【続・なろう版】真夜中の不思議な出来事
【真夜中の不思議な出来事】のなろう版。仲良くさせていただいているユーザ様のご出演による真夜中の不思議な出来事です。
『痛いよぉ』
小さなシカのぬいぐるみを握りしめながら痛みに堪えて順番を待つアモロ君。
診察室の扉が開き看護師さんが名前を呼ぶ。
『古川アモロ君、診察室にお入りください』
アモロ君の順番がきました。痛いのを治して欲しい気持ちと何をされるか、わからない恐怖で診察室に進めないアモロ君はママに背中を押され一歩ずつ診察室に近づく。診察室では、にこにここどもクリニック外科医で一番子供達に人気の登坂医師が待っていた。
『アモロ君、こんにちは。痛いのを治してあげるからね』
と笑顔をみせる登坂医師。
アモロ君は幼稚園の遊具から落ちてしまい腕の痛みを訴えていたのです。痛い左腕を登坂医師に診察され右手にはシカのぬいぐるみを持っているアモロ君。登坂医師はアモロ君に
『アモロ君、レントゲン撮って骨の様子を診ようね』
登坂医師が看護師さんを呼ぶ。
『セパ看護師長、レントゲン室へお願いします』
『はい。勉強のため学生に担当させようと思っていますが』
と言うセパ看護師長に看護学生が呼ばれる。
『菜須さん、レントゲン室への送迎と介助をして下さい』
セパ看護師長に頼まれた看護学生のよつ葉。
『はい。アモロ君、レントゲン室に行こうね』
不安がるアモロ君に声をかけながらレントゲン室に連れていき、レントゲン技師さんにアモロ君を任せる。技師さんに呼ばれレントゲン室に入るとレントゲン撮影の終わったアモロ君が待っていた。アモロ君を連れて診察に連れて帰るよつ葉。
アモロ君は骨折をしており入院が決まりました。ママに抱っこされ外科入院病棟入り口まできたアモロ君は入り口でお出迎えしているクマのぬいぐるみが気になっている様子ですが、シカのぬいぐるみを握りしめてじっと眺めています。
それに気付いたセパ看護師長さんが看護学生に
『声かけは? フォロー入って』
と指導してもらってアモロ君に声かける看護学生のよつ葉。
『アモロ君、くーちゃんって言うんだよ。握手して病室に行こうね』
と言って気付いたことが・・・。
左腕は骨折のためギプス固定、右手にはシカのぬいぐるみを持っています。
失敗してしまったと思って迷っていると、セパ看護師長が声をかけてくれる
『アモロ君、くーちゃんに会いたくなったらまたここに来ようね。先に病室に行こうか? お友達待ってるよ』
流石ベテランナース。看護学生の失敗をカバーする。
アモロ君は病室に案内される。
『古川アモロ君です。みんな仲良くしてくださいね』
病室に居た、ミント君、こーちゃん、ややちゃん、秋君が声をかけました。
『ボク、ミントよろしく』
『手、どうしたの?』
『わぁ、痛そうだね』
『仲良くしような』
アモロ君は少し照れながら
『よろしく』
と伝えると、シカを持つ手に力が入る。
セパ看護師長から指示が出る。
『ミント君のGE終わったの?』
『いえ、まだです』
『ソレ終わったら、皐月ちゃんと夜々榊ちゃんのBB終わったら報告に来て』
『はい』
病室担当ナースを勉強中の看護学生に次々と指示を出す指導看護師のセパ看護師長。
『ミント君、処置するからカーテンするね』
ミント君は入院という慣れない環境のため便秘が続いていて浣腸をするのです。嫌がるであろうと思っていたけど素直なミント君に驚く看護学生。お母さんにパジャマを脱がされる時に抵抗していたミント君。
『よつ葉ちゃんに見られちゃう。ダメ』
幼くても恥ずかしさはしっかりあるのです。ここで、指導看護師に頼っていたら叱られる。ここは何とか説得を試みる。
『ミント君、ちょっとだけ頑張ってほしいなぁ。直ぐに終わるよ』
内心どう話そうか悩む看護学生にミント君のママが助けてくれる。
『もうやっちゃってください』
と言ってパジャマのズボンとパンツをササッと脱がして下さった。流石お母さん!! 感心する看護学生。
あっという間にミント君の処置終了。
『トイレは5分我慢してね』
ミント君に涙目で睨まれる看護学生よつ葉。患者様のために仕方ないことと思い我慢する。そして指示されたことはまだある。
『こーちゃん、お身体拭こうね』
『えぇ~、お風呂が良い』
『登坂先生が良いって言ったらね。今日はお風呂は我慢してね』
『よつ葉ちゃんがするの?』
『そうだよぉ』
『恥ずかしいからいやぁ』
どうしようか困る看護学生に救いの手がさしのべられた。
『よつ葉ちゃん、夜々榊からしていいよ。綺麗にしてよ』
ややちゃんに助けてもらう看護学生。早くしないとまだやらなくてはいけないことは山積み。お言葉に甘えて、ややちゃんの清拭から始める。
『よつ葉ちゃん、くすぐったい』
『タオル熱くない?』
『うん!』
『綺麗に拭こうね』
ややちゃんが楽しそうに清拭をしてくれたのでお隣のベッドで、こーちゃんはカーテンの中で楽しそうな声に「恥ずかしいからいやぁ」と言っていたのに
『よつ葉ちゃん、皐月もお身体拭く』
と言ってくれました。嬉しい気持ちと指導看護師に怒られなくて済むという安堵の気持ちがあったのは内緒の話ですが……。
『こーちゃん、ありがとう。綺麗に拭いて美人さんになろうね』
『うん! なるぅ』
女の子の清拭を終えてナースステーションに戻る看護学生。病室には子供たちの会話が弾む。
『こーちゃん、髪も結んでもらったんだね』
『よつ葉ちゃんがしてくれた。ややちゃんもしてもらったらいいと思うよ』
女の子の可愛らしい会話を他所に盛り上がる男の子たち。
『かっこいいな、そのシカ』
秋君が声をかけました。
『うん! ありがとう』
大好きなシカのぬいぐるみを誉めてもらい嬉しいアモロ君
『ボクはアモロ君のエビまくらの方が良いなぁ』
ミント君は、エビまくらが気になっていた様子。ここからエビまくらで盛り上がる病室。
『じゃあ、ボクはマグロまくらにする』
『ボクはイカまくらにする』
秋君はマグロ、ミント君はイカ。お寿司まくらで楽しそうです。
『よつ葉ちゃんは、何まくらが良いか聞いてみようよ』
『うん!』
『セパ看護師長にも聞いてみようよ』
アモロ君のエビまくらから、どんどん盛り上がっていき楽しそうです。楽しそうな声に微笑んでいる入り口で様子を見守っている、くーちゃん。
くーちゃんは、エビまくらやシカぬいぐるみにちょっぴり寂しさを感じているようです。絶対人気だった、くーちゃんが、エビとシカに人気を持っていかれているのです。この後うーちゃんに慰めてもらっていることでしょう。
『エビ? マグロ? イカ?』
ややちゃんが声をかけます。
『皐月は、大トロが良い!』
『夜々榊は、サーモンにする!』
あらあら、女の子たちもお話の輪に加わり賑やかです。
『お寿司じゃないよ。まくらだよ』
秋君が説明します。そしてアモロ君のエビまくらを指さします。
『わぁー、エビまくらだぁ。皐月は大トロまくらが良いの!』
アモロ君は、マグロまくらも大トロまくらも変わらないんじゃないかと思っている。
『寝るの前の検温の時間だよ』
セパ看護師長は、子供たち相手に検温を手早く進めていく。今日、骨折で入院したアモロ君の微熱に気を使いながらベッドに入って寝る時間だと伝える。
みんないい子にベッドに入って安静にする。暫くして、秋君が目を覚ましました。周りを見てもみんな眠っています。寂しくなってきた頃
『あ~き~くん』
秋君を呼ぶ、くーちゃんがいました。秋君はくーちゃんに抱きついて甘えています。くーちゃんは秋君をギュッと抱き締めます。
『『くーちゃんだぁ』』
こーちゃんとややちゃんが声をかけました。その声にアモロ君もミント君も起きてしまいました。
くーちゃんは、真夜中しかみんなと遊べないので嬉しくて仕方ありません。
エビとイカに負けたと寂しく落ち込んでいたくーちゃんですが、にこにここどもクリニックの外科入院病棟の大人気くーちゃんは真夜中の人気者でした。
ナースステーションでは、セパ看護師長は静かな病棟に安堵し何やら忙しそうにスマホを操作。活動報告を書いているのでしょうか? それともラブレターのお返事の執筆でしょうか……。
平和なにこにここどもクリニックの外科病棟ですが、くーちゃんの居るあの病室だけはとっても賑やかです。
『くーちゃん、抱っこ』
こーちゃんが甘えています。モコモコのくーちゃんに抱っこしてもらうとフワフワして気持ちいいらしい。
『次、ボクの番ね』
ミント君が、言いました。
ミント君もくーちゃんに抱っこをしてもらいニコニコしています。
楽しそうな病室に内科病棟で出番のない、うーちゃんがやって来ました。
『あっ、うさぎが来た』
ややちゃんが気付きました。外科病棟に入院中のみんなは、内科病棟のうーちゃんの事は知らないのです。
『うーちゃんだよ』
くーちゃんがみんなに紹介します。
うーちゃんが、ぴょんぴょんと跳び跳ねてアモロ君のシカのぬいぐるみを見つけて
『アモロ君のしーくん、かっこいいね』
とシカのぬいぐるみを褒めました。新たににこにここどもクリニックに誕生日した? シカのマスコット「しーくん」でした。
今日も、にこにここどもクリニックの真夜中は静かに過ぎていきました。
ぷちミント様・斎藤秋様・緋和皐月様・真宵夜々榊様・古川アモロ様(エビ・鹿)・セパさん様、ご出演ありがとうございました。