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前書き

今回からお久しぶりな主人公、マイ視点で進みます。

私だけが楽しい感じになってる、かも?(色々と飢えてて!)

それでも宜しかったらどうぞ!


 


 長かった闘いは、やっと終わった。

 ギルド前に広がっていた憩いの広場は焼け野原となり、モンスターが通った跡は毒に侵されていたり建物があった場所が獣道という名の瓦礫の様相となってるらしいけど。


 だから全てが万事解決、無事だったとは言えないけど……共に闘った冒険者、教会に属する騎士達。怪我をしてても誰1人亡くなった人が居なかった事がどんな事よりも私には嬉しかった。



 とんてんかん、とギルド前広場だった焼け野原にトンカチの音が鳴り響く。

 大穴が2つも開いてしまったギルドでの治療は難しく、リカルドさんの指示のもとギルド職員達が広場に野営用のテントを並べ、医者と疲労の少ない聖属性持ちの冒険者が治療を、ギルドの地下シェルターに入っていたアニスさんを筆頭に女性陣が疲労困憊の冒険者達に食事を振る舞っていた。


 鱗粉や毒を撒き散らすタイプの昆虫や蛇型モンスターも居たらしく、毒の除染に嬉々としてヒューリッヒさんが双子冒険者のカールとキールを伴って向かって……勿論、双子は疲れたと言いながら喚いて嫌がってたけど、ヒューリッヒさんと周囲に浮かぶカラフルな藁人形に怯えて大人しく連行されていった。……双子の怯え方がトラウマ刺激されてる風やってんけど、ヒューリッヒさんマジであの2人に何やってんの?



「さぁ、怪我人は順次テントに並べ! 重篤者はギルド前に連れて来い!」


「こちらのテントは物資の分配をしています! ()()()()で粗方治った方々もギルドカード掲示でお一人様1本、中級ポーション配布致しております! 皆様、提供元のポポの道具屋店主に感謝を!」


「皆、お疲れ様! 私達の命があるのは、あんた達のおかげだよ、本当にありがとうね! さあさあ今日はギルド長の奢りだから、たっくさん食べて、飲みな!」


「「「「「いぃやっふうぅっ!!!」」」」」



 広場のあちこちで生きている事に喜び、泣いて、笑う人達で溢れてる。



 ……しかし、である。



 ギルド前広場、ギルドの南側の比較的人が少ない……むしろ逃げられ後天的に閑散としたとある一角。



 その一角にあるテント……昔懐かしい運動会で教職員達が座ってたイメージのある大きなテントに、厚手の大きな布を床に敷き、その中に私は現在進行形で鎮座してる。

 素敵で可愛い虎耳虎尻尾の私の旦那様、ディルが座り込んだ腕と膝の間に私を抱え込んで離さないからでもある。あったかくて眠気が凄い。

 そんで、ディルの左足は緩く曲げて立て膝になってて、右足は胡座の要領で緩く曲げられてる。私はディルの胸板を背もたれに、頭頂部をすりすり頬擦りされながらガッチリ抱き締められてる。そのディルの右足を、ローブがボロボロになってても可愛い、可愛い、かあいいサーリーが膝枕通り越して抱き枕にして熟睡してる。……背中まるめてディルの太腿にへばり付いて寝てるサーリーの姿に、猫耳ならぬ虎耳を幻視した私は悪くない。


 そんで、ディルの立てられた左足のすぐ横ではノーランが……無駄に可愛い顔して自分の左腕を枕にしてこちらも背中丸めて転がって寝てる。私達の方に顔向けて寝てるから、口が半開きで、子供みたいにすやーって効果音聞こえそうな安心しきった顔が丸見えである。……そういうイケメンのギャップ、ズルイと思う。

 そんで、寝てる2人を慈愛の眼差しでもって見守るディルが天使過ぎる。時々サーリーの頭撫でる姿が尊い。こそっとノーランの頭撫でようとして、気配に聡いノーランに寝相で振り払われて、小さく悲しげにみぃみぃ鳴いて訴えるの止めてほしい。ノーランに伸ばしてるその虎尻尾は私によこさんかい!



 そんな、とてもとても久しぶりな、平和な時間。







「良し、コイツら消そう」

「……承知した」

『るるるるぅ!」


「まっ、まっ、待って下さいぃいいいいい!!!」


「…………、…………、…………、はぁ」



 ……うん。やっぱテントの外が騒がしい。私の新しい家族……というかその親戚みたいのやけど、どうしてこうも血の気が多いのか。

 モエちゃんの絶叫が轟いた事やし、私もそろそろ現実逃避やめようか。




 ……どうして、こうなったんやっけ?

 理由は、およそ数時間前まで遡る。



 爆音を響かせギルドの屋根を破壊しながら着地した私とディルにリカルドさん達は駆け寄って来て無事を喜んでくれた。……まぁ現実を思い出したらしいリカルドさんは、すっかり破壊されたギルド見て修理の事を地に膝つけながら嘆いてたけど。ごめんなさい。でも今は気にしたら負けやと思う。

 それに、双子達のノーランが勝った事やこの雪はなんだ、屋根壊すなよ、とあれやこれやとマシンガントークが開始された。けど私は疲労困憊で話が右から左やった。だってHPはあってもMPがほぼゼロやったし。

 ……うん。ゼロ近くになった時の気持ち悪さ残ったままやから。口から色んな物が出そうでヤバい。

 ……でも、早う行かな。



「……しゃーりぃ……」



 私達から1人離れて頑張ってる、怪我してる筈のサーリーを早く見付けたい。頑張ったねって頭撫でて抱き締めたい。あと無茶したらあかんやろって叱らな……叱るのはいっちゃん最後で良いけど。





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― 新着の感想 ―
[一言] 見る、じっとじいいぃっと…見つめるべし…… じゅるり←あっ 兄貴の寝顔……実にイイ……(*`▽´*) 纏わりついてる虎尻尾は『握れ』という神からの啓示やろか……ニギニギ……おや、にゃんこ…
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