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【本編完結済】加茂さんは喋らない 〜隣の席の寡黙少女が無茶するから危なっかしくて放っておけない〜  作者: もさ餅
いつまでも、ずっと隣で

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200/315

加茂さんと焼きそば

200話!

そして総合評価3000pt達成!

応援ありがとう読者様!

これからもよろしくお願いします!

 加茂さん宅に着いた俺達は、早速昼食作りを開始した。


「それじゃあ、最初は皮むきからやっていくか」

「…………(こくり)、…………(そっ)」

「加茂さんストップ」


 真っ先に包丁を手に取ろうとする加茂さんを制止した。


「包丁じゃなくてピーラー使え。その方が楽だし安全だから」


 そう言ってピーラーを勧めると、加茂さんは後ろのキッチンボードの上に置いていたホワイトボードにペンを走らせる。


『包丁で皮むきできるように

 ならなくていいの?』

「いい。調理器具で楽できるところはどんどん楽していけ。できるようになりたいなら、普通に切ることに慣れた後で教えるから」


 まだ、彼女の包丁スキルがどの程度のものかも分からない今、皮むきの時点で怪我はさせられない。

 それ以前に、お弁当を作れるようになりたい彼女にとって、包丁を使っての皮むきは必修項目ではないのだ。


『やってみる』


 加茂さんはそう書いた後、ボードの上にペンを置く。


「ストップ」


 そして、彼女がピーラーとあ(・)る(・)野(・)菜(・)を手に取ったところで、俺は再び彼女の手を止めさせた。

 すると、"また?"と煩わしさを訴えるような視線をこちらに向けてくるので、俺は制止の理由を端的に伝えた。


「玉ねぎの皮むきにピーラーは使わない」

「…………(ぱちくり)」


 加茂さんの目が驚いたように瞬く。


 そう、彼女が最初に手に取った野菜は玉ねぎだった。

 確かに分かりやすく皮が付いているけども、俺が剥いてほしかったのは別の野菜だ。


「というか、玉ねぎにピーラーをどう使う気だよ」


 すると、彼女はピーラーと野菜をまな板の上に置いて、再びボードにペンを走らせた。


『皮ある野菜

 これしかないよ』

「あるから」


 人参、皮付いたまま使う気か。




 * * * *




「玉ねぎは頭と根本の部分切り落とせば手で剥けるから」

「…………(こくん)、…………(すっ)」

「包丁振り上げんな馬鹿!」




 * * * *




「包丁使う時は猫の手」

「…………(ぷるぷる)」

「野菜押さえにくい気持ちも分かるけど、危ないから大人しく慣れろ」




 * * * *




「…………(うえーん)」

「大丈夫か? 涙で前見えないなら一旦切るの止めろよ」

「…………(こくり)」


『玉ねぎでなみだ流さずに

 切る方法とかないの』

「調べたらありそうだけど、俺は特に対策してないんだよな……母さんに料理教わり始めた頃は泣いてたけど、いつの間にか泣かずに切れるようになってたし」

『赤宮君も

 泣いてたんだ』

「最初はまあ……って、そこは拾わなくてよろしい」

『想像したらかわいい』

「やかましいわ。あと涙落ち着いたなら手動かせ」

『動かしてる』

「ペンは置け」




 * * * *




「今更だけど、加茂さんって焼きそばはソース派? それとも塩派?」

「…………(ぴたっ)」

「ああ、焦げるから手は止めないで口パクでいい」

「…………(ぱくぱく)」

「ソースか」

「…………(こくこく)」

「俺も」

「…………(えへへ)」




 * * * *




 目の前には、焼きそばが盛られた皿がある。


「…………(そわそわ)」


 俺が座っている位置の正面には、落ち着かない様子でこちらを見つめる加茂さんが居る。


「じゃあ、お先にいただきます」


 俺は手を合わせ、早速、焼きそばを口に含んだ。




「……美味い」


 味わうように咀嚼しながら、そんなありきたりな感想が口から自然と出てきた。


『本当?』

「嘘言ってどうする」

「…………(はぁぁぁ)」


 ボードに書かれた言葉を肯定すると、加茂さんは力が抜けたように椅子にもたれる。


 実際、本当に美味しい。作ったのはごく一般的なソース焼きそばだが、よくできている。

 俺も手伝いはした。しかし、基本は調理手順を教えたり、調理器具や皿を用意したり等のサポートしかしていない。殆ど加茂さん一人で作ったようなものだ。


 俺が母さんに習った初めての料理は玉子焼きだったが、手際が悪すぎて黒焦げにしてしまい、とてもじゃないが食べられなかった。

 それに比べれば、加茂さんはかなり良いと言える。野菜は分厚くないし麺も焦げてない。この調子なら、加茂さんの手作り弁当を拝める日もそう遠くはなさそうだ。


「ほら、加茂さんも食べてみろよ」

「…………(はっ)、…………(こくっ)」


 加茂さんは頷くと、俺は続いて焼きそばに手をつけ始めた。




 ――そして。


「もう入らん……」

「…………(げふぅ)」


 焼きそばを完食した俺達は、満腹で暫く動けなくなったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新感謝です。そしてNo.200到達おめでとうございます。 ペンは置けでふふってなった。光太くんナイスツッコみ。 なお、加茂ちゃんが包丁振り下ろそうとしたとこでヒエッてなった(;゛゜'ω…
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