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少し説明文が多めです。

それでも宜しかったらどうぞ。

 


 サルーの町にある冒険者ギルドはこの国、≪デカラビア≫の中でも1・2を争う規模らしい。


 魔力の込められた特殊な材料で建てられた3階建てのこのギルドには、受付カウンターは横一列に6つ。買取カウンターは日によって変わるけど、大体2つ3つ。


 大掛かりなモンスターの解体なんかがあると、買取カウンターの人も職人らしく奥の加工場に助っ人に行っちゃうみたいやね。


 2階には簡易の医務室があり、なんと回復魔法持ちの冒険者も数人待機してる。

 ギルド自体が依頼主になって雇ってるみたい。



「お疲れ様でしたー。またお願いしますねー!」


「はーい!」


「……」



 昼食後サルーの町に戻って来た私とディルは冒険者ギルドへの報告もささっと済ませ、早速フェールさんの経営する道具屋さんへと向かった。


 先程手に入れた、アンデッド・ビッグホーンラビット(今回の討伐モンスター)の素材を売る為に。



 ……うーん。それにしても……。



「……私、もしかしてこの世界に来てからのモンスターって、アンデッドばっか?」



 そう。



 ディルと出逢えた≪ヒヒの森≫では、お腐れマントヒヒ。


 今回討伐した、角生えたお腐れデカ兎。


 ディルが受けてた名指し依頼も、実はお腐れキメラやお腐れドラゴン、お腐れデカタコなどなど。



 みぃんな、元々居るモンスターがお腐れ……アンデッド化してた。



 私の呟きに、隣を歩くディルは小さく頷いてくれた。



「………………昔より……凄く、増えた」


「そうなの?」



 この世界のモンスターは、普通に倒したらドロップアイテムに変化する。

 だから、()()()()()()()筈。


 なのに、元々のモンスターがアンデッド・モンスターとして存在するのは何故?



「…………皆、噂……してる」


「……噂?」


「今回のモンスター活性化の原因が≪不死王≫(ノーライフ・キング)なんじゃないかって、冒険者の間で噂になってるんだよ」


「え……フェールさん!」



 ディルと話しながら、そろそろ道を右に曲がらないと、と思っていたら私達の前から紙袋を抱え耳を尖らせたおじ様、フェールさんが近づいてきていた。


 この時間まだお店のはず……そういえば、買い出しに出る時は近所に住んでるポルクさんに店番頼むって言ってたな。それでか。


 私達の目的地がフェールさんのお店と知り、そのまま一緒に向かう事になった。



「その、≪不死王≫(ノーライフ・キング)って何ですか?」



 確か骸骨の親玉……ラスボスっぽい感じの敵キャラでゲームで聞いたことも見たこともある。



「……ずっとずっと、遠い昔の話なんだけど……病死してしまった自分の妻を、生き返らせようとしたダークエルフが居たらしい」




 この異世界≪リヴァイヴァル≫には3つの大陸があり、海もちゃんとある。


 3つの大陸の内側にあるのが内海(ないかい)、外側を外海(がいかい)と呼んでる。


 世界地図は内海を中心にして描かれているから……大陸を線で繋げば、頑張ったら三角形に見えるかな?



 内海から北にある、楕円形の大陸が人の国≪ユートピア≫

 ディルとアニスさん達の生まれ故郷が、この国。


 アニスさん達は双子を育て終わった後……ギルドに入って冒険者になったのを見届けてから、知り合いに誘われていた宿経営をする為≪デカラビア≫に移住。ここサルーの町で暮らしてきたんやって。



 そして内海から南西にある、潰れた星型に見える大陸が獣人の国≪デカラビア≫

 私達が今居るのが、この国。


 獣人の国とは名ばかりの、人もエルフも色々住んでる多民族国家。



 そして最後。

 内海から南東にある、美しい正三角形……定規で描いたみたいに正確な形をした大陸。

 それが魔の国≪デスペリア≫


 魔の国なんて言われてるけど、異世界あるあるな魔族が住んでいるのではなく……物理よりも魔力ステータス高い種族が多いってだけみたいやね。


 ……まあ、野生的な獣人達よりも弱肉強食の世界観がものごっつ強いらしくて、結構好戦的な性格の方々が多いらしい。正直、会いたくない。



 ≪ユートピア≫と≪デカラビア≫は大陸同士が近く、200年くらい前に互いの大陸を繋ぐ大きな橋が出来てからは国交がより盛んになってる。


 反対に、≪ユートピア≫と≪デスペリア≫は距離があるので、飛行機や飛行船がまだ存在していないこの世界では飛行能力持ちか船で向かうのが一般的。

 ……今は戦争こそ考えていないらしいけど、そこまで仲良くしてないらしいよ。


 ≪デカラビア≫と≪デスペリア≫は大陸同士は近いけれど、その間の海域……内海と外海に挟まれた海域が人魚達の住処になっていて、年中高波や渦潮で橋も船も不可能になってる。


 飛行能力のある人以外は、()()()()()人魚の村を通って互いに行き来してるんやって。


 海の中……異世界って、凄い。




 ……話は戻って。

 ダークエルフは主に≪デスペリア≫に住んでいる珍しい種族。


 魔力系ステータスが異常に高く、寿命も普通のエルフが300年のところを彼等は500年近く……もっと生きるとも言われている。

 なので外見年齢も凄くゆっくり変わっていって……フェールさんはやっぱりエルフやってんけど、今220歳。なのに見た目、50歳くらい。

 ……アニスさんのジジイ発言は正しかったんです。


 ネット小説とかで見る、ハイエルフって感じと思えば分かりやすいか。あっちはもっと長生きなイメージやけど。



「上位の回復魔法は、失った腕や臓器を復活させることは出来ても……命までは、取り戻せない。だから一族の誰よりも魔法に長けていたそのダークエルフは、魔法の研究にのめり込んでしまって……」


「……自分が、≪不死王≫(ノーライフ・キング)ってモンスターになっちゃったんですか?」



 それは、ちょっと、しょんぼりするお話としか言えない。



「まあ、そう言われてるってだけだよ。……でも、最近うちに持ち込まれる素材がアンデッド・モンスターに偏ってるのは事実だからね……ディルムッド」


「……?」



 フェールさんの真剣な表情に、ディルは首をこてっと傾けた。



「ディランに叱られたくないなら、しっかりと彼女を守るんだ。いいね?」


「……ぅん!」


「……ディラン?」



 どっかで聞いた名前……あ。


 私が初めて皆に会った時、ポルクさんがその名前鳴き叫んでたっけ?



「……ああ、ディルムッドの父親だよ。私とディランとポルク爺さんは、飲み仲間でね……ディランは獣人にしては変わり者呼ばわりされてたが……口が悪いのがたまに傷な、照れ屋で、そのくせ誰にでも優しく出来る……気の良い奴だったんだよ」


「……そうなんですか」



 そう言葉にしたフェールさんのディルに向ける眼差しも、私にはとても優しく見えて。



 ……記憶の中。

 私を見つめる父親の姿とダブって、小さな胸が少し苦しくなった。



 そして話しながら道なりに進めば、目的地『ポポの道具屋』の看板が見えた。



 ディルやフェールさん達の故郷である、ポポの村から名前は貰ったらしい。



 そして、道具屋の扉の前に立った時。

 後ろから声を掛けられた。




「……やっと見つけた! 王子様!!!」




 結構な大声に私達が振り返れば。

 赤い子供用のチャイナドレスとズボンを着た……5、6歳の褐色肌で銀髪の美幼女が、ディルに右手の人差し指を向けて満面の笑みを浮かべていた。



 え、何。

 めちゃくちゃ可愛い子やけど……誰?



「……ディルの、知り合い?」


「……?」



 不思議そうに美幼女を眺めたディルは、首を横に振った。

 本人の記憶には無いらしい。


 ……それにしては凄い懐いてる。今の会話の間に走り寄って来て、既にディルの腰にくっ付いてるよ?


 無意識にディル、美幼女の頭撫でてるよ?



「こんな所に、ダークエルフの子供とは……ディルが依頼先で助けたんじゃないか?」



 フェールさんの言葉に、確かに、と私は思った。



 健康的な褐色肌に、煌めくストレートロングな銀髪。

 将来絶対美人さん間違いなしの顔には、美しく大きな紫紺の瞳。


 ……その左頬には不釣り合いすぎる、大ぶりの絆創膏が貼られていたから。



「怪我、してるの? ……私、回復魔法使えるから治そうか?」



 そう言って手を差し出せば、美幼女は首を大きく横に振ってディルの背中に隠れた。



 そのちょっと、怯えた顔も、可愛いな。



「っ……ほ、ほっといて! ……これは、生まれつき大きな痣があるだけで……恥ずかしいから貼ってるだけ! ……心配、してくれて…………ぁりがと」


「ぐっ…………そ、そう?」



 え、どうしよう。可愛い。


 その、おしゃまでツンデレな感じだったのを最後のデレが持っていくの可愛いです。



 ……うん。ディルとは違った可愛さ、いいねっ!!!



「……む」

(べりっ)


「あっ……」



 私が勝手にメロメロになってたら、ディルが美幼女を自分から引き剥がしてフェールさんの腕の中にポイした。



 そしてディルの腕の中に、私が居る。


 うん。なんでや?



「えっディル?」



 向かい合って抱き締める形に収まってるの、なんでや?


 ディルを見上げれば。

 間近だとよく分かる、彼の美しい金色の猫目は、私だけを見てる。



「…………マイは、俺……好き?」


「え、うん」



 ディルは知らんでしょうが、愛でるものから恋愛対象にがっつりなっとりますが?



「にゃぅ……………………一番、好き?」



 子猫のような鳴き声と、もっさり前髪の隙間から覗く、潤みだした金色は心臓に悪い。


 何度でも言う。心臓に、悪い!!!



「この世界で一番好きですっ!!!」


「っっっ俺もマイ一番好きっ!!!」


「ぐふぇっ」



 背骨痛いくらい抱き締められてるけど!

 ご褒美だから我慢する!


 子供特有の母親の注目集めたいって感じの独占欲やろうけど、幸せ!





「…………? …………???」


「うん。気持ちは分かるけどね、お嬢ちゃん。……世の中には、気にしたら負けって言葉もあるんだよ」


「もういいから店に入ってくれ頼むから入ってくれぇいたたまれんのじゃよぅ〜!」



 店の前で始まったなんちゃってラブシーンに、扉の前でスタンバッてたポルクさんが店から飛び出してきたけど。



 気にしたら、負けやんな!







はい、負けですね(笑)


追記

内容はほぼ変えず少し書き直しました。

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