8
あけましておめでとうございます!
今年も宜しくお願います!
そして、≪聖結界≫の効果が切れてから。
私のレベル上げが始まりました。
「………………マイ!」
「は、はい! ≪ホーリーシャワー≫!!!」
ディルムッドさんの名前呼び(素敵ボイス)にちょっとウットリしかけてからの魔法発動。
≪ホーリーシャワー≫は攻撃用の聖魔法。
対象6体までに、聖属性の光の雨を降らせて攻撃する。
アンデッド・ヒヒと呼ばれる、……ぶっちゃけゾンビ化した2メートル越えのマントヒヒやねんけど。
闇属性の彼等には効果抜群みたい。くねくねしてて、キモい。
やっぱり属性有利があるらしく、
火⇔水
風⇔土
闇⇔聖
と、こんな感じに相反する属性が弱点になるそうで。
ゾンビ相手には、取り敢えず聖魔法ぶっ放せば良いね。うん。
それよりも、だ。
「………………きれい、やなぁ」
≪ホーリーシャワー≫の降り注ぐ中(味方判定してるのでダメージ無し)
ゾンビ集団の中を駆け抜ける、一匹の獣から私は目が離せなくなった。
右手には、全長2m位の黒い槍。
左手にはゲームで見た事ある様な……大剣? クレイモアってヤツかな。
彼は両手の武器を己の手足の様に操り、……まるで舞い踊る様にどんどん敵を屠っていった。
ディルムッドさんにスキルで身を守れって言われて、私達2人は今現在≪結界≫に守られていて……10回位の攻撃(一撃必殺系の威力)は問題なく無効化すんねんけど。
……でも、≪結界≫なんて必要無かった。
だってディルムッドさん、全部避けちまってる。
ダメージ与えられたら、私に分かる仕様になってるのに。
戦い始めて……もう1時間くらいかな。ディルムッドさん、未だ無傷。
そして私に近寄ってくるマントヒヒから倒してくれてるから、私も無傷。
……でも考えてみれば、それも当然や。
だって、この森。
SSS・S・A・B・C・D・E・Fランクの内、Aランク(レベル60相当)のダンジョン認定されてる場所やねん。
ディルムッドさん、単独でこの森おったがな!!!
そんなん強いに決まってるやん!!?
……ちなみに倒された敵はドロップアイテム……素材を残して消えていく。お金はドロップしない。
そんなとこは何処ぞのゲーム仕様になってる。
鍛冶屋に素材持ち込んで装備作ってもらって、余った素材は売ってお金にするのが一般的。
ギルドに登録して依頼を受けていたら、討伐報酬とか採取依頼でお金貰えるみたい。
ここら辺は、神様のくれた知識で何となく理解。
直接倒さんでも、戦闘に参加したら割合は減るけど経験になる。
ディルムッドさんのおかげで、私のレベル上げは順調。
――――――――
●谷山麻依 (マイ)
●レベル:15
●MaxHP:660
●MaxMP:1050
●力10
●魔21
●守24
●護24
●早10
●運30
――――――――
うんうん。
初めはレベル上がりやすいとはいえ、レベル20にしたいものなら毎日自分に見合ったモンスター倒しまくって数ヶ月必要らしいのに……2時間掛からないでレベルが15になった。
そして早くもMPが大台に乗っちまったよ。
……能力の上がり方を見ると、私は最後まで生き残る回復&支援タイプに育ちそうやねぇ。
聖魔法Maxにしてるから、アンデット相手には強いし……役職付けるならプリーストとかエクソシストみたいな感じ?
あ、役職聖女は勿論無しで。
のんびり生活無理なるやん?
≪結界≫あるのに、防御系の数値が異様に高いのは≪初心者セット≫が理由なんやけど。
……運が高い理由は、なんやろ?
まあディルムッドさんに出会えたの超ラッキーやったから、妥当な数字なんかもしれんな。
レベル上げを一度切り上げて、2人で素材を拾ってアイテムボックスへ。
勝手に分類別に保管してくれて、頭の中で「素材」って思えば何が何個あるとかすぐ分かる。
私の≪アイテムボックス≫に……上質な腐った獣骨が増えていく。腐っているのに上質。謎や。
……ああ。異世界って、凄い。
そして一晩泊まった小さな広場に戻って来てから、昼食の準備。
準備の傍ら、参考までにディルムッドさんに許可もらって彼のステータスを教えてもらう事に。
何故ならこの世界ではRPGで良くある、人に対しての≪鑑定≫が出来ないから。
――――――――
●ディルムッド・ホイール
●レベル:65
●MaxHP:1700
●MaxMP:660
●力80(+70)
●魔50
●守73(+20)
●護50
●早76
●運59
――――――――
地面に木の枝でカリカリと書かれた文字と数字を見る。
あ、良かった。日本語翻訳されてる。助かるわぁ。
で……うん。何と。エライコッチャ。
この世界の常識の中で、Maxレベル100に到達した人物はここ数十年現れていない。レベルは高くなればなるほど上がりにくくなる。
パーティー組んで戦闘こなすと、その人数分に経験は分けられてしまうので余計に上がりにくい。
なので凄腕冒険者のいるパーティーでも、最高レベルは80くらい。それも、人より長生きする種族の方達でそれである。
……人魚以外の獣人族の寿命は人族と……私と同じ、筈。
ディルムッドさんは私と同年代か、少し下くらいかな?
……まだ、この世界の概念理解しきってないとはいえ……ねえ、ディルムッドさん。
レベル、めっちゃ高くね?
……お、落ち着け私。ここは冷静に、冷静に情報集めよう。
えっと。ステータスは装備無しの数値で、カッコのヤツは……彼の特殊スキルで力と守がプラスされてるって事かな?
それなら正しくは……力は150、守は93。
……うん。
確か神様、基礎能力値のMax平均ってそれぞれ100くらい言うてなかったかな?
…………ディルムッドさん、レベル65で軽く限界突破してるのあるであります!!?(マイは混乱している)
私は震える指先を叱咤し、彼の書いてくれたステータスに向けた。
「こ、このカッコの中の数字、は?」
「……スキル分の、加算」
「そこんところ是非とも詳しく教えて下さいお願いします!!!」
この世界では個人のスキルを詮索すんのはプライバシーの侵害になるみたいやねんけど、今回だけ! 気になるから、今回だけ許してお願いディルムッドさん!
優しいディルムッドさんは、無表情であわあわと両手を上下に動かしながら。
ステータスに加算している特殊スキルを、土下座し始めた私に教えてくれた。
――――――――
特殊スキル
武芸者
5pから。計50pでMax
武器スキルをMaxにした数だけ力2UP
武芸者スキルがMaxなら、武器スキル1つにつき力20UP
武器8種Maxなら力160UP(盾のみ守20UP)
Max特典
レベルUP時のHP・力・守・早の上昇率UP
――――――――
5pから……つまりは私の≪結界≫と同じ、レアスキルや。
そんで、これって…………つまり?
「俺……盾と、槍と、大剣と、弓。Max」
ディルムッドさんの自己申告により、私の考えは確信に変わった。
普通の冒険者は武器1つか、武器1つ盾1つ、またはディルムッドさんみたいに両手の武器が違う双剣使いみたいな人が武器2つ取るのが一般的。
……4つも取る人は、そうそう居ない。
何故ならスキルポイントは有限で、決して多くはないから。
……魔法もあるし、私の異世界武器よりかは少ないポイントやけど、武器スキル1つをMaxするのに10p……無駄遣いして良いモノじゃない。
「……確か武器スキルMaxにしたら、それだけで、その武器装備時、力10UPしますよね?」
「……」
ディルムッドさんは静かに頷いた。
「……ディルムッドさん。ちょっとこちらに座って下さいさあさあさあ!!!」
私の剣幕に怯えながら尻尾を膨らませたディルムッドさんから、詳しく話を聞いて彼の持つスキルが判明しました。
……決して、昼食を人質(食質?)にはしてません。
――――――――
≪特殊スキル≫
武芸者Max50p使用
鑑定Max10p使用
剛力Max10p使用
陽動Max20p使用
鷹の目5段階5p使用
アイテムボックス3段階6p使用
≪魔法スキル≫
聖魔法10p使用
風魔法10p使用
≪武器スキル≫
盾Max10p使用
槍Max10p使用
大剣Max10p使用
弓Max10p使用
計161p
余り10p
(特別スキルボーナス25p取得済)
――――――
「おふぅ」
「?」
ああ、ディルムッドさん。
がっつりばっちり、物理特化なスキル構成になっとります。
成る程成る程。
筋肉は、有効活用されてこその筋肉なんですね?(なんか違う)
スキル≪鷹の目≫と≪剛力≫は、誰でも持ってる単純なステータスUPスキル。
≪剛力≫はMaxで力が10UPして、≪鷹の目≫は私もポイント振り分けてる視力良くなるスキル。
銃や弓を武器にする人がよく持つスキルみたいやね。
スキル≪陽動≫は、敵を自分に惹きつけるモノ。
スキルMaxで、敵に狙われる確率大幅UP。
……初対面の時に感じた異様な気配、このスキルが原因っぽいな。目が離せないって凄く感じてたし。
戦闘時と普段とで使い分け出来るみたい。
……まぁ、今は別の意味で目が離せないけど。
考え込んでる私が気になるのか、視界の端っこでふりふりしてる尻尾、かあいい。
あと気になったのは、スキルポイントを……えっと合計171p取得済な事。
特別スキルボーナスがあったとしても、少し多いような……?
だってレベルが1UPしても、1〜2pしか貰えないはずやから……。
「ディルムッドさんって、産まれた時の所持スキルポイント多かったんですか?」
それか、レベルUP時のスキルポイントが2pばっかでラッキーやったとか?
私の質問に、ディルムッドさんは首をこてっと可愛く傾げながら教えてくれた。
「……80p」
「…………………………え?」
なんですと?
追記
ちょっと計算し直して、マイのHPとMPをちょろっとだけ変えました。
追記
少し書き直しました。




