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ほんの少し腐な表現がありますが、実害はないです。

私も特に偏見とかはありません。

ただ可愛いのが悪いんです(え)


 




 曰く。


 こんなに小さいのに、とっても美味しい料理が出来て凄いなぁ、と思って褒めたつもりでした。



 曰く。


 昨日の夜は寒かったから、きっと遠慮して言えないんだと無理に抱え込んで湯たんぽ代わりになったつもりでした。



 曰く。


 …………ベタベタした行為に、そんな、不埒な気持ちは、一切合切無かったんです。




 私の目の前で床に正座しているディルムッドさんからその様な説明をされ(実際にはフェールさんが説明してくれました)




  …………私の、恋が、終わった。




 ………い、言われてみたら……例え異世界でも、恋人でもない女にする態度では、なかったよなぁ。


 子供……子供かぁ。





 え、泣いていい?





「ディルムッドはお人好しと言うか、子供に弱くてね……ここいらの悪ガキ共はその事知ってて、具合が悪いから薬が欲しいって言って上級ポーションとか高値で売れる物を騙し取るんだよ」



 あんたは常識人みたいで良かったよ、とはひと暴れしてスッキリしたアニスさんの言葉。



「彼奴は、優しいんじゃよ」


「その上馬鹿みたいに強いし、普段は無表情でどちらかと言うと強面なんだが……たまに笑うと、ああだろう?」



 そうですね。優しくて可愛いのは正義……ジャスティスですもんね。そこは分かりますよ、ポルクさん。フェールさん!



「オレ達、ちょっと前に隣町の連れ込み宿に手引かれていくディルムッド見て仰天したからなぁ。……どう見ても客引きじゃない、ムキムキな頬染めてる男が相手だったからさ。まあ魔法ぶっ放してディルムッド連れて逃げたけど」


「ああ、あん時はマジで心臓ひゅってなった」



 わたしもひゅってなった。


 だめ。それはだめ。

 あいはじゆうやけど、へんけんはないんやけど、でもディルムッドさんはあげません!



「……マイ、あ、あの……勘違い、して……ベタベタ、して……ごめんなさぃ」



 頭にタンコブ乗っけた状態で、半泣きになりながら謝ってくるディルムッドさん。かあいい。



「…………うん。なんかもう、大丈夫です。私、平気です」



 魂から色んな栄養出て行ってるけど、きっと大丈夫。




 ……餌付け頑張ろうぜ、私!!!



 脳内では泣き叫んでる私。

 でも、もういい大人の私はそんな姿はおくびにも出さずに微笑みながらディルムッドさんに声をかけた。



「……パーティー組んでくれる約束も、私が子供と思ってたからですか?」


「ち、違う!」



 ディルムッドさんの即答に、私は安堵した。



「……なら、成人してるおばさんですけど、これからも宜しくお願いします!」



 私もディルムッドさんの目の前に膝ついて、パーティー結成を再確認。


 ……メルヘンゲットまでの道のりは長いみたいやけど、負けずにいこう!



 新たな決意をした私を黙って見ていたディルムッドさんは、尻尾をせわしなく振りながら口を開いた。



「敬語……やめて。…………俺、22歳。……歳下」


「あ……そうなんですかぁ」



 う。7歳差か。

 私は気にしないけど……あれ、まさかまさかの冗談抜きでガチのおばちゃん扱いされたり?


 ……え、待ってどうしよう。泣けばいい?



 微笑んだ状態で固まってしまった私に、ディルムッドさんは手榴弾チックな発言をし始めた。



「……ディル」


「……何ですか、ディルムッドさん」


「ち、違うっ……ディル」


「へ?」


「……ディルって、呼んでくれないなら…………もぅ返事、しない」



 そう、口にしたディルムッドさんは……結構力強く、尻尾を床にびったんびったん叩きつけながら頬を少し膨らませている。

 あ、床に座ってるから叩いてる感じになってるだけか。

 ……尻尾大きく激しく振りまくるのは……猫だと不機嫌とかそんな時にするって聞いたような?



 ……え、まさか、拗ねてる?




「「「「「「……集合!!!」」」」」」



 私とアニスさん、そしてお客さんである4人集まっての円陣を作りました。


 ディルムッドさんは、何が何だか分かっていません。でも緊急事態なので取り敢えず放置しときますね!




「今のはどういう意味ですか愛称呼び強制されるとかそんな脈アリと思っていいんでしょうか私ってどうなんですかアニスさん!」


「怖い怖い真顔は怖い! ……わ、私もあんなこと言うディルムッド初めて見たよ」


「ワシもじゃ」


「私も」


「「てか拗ねてるの無駄に可愛い」」


「「「「マジそれな!」」」」



 本日が初対面ですが、≪ディルムッドさんかあいい同盟≫の仲間なので時間なんてそんな、つまらないモノ関係無い!



「…………む」



 そして。

 円陣の外、不機嫌そうに私の背後に忍び寄って来たディルムッドさんに。



 (よいしょ)(持ち上げられ)



「「「「「「あ」」」」」」



 (てくてく)(椅子まで運ばれ)



「「「「「「え」」」」」」



 (こらしょ)(乗せられた)



「でぃ、ディルムッドさん!!?」



 何で私を又もや太腿の上に乗せちゃうの!?



「マイが……ディルって、呼ぶまで……このまま」



 そう言って、私の頭に自分の頬を擦り付けながら安心したように喉鳴らす姿に私と周囲は騒然となった。



「「いやいや喉すげえ鳴ってるから!」」


「ぉおお……ディルムッドに、ディルムッドに……春が来たぞぉでぃらんんんわおーん!」(遠吠え&号泣)


「……ディルムッドの喉鳴らしてる姿……凄く、久し振りだ……ぐす。春だよ、ディラン」(ただの号泣)


「…………マイ。それ、嫌じゃないかい?」



 男達の阿鼻叫喚チックな様子を尻目に、アニスさんは私に声を掛けてくれた。


 返事は、決まってます。



「ただのご褒美タイムです!」



 腕だけやなくて、ふわもこ尻尾も絡んできて恥ずか幸せ感じてます!




 ……ねえ。私の勘違い、ちゃうの?




 もしかしなくても。

 私、メルヘンゲットなの?






次回は本編の少し前、マイと出逢う前のディルムッドのお話をちょろっとだけ。


追記

内容はほぼ変えず書き直しました。

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