?」
……のちに分かる事やねんけど。
これがディルの個人依頼を代わりに受けてくれたパーティーの1つ、Aランクパーティー≪タイガー・ロンド≫のリーダー、フィンさん。
家族でパーティー組んでる、冒険者一家の大黒柱である。
ディルと一緒に依頼を受けた事のある……アニスさん達曰くマトモなヒト。
「……なぁに、この貧相な子供」
「ディル……そんなのよりグラーニャの方が別嬪さんだぞ?」
よく見たらフィンさんに面差しと毛色が似た、目鼻立ちハッキリした気の強そうな美男美女が彼の子供である、第一子ダムルと第二子グラーニャ。
……残念ながら、この2人はアニスさん達のお眼鏡に叶ってない。
ディルの事は気に入ってるみたいで実力もそれなりやねんけど……弱いと思った相手を見下しちゃうねんて。
……双子も「雑魚のクセにディルムッドに近寄るな」とか……結構色々、言われた事あるらしい。
20歳でBランクパーティー(レベル40相当)名乗れるあの双子も、結構凄いのにね?
本当はフィンさんの奥さんであるマーニャさんもパーティーに居て、普段なら他所様と喧嘩しない様にストッパー役らしいねんけど……お酒が苦手やからって、この時は宿泊していた別の宿で留守番してたみたい。
マーニャさんも、まさか別の宿の酒場に行くとは思ってなかったみたいで。
……この次の日に、大量の焼き菓子持ってマーニャさんが土下座しながら色々説明してくれてんけど。
理由は、まあこの後色々あってね〜!
「……それ程身を寄せ尾を絡ませてるくせに、ヤル事ヤッてないのはその女が幼いからだろう。ならその女は妾にでもして、グラーニャを娶って俺のパーティーに来い、ディル」
突然のセクハラ暴言に、私の思考は一瞬止まった。
「……………………え? …………はあ!!?」
え、突然何言い出すのこのおっさん!?
あ、アニスさんがっ、驚きすぎて泡吹きかけてる!?
ディルまで石像みたいに固まってるし!?
待って待って、この人ディルと……そこの女の子を結婚させるって言った!?
しかも何、私達の夜のもにょもにょ……プライベート暴露してくれてんのってか知ってんの!!?
私の驚き顔に、フィンさんはむすっと顔をしかめたまま口を開いた。
「……ヒトのお前は知らんだろうが、獣人にはニオイで分かるんだよ」
何そのデリカシー無い特技!?
はくはくと何も言えずにいる私に、まだまだ肌寒いのに布面積少ない踊り子っぽい服を纏ったグラーニャは、美しい顔をニヤリといやらしく笑いながら近寄って来た。
「ふん……子供は寝る時間よ? そこ退きなさいよ」
そう言いながら私の肩を掴もうとしたグラーニャから、ディルは自身の膝の上に私を移動させた。
ディルは、信じられないと言いたげな顔でグラーニャ達を見上げていた。
……実はこの時、グラーニャは私の肩を握り潰そうとしてた、と後でディルに教えられた時はガチで怯えたわ。
話し合いはないのか脳筋め!
「……なん、で?」
「何故か、だと? ……ふん。目を覚ませディルムッド。お前に、子守なんてしている暇は無い」
「そうだよ! 俺達を頼ってくれたから、てっきりパーティーに来る決心してくれたのかって……」
……成る程。
同じ虎の獣人という事で、前からディルを誘ってたんやな。
んで、ディルは拒否ってたんか。
フィンさんとダムルの言葉に、ディルは首を横に何度も振って否定した。
「マイは、俺のお嫁さんっ! ……マイの側、離れたくないから……だからお願いしただけ!」
ぐるぐる唸って荒ぶるディルを背中に感じながら、私と目が合ったアニスさんは教えてくれた。
獣人はツガイが出来ると優先順位が著しく変わる。ぶっちゃけ嫁第一、子供第一になる。
だから若い頃に貯金を目一杯貯めて、ツガイが出来たら仕事しないで引き篭もるっていう獣人も、実は少なくない。
……フィンさんはそんな獣人になるな、と言いたいらしい。
ああ……うん。その習性、なんか納得。
ディルの貯金思い出すと、すっごい納得出来る。
一瞬意識が遠のいた時に、グラーニャの苛立つ声が聞こえた。
「人間がツガイなんて、あり得ない! ……ねぇあんた、ディルが子供っぽくて優しいから、利用してるんでしょ? ……お金ならあげるから、今すぐどっか行ってよ!」
「なんて事言うんだい、グラーニャ!」
アニスさんの怒鳴り声を無視したグラーニャは、腰にくくり付けた袋から札束……1万ギル紙幣の分厚い束を2つ、私とディルの目の前の床に投げ捨てた。
……うわ、マジか。
私もう、ドン引きやねんけど。マジで居るんやね、こんな感じの人。
「……そんな理由でお金は恵んでもらうもんでもないし、投げ捨てるもんでもないよ……えっと、この娘さんのお父さん……フィンさんやっけ?」
私がグラーニャ無視して大柄なフィンさんを見上げれば、ぐるぐる威嚇し始めたグラーニャをフィンさんは視線1つで黙らせた。
そして、フィンさんは青い瞳をギラギラと光らせながら鋭い視線で私を射抜く。
「なんだ」
……ふん。そんな視線、怖ないし。
私の背後には、この世界で1番頼りになる旦那様が居るんやからな!
脅しなんか、効かん!
「いや〜、フィンさんとこはおもろい教育方針やなぁと思って。……お金と暴力で解決なんて、野蛮ですねぇ?」
「「はぁ!?」」
いやいや。ダムルとグラーニャは半ギレ気味に私を睨んでるけど、脅してからの買収しようとしてんから、そう思われてもしゃーないやん?
ちらり、と自身の子供達に視線を向けた後。
眉間に深いシワを刻んだフィンさんに私はまた睨まれた。
……心なしか、ギラギラ感の無くなった視線やったけど。
「まるで、知能の低い畜生と言いたげだな……小娘」
その返事に、私は思わず鼻で笑ってしまった。
「いやいや、ちゃいますよぉ。……娘さんがした事と同じやなんて、そこらの畜生にも失礼ちゃいますかって話です」
私のにっこり笑顔の返しにアニスさんは吹き出し、グラーニャの獣じみた唸り声は大きくなった。
そんなグラーニャの様子を見たフィンさんはため息を1つこぼし、投げ捨てられた札束に視線を向けた。
「……グラーニャ、片付けろ」
「父さん!?」
味方のはずの父親が発した言葉を信じられないのか、グラーニャの明るい青い瞳は驚愕に見開かれた。
そんな娘を無視し、フィンさんは低い声を更に低くしながら命じた。
「この俺の前で、みっともない事をするな。……さっさと、片付けろ」
フィンさんの苛立った声に少し怯えたグラーニャは、悔しげに唇を噛み締めながら札束を元の袋に片付けた。
ダムルはそんな妹の頭を撫でて慰めてる。
うんうん。素直でよろしい。
……でも、いつも可愛い旦那様の無言が怪しいなぁ?
私の背後から、びったんびったん何か叩きつける音……聞こえるなぁ?
「いや〜それにしてもフィンさん達、大丈夫ですかねぇ?」
「……何がだ?」
あれ、気付いてない?
「私はディルの事が好きで可愛くて愛しちゃってるので離れるの論外やし、娘のサーリーの事も好きで可愛くて大事なんで手放すの論外やしぃ……自惚れでも何でもなく、ディルは私とサーリーが好きで好きで愛してくれちゃってるんでぇ。……ある意味、今の幸せ捨てろって言っちゃった皆さんはぁ……このままやとディルに完全に嫌われますが宜しいでしょうかぁ?」
「「「……」」」
私の言葉に、3人はディルの顔をチラ見した。
……そして、フィンさん含む3人は親子そろった美形顔から脂汗を滝のように流しだした。わお。
「……マイ、大丈夫。俺もぅフィン達、嫌い」
「「ふぎゃっ!!?」」
ディルの素敵ボイスで発した嫌い発言に、ダムルとグラーニャは悲しげに鳴いた。
あ〜ほら、言わんこっちゃない。
背後のディルを見上げれば、普段のカッコよくて笑顔の可愛い顔が……眉間の深過ぎるシワのせいで、予想通りの数百人やっちまった殺人鬼顔になってるやんか!
「……あ〜あ〜ディルにき〜らわれてやんの〜あっひゃっはっはっ!」
そして。
彼等の落ち込んだ顔がもの凄く面白く見えた私は、ディルの膝の上で手を叩いて爆笑し始めた。
……周囲の関係無いお客さん、ドン引きしてたらしいよ。これ、アニスさん情報。
ひーひー笑い続ける私を、ディルは優しく頭と肩を撫でて落ち着かせようとしてくれた。
「……マイ、結構酔ってる?」
あ、もう優しい顔に戻ってる。
前髪に隠れた金色の猫目が、笑ってるお陰で綺麗な三日月や。
……酔ってるかどうかって、どうなんやろ?
意識はハッキリしてるつもりやけど……アニスさんの作ってくれた甘いカクテル、すっごく美味しくてお代わり結構したかも?
「多分ね……色々興奮して、酒も回っちゃったか……ほらマイ、水飲みな」
アニスさんが呆れながら、水の入ったコップをディルに渡した。
左手で私の頭を撫でながら、右手のコップを私に握らせようとするディルを無視して、ディルの胸元のシャツを握って上目遣いで擦り寄った。
「ん〜、ディル……お水、飲ませて?」
普段撫でるの私やから、ディルに撫でられるの珍しぃ。嬉しい。
同じ石鹸使ってるのに、なんかいい匂いする。撫でる手が優しくて気持ちいい。
……くっ付いてると、あったかい。すりすりが止まらん。
「ふにゅっ……マイが、甘えんぼ…………んぅ」
撫でられてメロメロになって使い物にならない私の願い通り、ディルは水を飲ませてくれた。
なんとも器用に、口移しで。
周りから「きゃっ」とかいう野太いおっさんの悲鳴が聞こえた気もするけど。気のせいにしとこ。
そんで、がっつり酔っ払ってて周囲を気にせずラブラブちゅっちゅでお水飲ませてもらった私は、周囲の関係無いお客さんに羨望されたりドン引きされたりした。
……そんで、ふと気付いたら。
ディルが私を抱えたまま≪アイテムボックス≫から愛用の黒槍を取り出し。
青褪めたグラーニャへと、黒槍の穂先を向けていた。
仰ぎ見たディルは……最近では珍しい、無表情やった。眉間にシワ刻まれてた八重歯覗く殺人鬼顔より、ちょっと怖い。
なんでやと思って周囲を確認したら、グラーニャの手には針みたいに細長い剣……レイピアが握られていた。
……あ〜あ。やっちまったなぁ。
……しかもこれ、今にも刺し殺す勢い?
とてつもない危険を感じたのか、ダムルとフィンさんは額に脂汗を滲ませてその背にグラーニャを隠す様に、ディルと私の前に立った。
「ディル待てっ!」
「……得物、先に仕舞え」
ダムルの制止の声を無視する形で発する、ディルの美声は絶対零度に冷え切ってる。
場違いやけど、私の胸は高鳴って……私以外は、恐怖でガクブル震えてた。私以外に殺気振りまいてるみたい。
平気そうなの、フィンさんだけや。
「……ディルムッド」
「……俺、今、先に仕舞えって言った。……フィンも心臓、要らないの?」
ディルはこてっと首を傾げながら、黒槍の穂先をフィンさんに変えた。
……普段なら子供っぽい可愛い仕草に見えるのに、この状況やと周囲には異様な姿に映ってるんやろうなぁ。ガクブル震える要員増えてもうた。
フィンさんは溜息1つ零し、ディルから視線を逸らすことなく口を開いた。
「……グラーニャ、仕舞え」
「でもっ」
「お前は、ディルムッドとの力量差も分からんのかっ!!!」
フィンさんの威圧する様な怒号に、グラーニャは唇を噛み締めながら武器を消した。
……フィンさん達3人でも、ディル相手するのは大変なんや。私の旦那様、マジ最強。
それを見ていた私はくっついたままディルの背中をゆっくりと撫で、彼の膝から降りた。
手綱の代わりにディルとしっかり手を繋いだ状態で、私はグラーニャに目を向けた。
武器はしまったみたいやけど……私に対する圧が凄い。
そのせいでディルは黒槍片付けない。
私の手を離すつもりは無いみたいやけど……もう、危ないなぁ。
「……何で、何でこんなガキなのよっ!」
ディルの殺気に当てられて半泣きになっても、グラーニャはまだ口を開けるらしい。根性あるな。
てか、まだそこ問題なんか。
「いや私、次の春で29歳ですけど?」
「え、歳上? ……マジ!?」
ダムルは私を上から下まで流し見てからあり得ない、と首を横に振った。
あ、フィンさんも片眉くいっとあげて不思議さアピールしてる。
いやー、若く見えすぎるのも問題やなぁ。
そして、ダムルと会話した私が嫌やったディルは、私の後ろから自分の腕の中に抱き込んで、私の腰に尻尾まで絡ませて来た。
……他の男と、話すなと?
えっ嫉妬してんの何それ可愛いかあいいキュン死するぅぅぅ!
(マイの酔いはまだ完全には覚めてません。あしからず)
目の前でふりふりしてる尻尾の先っぽなでなでしてたら、頭の上にディルの顎の感触が。機嫌、ちょっとマシになったかな?
「……ちゃんと、グラーニャに返事しといたら?」
色々おかしいけど、グラーニャもディルが好きってのは間違いないんやろうし。でも私居るしな。ごめんなさいはしとこうや。
そんな気持ちを込めて、私はディルを見上げた。
「……俺、グラーニャに……お嫁さんにしないって前、言ったよ?」
あ、もうお断りしてたんか。
「いつ?」
「グラーニャと初めて会った日の夜」
「めっちゃ最初やとぅ!?」
私のツッコミに、グラーニャは青い瞳に涙いっぱい溜めながら睨んできた。
「だから、なんでって聞いてんでしょ!?」
「にゃん、で? …………好きじゃ、ないから!」
当たり前だと言いたげに、ディルはグラーニャに言い切った。
この時ざすっ、とハラワタに風穴が開いちゃった様な音が……あれ、空耳?
……ねえ、グラーニャさん。
床に五体投地しちまってるけど、大丈夫?
「……なん、で……好きじゃないの、よ」
おお、まだディルに声掛けられるグラーニャの根性、凄い!
ディルは私の頭にすりすりしながら、私を抱く力を少し強くした。
「……体、べたべた触られるの、気持ち悪かった」
「「その話詳しく聞こうか!?」」
私とアニスさんの心は1つになって、ディルをカウンター席の隅っこに連れて行き話を聞く事に。
追いかけようとしたグラーニャをフィンさんが捕獲して「どういう事だ?」って尋問始めてる。ダムルも困惑してるっぽい。
……フィンさんとダムルは、知らんかったんか?
……そしてディルの拙い説明から、私とアニスさんは悟った。
強くてカッコいいディルに憧れていたグラーニャは、依頼の最中……それも危険度が高い、いくつかのパーティーと合同で受けていた依頼の最中に、ディルの寝床に侵入して……性に無知なディルを、言いくるめて色々しようとしたみたい。
でもそれを、他のパーティーに咎められ未遂に終わったらしいという事を。
「「おいそこの性犯罪未遂犯」」
「誰よそれ!?」
いやいやお前や!
私とアニスさんの心からの侮蔑と罵り、受け取れや!?
「あんた以外居ないわこの馬鹿! 昔のディルムッドの精神年齢どんなもんか知り合ってすぐに分かっただろうがぁっ!!?」
そして始まる、アニスさんの説教と言う名の暴力。
そしてやっぱり、この事実を知らなかったフィンさんとダムルはグラーニャを引きずって店から出て行った。
「……俺の言った事は、全て忘れろ。……悪かったな」
去り際、フィンさんはそれだけ言ってディルから離れ、アニスさんと他のお客さんへのお詫びとして多めの酒代置いて行ったそうです。
……自分の非を認め出来る分の責任果たしてから去る姿に、確かにマトモな人物かもなぁと私は思った。
そして次の日。
娘の愚かな行為を、献上品としてサーリーの為に焼き菓子持ってジャンピング土下座しながら謝罪しに来た母親のマーニャさんとの交流があったりした。
それにしても、グラーニャ……体は成長してるとは言え……よ、幼児に……ディルになんて事をっ!?
「ぐすっ……ディル……ぁあ、かわいそうに。怖かったよなぁ。ごめんなぁ私が居ったら守ってあげれたのになぁ。……ぅう、私に撫でられんの、気持ち悪うない? 無理してない?」
ちょっとだけ淋しいけど、ディルが嫌ならプラトニックでもドンと来いやから!
お酒のせいで感情の起伏が激しく、鼻水垂れそうな私の泣き顔見て……何故かディルはうっとりとした、お酒に酔ったみたいな顔になってた。
「……ぅうん。俺、マイに撫でられるの好き……だから、もっと触って?」
「ええいそこのバカップルも目に痛いからっ、いい加減にしなっ!」
アニスさんの拳骨一発もらっちゃったディルは、それでも色っぽい顔で微笑みながら私のほっぺにすりすりしてくれました。
私、幸せ!
…………まあ、実はこの後。
サーリーの眠る部屋とは離れた別室を、フィンさんの言葉で思うことがあったらしいアニスさんに貸し与えられた。
……そんでこれでもか、とディルに舐められまくって触られまくって色々されちまった。
双子を殺したいなって思うくらいの羞恥を感じました。まる。
……つ、次にあの3人やポルクさんに会った時めっちゃ気まずいやんかぁ!
あ、ついにやっちまいました。
謝罪終わった後仲良くおしゃべり友達になったマーニャさんには落ち着いてから「あらあらまあまあおめでとう!」とか言われてたよ。
虎にゃんこ、オトナだね!(笑)
そして今週は臨時投稿あります。明日の朝6時で予約してます!




