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花見シーズン到来で忙しいですね、このまま直ぐゴールデン週間来るんでしょうね。

季節の変わり目皆さん大丈夫でしたか? 年々悪化する偏頭痛持ちの私は冷えピ◯と痛み止め、薄暗い部屋で寝っ転がって耐え忍んでます。

いのち、だいじに。


マイ視点で進んでます。一部読みにくいカタカナありますが自主的な規制です。さらっと流してくださると幸いです。

 


 この世界リヴァイヴァルの始まり。

 それは八百万の神が存在する私の産まれた世界で、月を司る神が命ある存在を()()()()()に狂いかけていた事が発端やった。


 緩衝材の様な役割を持っていた月の神が狂えば、世界と世界の均衡が崩れるらしい……想像やけど、世界同士の衝突や破壊、融合とかの危機があったんやと思う。

 異世界に連れてこられた私やから、分かる。

 こんなにも世界の(ことわり)がちゃうもん同士でぶつかったら、きっと世界は歪に、壊れてしまうんやって。


 だから月の神とは兄弟神になる太陽の神は、狂ってしまった月の神を癒す為に小さな箱庭(せかい)を創った。それが此処、《リヴァイヴァル》……私達が今、生きている世界。



 ガルガディア王の、今この時、この世界(リヴァイヴァル)に生きている人の言葉に。

 私達は自然とアオツキちゃんへ視線を向けていた。


 そして。

 アオツキちゃんの表情に全員が、どきっとしたと思う。


 アオツキちゃんは、微笑んでた。

 これでもかと慈愛が詰め込まれた様に甘く、優しい表情で。

 ほんまに嬉しそうな、幸せそうな微笑みを浮かべながら。



「大丈夫だよ」



 と、アオツキちゃんは言った。


 この時、私は一瞬。

「大丈夫」と言って微笑むアオツキちゃんの姿に、この世界から居なくなってしまった……幼く白い、月の神様の姿がダブって見えた。


 そんな、アオツキちゃんの幸せそうな顔を目の当たりにしたガルガディア王は被り直したばっかの為政者の顔をべろりと剥がされ困惑顔や。



『アオツキ殿? それはどういう……?』


「……心配しなくていい。そう僕が言っても、不安な事が多々あると思う。仕方ないとはいえ今、結果的に太陽が沈まないんだから……それでも」



 アオツキちゃんは、優しい微笑みを浮かべたまま。



「それでも、大丈夫だ。この世界は……お前達は、(ツクヨミ)に確かに愛されている。今も、これまでも……これからも」



 只々、当たり前の事を言い聞かせる様に言葉は紡がれる。



「例え永久(とわ)に触れる事も、見る事叶わぬとも。世界(リヴァイヴァル)に存在するモノ全ては……ただ存在するだけで、ただお前達が生きているだけで。(ツクヨミ)に愛され続けるから……だからもう少しだけ、待っていて欲しい」



 アオツキちゃんは、微笑みながらも困った様に小首を傾げてそう言い切った。

 でも明確な説明でもないその言葉に、やっぱり言われたガルガディア王も困り顔や。



『それが……その曖昧な言葉が神の思し召し(問い)への答えであると?』


「……駄目か?」


『……、……神に近しいと言われる聖属性の精霊の言葉としては、一国の王として受け取る事は出来ぬ』



 アオツキちゃんのしょんぼりした顔にガルガディア王は困惑しながらも応えてた。



『……しかし()()()()()()ならば受け入れ、今は納得しよう。夜を取り戻し落ち着いたら、きっと。きっと我が城を訪れてくれ。……我は既に十数年待っている。あと数週間、数ヶ月など待つ事にもならぬよ、我が友よ』


「……、……ありがとう」



 こうして、水鏡越しの邂逅は終わりを迎えて。

 水鏡の部屋から出た私達は、何か言いたげなリカルドさんに見送られながら地下から一階に続く階段を登る事になった。


 地下にあった部屋から、ノーランが開けた大穴が塞がったギルド一階のフロアに着くと、トンカチや杖を片手に建物の修繕、怪我人の治療活動していた大工さんっぽい人達とギルド職員、冒険者の皆が私達に気付いて手を止めていた。



「……もう、出発するのか」



 リカルドさんの言葉に、アオツキちゃんは大きく頷く。



「夜が無いって事は、人とモンスターだけじゃなく植物だって生態系が狂うからな。……夜にしか咲かない貴重な花や薬草だってある。急いだ方がいい」



 その言葉にギルド職員の女性陣がハッとした表情で奥の部屋に駆け込む。……夜に咲く系の貴重な素材、在庫確認しに行ったんやろな。



「リカルドさん、私らフェールさんに貰ったポーションとかも残ってるし、ご飯系も作り置きまだまだあるからこのまま行くわ。……出来るだけ、早く帰ってくるから。待っててや」


「……町の修理、あんまり手伝えなくてごめんね」


「……っ、あっはっはっ! 気にするのそこか! ディルムッド!」



 私の後にディルが申し訳なさそうに続けて言うもんだから、リカルドさんも笑うしかない。ノーランとサーリー、ルシファーだけじゃなく顔馴染みの冒険者の何人かも笑ってる。

 可愛い天然入ってるディル、私は大好きなんで! そんな「解せぬ」って感じで首傾げなくてもええねんで!



「……《デカラビア》の『聖域』は、濃い魔力によって空間が歪み全てを拒絶する様に侵入不可能となっている。……魔物は居ない、と思われているが……」



 リカルドさんの言葉に、私達は神妙に頷く。

 ……女神、アマテラスの干渉が何某かあるかもしれんって思うよな。私でも思ったし、皆も同じ事考えてたみたいやな。



「それでも、行ってくれるのか」


「行くよ。……だって俺のにいねぇちゃんが行くって決めたから。……俺達家族に、手伝ってくれって、相談してくれたから。何処にだって行くんだ」



 ディルの言葉に、ノーランの肩に座ってたアオツキちゃんはバッと勢いよくディルの方に顔を向けた。

 そんなアオツキちゃんを、ディルも嬉しそうに見てる。



「にいねぇちゃんがまだ、全部話してくれてないの知ってる。分かってる。でも、それでも。マイもサーリーもルシファーもノーランも……俺も、一緒に行くよ」


「ディル、お前……」


「……、……俺、嬉しいの。やっと、やっとにいねぇちゃんに頼ってもらえたから。もう何にも出来ない子虎じゃないって、認めてもらえたから」



 そう言う通り、ディルは嬉しそうに笑ってる。

 ずっと守ってくれてた、苦労してくれてた大好きな半身(かぞく)に頼られるのが、堪らなく嬉しいって顔で笑ってる。

 ……きっと、私だけやなくて家族皆も同じ顔で笑ってると思う。



「にいねぇちゃん。俺、頑張るね!」


「私もっ! 頑張る! 女神なんてやーってやっつける!」


『やっつける!』


「きっちりがっつりドタマニカザアナアケタルデ!」


「ぶっふっ! ……俺のセリフもいるか?」



 堪えきれてない笑いを誤魔化しながら自身のツガイの顔を覗き込もうとしたノーランの鼻に、小さな紅葉の手がぺちんとあたる。

 その手と腕は、真っ赤や。



「……いらないよ、バカ」



 アオツキちゃんの呟きの小ささに、ノーランはまた笑った。

 それを見ていたリカルドさん、ギルド職員の女性陣、冒険者一同も伝染したように吹き出し笑ってた。



「あっはっはっ、あっはっはっはっ!!! ……パーティー『ニクジャガ』の出陣だぞぅ、野朗共!!!」


「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」」」」」



 ギルドの正面玄関から出た私達の背中に、雄々しい雄叫びが追いかけて来る。


 外に居た冒険者達も、私達を見付けると自身の剣を、槍を、杖を、盾を頭上に掲げて雄叫びを上げながら私達を見送ってくれる。……嬉しいなぁ。

 責任重大なのに、皆の、世界の命運預っちまってんのに。むずむずとした喜びが私の中を駆け巡る。


 大好きな仲間に、友達に信頼されるって。頼られるって。

 こんなに嬉しいことなんやね。


 ちなみに、アニスさんは包丁とお玉を掲げて「帰って来たらご馳走あるからねーっ!」て、言ってくれたからめっちゃ「コーンスープ作ってー!」ってリクエストしちゃった!



「頼むぞディルムッド!」


「「「ノーランの兄貴ーーっ!!!」」」


「ちびっ子魔女様もいってらっしゃーい!」


「「サーリーちゃんがんばれー!!!」」


「りゅうさんかっこいいー!」


「我等に等しく慈悲を与えた聖女たる貴女様に、祝福を!」


「「「「聖女様に、敬礼!!!」」」」



 サルーの町に住む冒険者達、サーリーと友達の子供達、顔馴染みの商店の店主達、シスター、教会の騎士達皆に見送られながら私達はサルーの町を旅立った。



 目指すは《デカラビア》の世界樹がある『聖域』!

 私達が夜を取り戻す冒険の、始まりや!





にいねぇちゃん、ずっとお顔真っ赤ですから。


ちなみに空気を読んだ精霊さん達は気配を薄ーくして空の上からついて来てます。王様とのお話中はギルドの屋根で待機してましたのでご安心ください。

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