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【本編完結済】加茂さんは喋らない 〜隣の席の寡黙少女が無茶するから危なっかしくて放っておけない〜  作者: もさ餅
"親友"の境界線

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赤宮君に話したい

 今日は嬉しいことがあった。

 赤宮君が、私に初めて弱いところを見せてくれた。


 赤宮君は時々厳しいけど、何だかんだで優しい人。勉強も運動もできて、欠点がない人。

 私のペースに合わせてくれる人。一緒に居て、心地いい人。

 彼はいつも私を助けてくれて、最近は少し憧れてたりもする。赤宮君みたいに、私も人の助けになれるような人になりたいって。


 そんな彼が私に見せてくれた弱み。私に聞かせてくれた、過去の話。

 赤宮君のお父さんのこと、初めてちゃんと知ることができた。赤宮君のお母さんに聞いたのは、お父さんが亡くなった話だけだったから。


 赤宮君が自分のお父さんを嫌ってるって聞いた時は、ちょっとだけ悲しかった。でも、話を聞いて分かったんだ。


 寂しかったんだよね。


 やっと、恩を返せるかもしれない。

 今まで私が貰った恩を、少しでも返せる……か分からないけれど、私は赤宮君の傍に居たい。傍に居て、その寂しさを紛らわせてあげたい。そう思った。






 赤宮君は話してくれた。多分、話しづらいことを。


 なら、私も話すべきなのかな。私の話しづらいこと……喋らない理由を。


 私が人前で喋らない理由は、この学校では鈴香ちゃんだけが知っている。

 赤宮君も気にはなっているんだと思う。分かるよ、それぐらい。でも、彼は聞いてこない。気を遣ってくれている。


 人前で喋るのが怖くなった理由は、些細なことだった。理由を聞けば誰だって「それだけで?」って言うような、本当に些細な理由。

 私自身でさえ、馬鹿らしいって思っちゃう。思っちゃうのに、それでも怖がって、声を出すのを拒む自分が嫌になる。


 でも、いつかは。


 赤宮君は、ただの友達じゃない。


 親友、なんだから。


 今はまだ、怖くて言えないけれど。


 いつか、言えたらいいな。


 赤宮君を長く待たせてしまう。まだまだ、優しさに甘えてしまう。

 それでも、私が打ち明けられる日が来るまで、あなたは待っていてくれますか――?

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