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マイ視点で進みますが、ほぼ会話で短いです

 

 怖過ぎるノーランの無表情をモノともせず、ガルガディア王はアオツキちゃんへ笑顔を向けたまま話し続ける。強心臓過ぎる、サスガ王様や。



『ああ、死ぬ前に胸の中の重石が取れそうだ。感謝するぞアオツキ殿』


「僕も望んでいた事だ、気にしなくていい……それより、()()()()()()に聞きたい事があったんじゃないのか?」


『!』


 ガルガディア王が驚いた様に目を見開く。まぁそれは私も思った。聖属性のって聞いて、ガルガディア王一瞬だけ反応おかしかったし、なんか目の色も変わってた気がする。アオツキちゃんの親友話で有耶無耶になっちゃってたけど。


 アオツキちゃんが心配してた身体の主導権問題とか、実際にはもう身体を手に入れてるアオツキちゃんとディルにはもう関係無いねんけど。

 ……それでもディル達を利用しようとするなら容赦せん。


 私達の伺う様子に苦笑したガルガディア王は、その表情を真剣なものに変えた。



『……聖属性の精霊たるアオツキ殿ならば知っていよう。我が国(ユートピア)の世界樹を。……その現状を』


「……ああ、根本で繋がっているからな。凡そは知っている」


「……世界樹に、何が?」



 リカルドさんの思わず出た言葉に、ガルガディア王はもう構わんかな、と言いながら口を開いた。



『《ユートピア》の世界樹は、枯れていた。五百年に一度の再生の日に、我が国が《名無しの軍団(ノーネーム)》に襲われたあの日に……再生されるどころか、徐々に干からび枯れていくだけだったのだ』


「は、枯れていた? 世界樹が?」


『そうだ』


「な、なら、世界樹の葉は……」


『我が国には1()()()()()()()()()()()……すまなかった、ノーラン』



 リカルドさんがショックを受けた様な声は聞き流しながら、ガルガディア王はノーランへ顔を向けそう言った。



『……あの日あの時、アメリアに世界樹の葉を与えて欲しいとお前が願った時。世界樹の葉は既に我の手元に無かった。しかし我が国民たるお前に世界樹の真実を知らせる事は出来ず、有耶無耶に誤魔化してしまった……お前が城に忍び込んででも世界樹の葉を奪ってやると考えていた事……我も、アメリアの父も、察していた』



 ノーランの罰の悪そうな顔に、そこまで思い悩み、切羽詰まってたんやと私達も分かってしまった。

 ……そっか。そんなにもノーランはアメリアお嬢様が大切やったんやな。お城に忍び込もうと考えてたとか……処刑されても、いいと思ってたんか。そんだけ助けたいって思ってたんか。

 ……うん、ディルに対する献身を思えば納得や。ノーランらしい。流石は皆が憧れる兄貴。


 そのせいか……アオツキちゃん、視線だけで人、殺せそうになってる。ディルも、アオツキちゃんが嫉妬で狂ってた原因がお嬢様やって言ってたしな。



「…アメリア……やっぱり…………コロ…」



 あっやばっ。 その顔聖属性っぽくない! 続く言葉は聞きたくない! 可愛い顔が邪悪背負って般若やしっ、碌なこと考えてないな!!?


 ……まぁ、不穏な気配を察したノーランの高速なでなでを受けてマッハで落ち着いてたけど。



『ディルムッド。アメリアに与えてくれた世界樹の葉は、ディランから受け取っていたのだろう……それも、あの戦いの日に』


「……はい。あの世界樹の葉は、……父さんと、死に別れたあの時に」


『やはり、そうか。……おそらく、我がディランに渡した物を、そのまま譲り受けたのだろう。我は王を継承する時、必ず1枚は世界樹の葉を所持せよと伝えられていた故、最後の1枚を我は確かに持っていた。……あの戦いの日に……満身創痍のディランに渡したのだが……ディランは、使わなかったのだな』



 ガルガディア王は目を閉じその当時を思い出してるみたいで、なんだか泣きそうな表情になってる。

 でも次に目を開けた時には為政者らしい顔に戻ってた。



『世界樹の葉はこれから、この世界の異変を正す者達に必要だと我は考えていた。《ユートピア》の世界樹は枯れるを待つばかり、《デカラビア》の世界樹は聖域に護られ運任せ、《デスペリア》は不干渉との返事でな……この数年、ユーリディア達と共に世界樹について調べていたが行き詰まっていた。そんな時に勇者と賢者が現れたとの知らせが来てな。慌ててユーリディアを向かわせたのだ』



 異世界から来た勇者と賢者との接触で、世界樹になんらかの刺激を与えられるのではないかとガルガディア王は考えていたらしい。文献にも世界樹と異世界の勇者達は切っても切れない間柄らしく、よくワンセットで記されていたんやって。

 だから少し悪いと思いながら、ちょっとした嘘を混ぜながらの話で城に呼び寄せようとしていたらしい。



『ユーリディア達と合流し、このまま協力を仰ごうと思っていたのだが……』



 ガルガディア王はそう言いながら胸ポケットから取り出したのは、鮮やかな緑色なのに淡く白く光ってる1枚の葉っぱ。形はメープルの葉……かな。私が知ってる、昔からあるメープル味のクッキーの箱に描かれてるのと同じ形や。


 それを見たアオツキちゃんは驚きながら、視線をノーランに向けた。ノーランも驚きながら懐から取り出したのは、少し古びた印象を受けるけど同じ葉やと思う。



『《ユートピア》の世界樹に、再生の兆しが現れた。芽生えた若芽が私に与えたこの世界樹の葉が何よりの証だと思っている』



 やっぱり、これが世界樹の葉なんや。瀕死の重症でも肉体の欠損でも何でも治しちゃうって回復アイテム!

 ………………嬉しい事の筈、やんな。世界樹の復活は。

 どうして、ガルガディア王は厳しい表情でアオツキちゃんを見てるん?



『我も、我が目の前に芽生えた世界樹の葉を見た時は()()()()だと喜びに震え、しかし、やるせなさに笑うしかなかった。……もっと早く我が前で芽生えていてくれれば、失わなかった命があったのだと考えてしまうと、な。……それでもこれで、年若き勇者達を支援出来る、と一度は納得したのだ』


「じゃあ……僕に何が聞きたかった?」


『神の慈悲だと感じた世界樹の復活……しかしリカルドの語った()()の存在……そして、この沈まぬ太陽……この全ては、神の思し召しなのだろうか』



 ガルガディア王は、王様らしい威厳と鋭い視線をアオツキちゃんに向けた。



『今まで短くても百年単位で復活していたのが、20年も間を空けず現れた《名無しの軍団(ノーネーム)》……それさえも、神の()()()()なのか』



 ガルガディア王は厳しい表情のまま、口を開き続ける。



『我は……この世界(リヴァイヴァル)に生きる我等は、知らなければならないのではないか』




伏線と言っていいのか微妙なシロモノを頑張って拾いながら進めてます。年単位でお待たせしてしまったので、正直忘れてしまってるのもあって1人で危なって言いながら修正。万が一間違えてたら、後日こっそり修正されます( ̄▽ ̄)

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