第6幕 油断
「ほれほれ、かわさんと内臓が溢れでるぞい。」
「くっ!」
「ここにいますよ。」
「ちっ!」
「俺に近づけるかな?」
くそっ!
3人はなんとか撃退できたのに残りが厄介だな。
臓物食いは短刀とワイヤーを使って攻撃を仕掛けてくるために接近戦も遠距離戦もどっちもやりづらい。
距離をとったところでタイミングよく深淵が金属が特殊縫合で編み上げられた幅が広い布で仕掛けてくる。
この布がすごく厄介なんだよな。
なんせまとめると普通に鈍器として使えるし、金属でできているだけあって銃弾とかも防げる。
極め付けには広げて振り回せばナイフとかと同様によく斬れる。
そして最後に毒蛇はその名の通りでありとあらゆる毒を使ってくる。
特に近づけば体が痺れて動けなくなってしまう何かしらの毒があるせいで遠距離で牽制するしかない。
そこからは結局は相手の攻撃をかわしながらなんとか反撃の隙を狙うだけだった。
少しでも隙ができれば切り札を使うことができるんだがな。
ただ、どれぐらいの威力があるかは未知数のため注意が必要なんだよな。
失敗するとおれ自身も巻き込まれるからな。
そんな均衡が続いていると、
「よくもつわい。ちと儂にはめんどいのう。」
「なら爺さん名無しは俺にくれるのか?」
「ぬかせ毒蛇。」
「そう、名無しは我の獲物。」
3人はそんな事を言い合いはじめた。
そうだった!
今は目的が共通であるからこいつらは一緒に行動しているが、基本的に全員が自由気ままに行動するのが普通だからすぐに連携が崩れるんだった。
さっきのやつらもそうだったからな。
しかし、このチャンスは逃さない!
「勝手に決めるなよ。」
俺は3人に瓶を投げつける。
「無駄だな。」
「悪あがきかのう?」
「失望だな。」
3人は難なく瓶を叩き落とす。
その瞬間俺はすぐに距離をとった。
3人はおれの行動をどうやら理解していないようで、特に警戒する事もなくおれに向かって攻撃の構えをした。
それと同時に周囲に物凄い悪臭が発生しはじめた。
「ぐっ、がああいああ!」
「ぐぇー!」
「おぇー!」
3人はその匂いに耐えられないようで激しく悶えている。
「残念だったな。・・・くさっ!距離をとっても臭うのかよ!」
おれはそう言いながら3人をみると、どうやら許容範囲を超えたらしく、自分の吐瀉物にまみれながら気絶している。
まあ、あの瓶の中には硫化鉄に塩酸で手に入る硫化水素と炭素からなるチオアセトンだったからな。
簡単なイメージがスカンクの放屁だからかなりキツいとは思っていたがこれ程だとは少し計算外だったな。
心なしか俺の服まで臭いような気がしてくる。
俺がそう思っていると後方に物凄い寒気が走り何故かはわからないが横に回避しようと行動するが、
「つぅ!」
左太ももに痛みが走った。
急いでみるとそこには銃で撃たれた跡があった。
「どこから?」
急いで狙撃場所から身を隠そうとするが、次に首に痛みが走る。
急いでそこを手で確認すると、異様な模様の蜘蛛がいた。
「なんだ?・・・まさか!しまった!」
そう。
俺は失念していた。
最初に撤退をした獣狂いはどんな特技があったのかを!
やつは人以外の動物を操れるのだ。
あっさり引いたのはこのためだったのか!
毒はPHTX3だろうか?
少量ならなんとかなるだろうが・・・。
まずい・・・いし・・き・・・が・・・・・。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回は2018/5/26に更新予定です。