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【本編完結済】加茂さんは喋らない 〜隣の席の寡黙少女が無茶するから危なっかしくて放っておけない〜  作者: もさ餅
"親友"の境界線

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加茂さんのお化け姿

10万PV達成してましたー\(´ω`)/

 二学期は、修学旅行の前にも学校の一大イベントが存在する。


 ――文化祭だ。


「他に何かありますかー」


 今は何をしているのかというと、文化祭実行委員の主導の元、クラスの出し物決めが進行していた。

 黒板には"お化け屋敷"、"カフェ"、"迷路"、"ミニゲーム"、後はアイス等の軽食の文字が並んでいる。そろそろ案も出なくなる頃だろう。


「…………(びしぃっ!)」


 すると、隣の席の加茂さんが勢いよく手を挙げる。背筋をピンと伸ばしていて、とても綺麗な姿勢だ。


「加茂さんどうぞー」

『ミニステージ発表!』

「もうちょっと説明欲しいな……あ、黒板にお願い!」


 実行委員に呼ばれ、加茂さんは黒板の前に立つ。そして、空いたスペースに文字を書いた。


『教室で体育館のステージ発表

 と似たようなことするの。

 時間決めてダンスとか!』

「成る程……とりあえず"ダンス"でいい?」

「…………(こくっ)」

「おっけー。案ありがとね!」


 席に戻ってきた加茂さんに、秀人は声をかけた。


「加茂さんもステージ発表やりたかった口か?」

「…………(こくこく)」

「俺も俺も。でも、三年に全枠取られちまったもんなー」


 体育館のステージ発表は三クラス分の枠があるのだが、その権利は三年生に優先される。

 今年のステージ発表は既に三年生が全て獲得しているため、この話し合いには出てこないのだ。


 そして、残念そうにしている二人には悪いが、俺は嬉しい。何故なら、俺はステージ発表だけは避けたかったから。

 理由は、まあ、大したものではない。単純に面倒だった。大勢の前にも立ちたくないし沢山の練習も必要、何より難しいのだ。


 準備が大変な分、当日の空き時間が増えるのは利点だが、それぐらいである。

 そう考えると、プラスマイナスで言えば俺にとってはマイナスの方が多い。


「他、まだありますかー」


 実行委員が声をかけるも、これ以上は手を挙げる人は出てこなかった。


「じゃあ、多数決取りまーす。顔伏せてー」


 楽な出し物になりますように。




 ――多数決の結果、クラスの出し物はお化け屋敷に決定した。票数を見ると、クラスの半数はお化け屋敷に手を挙げていたらしい。

 ……うん、まあ、多数決なら仕方ない。このクラスのノリを考えると、軽食販売は絶対ないことは予想がついていた。




 授業が終わり、文化祭の話し合いも一旦終了する。

 休み時間に入ると、秀人は俺の方に振り向いて訊ねてきた。


「光太は何に手挙げた?」

「フランクフルト。理由は楽だから」

「お前そういうところブレないよなぁ」


 芯があると言ってほしい。


「秀人は?」

「ミニステージ発表。面白そうだったからな。でも、お化け屋敷でも文句はねえよ」


 秀人はこの結果でも満足そうだった。


「加茂さんは?」


 加茂さんにも訊ねてみる。


『石村君と同じ』

「……そっか。発案者だもんな」

『でも、お化け屋敷

 も楽しそうだよね

 楽しみ!(๑╹ω╹๑ )』


 そんなことを書きながら、加茂さんはニコニコしている。本当に文化祭が楽しみのようだ。


 ふと、気になることを思い出した。


「加茂さん、ホラー駄目なのにこういうのは平気なんだな」

「…………(むむっ)」


 加茂さんはホラーが大の苦手だ。でも、お化け屋敷に案外乗り気らしい。

 しかし、俺の一言で彼女はムッとした表情になった。そして、ボードに文字を書いて俺の目の前に突き出してくる。


『驚かす側なら

 平気に決まってる』

「それもそうか」

『赤宮君のことも

 泣かせちゃうぐらい

 怖いお化けになってやる』

「……期待してるよ」


 張り切り始めた加茂さんに、俺は苦笑しながら答えた。


 この学校のお化け屋敷は、美術部の協力で特殊メイクを使用できる。

 勿論、プロではないので多少はクオリティは落ちるものの、それでも高い方だと思う。去年の文化祭でお化け屋敷に入った時は、俺もかなり驚いた。

 特殊メイクの技術を身につけている美術部員という存在自体が謎だが、その辺りは置いておく。


 ……あと、加茂さんには失礼な話かもしれないが、怖いお化けの格好をした彼女の姿が全く想像つかない。


 ――どうなるのだろう。


 少しだけ、文化祭が楽しみになった。

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