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マイ視点に戻ります。

お久しぶりの2人漫才にお付き合いください(笑)


 




 一緒に依頼を受けよう、とディルと話した数日後の本日。

 生憎の曇天模様なお空となりましたが、念願の、ディルとの初めての冒険へと出発しました!





 ……まあ、そうは言ってもピクニック気分になりそうなくらいの近場なんですがね?(笑)



 パーティー≪ニクジャガ≫としての初めての依頼は、サルーの町と隣町とを繋ぐ街道に出没するモンスターの討伐。


 私の戦闘技術向上の為、ディルは今回サポート中心。

 本日のメインアタッカーは、なんと、私!




 ガサガサ


 ガサガサ


 ガサッ




「「…………」」




 見晴らしの良い平原に出来たこの街道には、所々、道を挟むように木や草が生い茂っている所がある。

 背の高い草に木の実や葉の多い樹木が密集してるけど、森とは呼べない程度の範囲。


 ……うん。これなら日差しの強い日や、長旅の一服場所として使われそうやな。


 日陰や暗闇を好む動植物のモンスターは多いので、旅人達が休憩している隙をついて襲って来る事があるらしい。

 しかし、全ての木や草を刈り取るわけにもいかない。


 定期的にモンスター討伐依頼がギルドにやって来るって訳。



 私とディルは草木に挟まれた街道の中央に立ち、怪しげに揺れる草周辺に狙いを定めた。そして……。




 ガササッ




「……今!」


「≪ショット≫!」


「ぶぶぅーーーっ!!?」



 ディルの合図に、私は初期装備として神様に貰ったマジック・ピストルを3発撃ち……見事っ、オデコから可愛くない角生やしたゾンビ兎を仕留めました!!!



「「やったー!!!」」



 喜びのあまり、ディルとハイタッチしちゃった。

 いい歳したおばちゃんやのにね。反省。



 いやー。何とかなって良かったぁ。



 Maxにした≪鷹の目≫スキルのお陰でちゃあんと狙えるんやけど、まだ慣れてないから撃った反動で手がブレて照準もズレる。


 ディルのアドバイスで、3連続で撃ち込んだら多少ズレても当たるよ、と言われたので実践。見事いけました!

 慣れたら一撃必殺っぽくなる、筈や!


 私の銃は魔力を弾丸として撃つので、MPがある限り弾切れの心配が無いのも試した理由です。

 なんせ1発1MP消費。≪結界≫使う場合の事も考えるとエコで助かる。


 しかもMP回復のエーテル、神様がサービスしてくれて≪アイテムボックス≫の中にあるし。

 ポーションやエーテルには下級、中級、上級の品質のもあって、私が貰ったのは大盤振る舞いに全種類をなんと10個ずつ!


 ちなみに下級ポーションはHP100、下級エーテルはMP50、それぞれ回復してくれるらしい。


 ……まぁ。ちゃあんと寝て起きたら、HPもMPも全回復するから。暫くは荷物の肥やしやな。



 ……慣れって、怖いなぁ。

(マイは現在、上半身裸のディルと同じベッドの中で羽交い締めにされながら寝ています)



 は、裸のディルにくっ付いて寝るのはっ、恥ずかしい、けど……ものごっつ恥ずかしいねんけど!

 ……ディル、めっちゃ温いし。他人の心臓の音って、聞いてると睡魔がやって来るのか気付いたら寝てる。熟睡。


 むしろ安眠になりつつある。

 ……乙女としてはふくざつぅ。



 そんな悶々としながらも、街道を移動しながらぶぅぶぅ鳴き叫ぶモンスター達を撃ち抜いていき。

 昼前には10本目の立派な角(ちょっと腐ってる)を回収出来ました。


 後は証拠としてこの角をギルドで確認してもらって、報酬を受け取るだけ。

 今回は討伐依頼やったから、素材は私達の物。

 ギルドでも買い取ってくれるけど、鍛冶屋や道具屋に直接持って行くのも有りやねんて。


 フェールさんが道具屋を経営してるから、後で顔を出してみよっと。




「「いただきます」」




 手を合わせながらのディルと2人。

 綺麗にした街道脇の木陰でレジャーシートならぬ風呂敷広げての昼食タイム。



 ……念の為、私の≪聖結界≫は発動中。ディルが居るけど、万が一ってのがあるしね。



 本日のお弁当は、鶏肉とキノコの炊き込みご飯をおにぎりにしたのと、関西風のだし巻き卵。


 熱々を握るの苦労するかなって最初は思ってんけど……思いついて、試しに≪結界≫張った状態で握るとまったく熱くなかった。



 異世界って、本当に、便利!

(本来の用途とは違う使用方法です。真似しないで下さい)



「ぁふ…………あったかいの、おいしい」



 ディルは少し猫舌入ってるけど、まだまだ寒いのであったかいご飯は嬉しいみたいや。

 無表情ながら、嬉しそうな雰囲気でおにぎりを頬張ってくれてる。



「ふふ。ディルの≪アイテムボックス≫は時間停止ないもんね。……いっぱい作ったから、慌てないで食べてね! ……はい、お茶」


「…………ぁりがとう」

(にぱ〜)



 ああ。

 どっかの2次元に存在する腹黒少女のあざとい「にぱ〜」ではない、純粋かつ清らかな心の持ち主の「にぱ〜」の破壊力っ!



「ぅぬんっ」



 ぁあああかあいいなあああぁっ!!!


 こんだけ笑顔で喜んでくれるなら、作りがいありまくりだから!

 むしろ捧げ続けるから!!!

(けっして宗教ではございません)


 ぅっうっうっ…………ご飯でも何でも頑張るから、マジで、お嫁にしてくんないかな…………。



 ……はっ、駄目駄目!

 正気を取り戻せ、私!



 ディルの精神が大人になったら、……私と違って可愛くて優しくて良い子な彼女連れて来るかもしれんやろっ!?

 私は家族……身内なんや。勘違い、したらあかんのや。傷が、深くなるっ!


 ……私は、ディルの選択を邪魔しない。

 どんな結果になっても、私は笑顔で、喜……べるかぁチクショウ!!!



「ぅぅ〜我ながら卵焼き美味しいよ〜」



 でも心の葛藤が複雑過ぎるよぅ〜。



 そんな感じにアホになっていた私は、ディルの薄っすら赤く染まった頬と、小さな声に気付いていなかった。



「………………にゃ。かぁいい」


「ぐすん。……ん? 何? あ、おにぎりのおかわり?」


「にゃ、うん!」



 そんな、ある意味カオスな昼食を終えて。

 私達は拠点にしているサルーの町に帰った。





 そして、私達は出逢った。




「……やっと見つけた! 王子様!!!」




 可愛い可愛い、銀髪に褐色肌のちみっこ魔法使い。



 ……彼女の波乱万丈な運命を、異世界≪リヴァイヴァル≫の命運を。


 しっかりがっつり、私達も背負う事の決まった瞬間でもあった。



 



これは、マイに可愛くて愉快な家族が出来るお話です。

なので旦那様とお嫁さんに、娘がやって来ます!


追記

内容はほぼ変えず少し書き直しました。


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