第5幕 先陣
「ちっ!」
俺はあらゆる方向からの攻撃をなんとかかわしながら反撃のチャンスを探っていた。
「かか、あいもかわらず器用じゃな。」
「どうでもいい、早く俺にこわされろ!」
臓物食いと破壊者がさっきから交互に仕掛けてきやがる。
しかも、少しでも隙を見せれば、
「悪よ!滅びろ!」
絶対正義のやつが一気に間合いを詰めて仕掛けてきやがる。
距離をとれば獣狂いの操る獣たちが襲ってくるし、位置取りをミスれば毒蛇に麻痺をひきおこす毒の香りで動きを鈍くされてしまう。
「あんがいお前ら相性いいな。」
俺が連中にそう話しかけると、
「ふざけんな!獲物の取り合いのだけだ!」
「同意だね。儂も今回はたまたまなだけじゃな。」
「俺は全員巻き込んで毒を撒いてるくらいだぜ。」
「俺が正義!それが真実!」
「生き物は賢い。」
「・・・・・・影に意思はない。」
全員が否定をしてくる。
そこらへんも息がぴったりなんだよ!
しかし、現状このままだと俺はかなり不利だな。
まずは獣狂いの操っている生き物を退けるか!
まあ、奴自身も言っていたが生き物は生存本能が強いし、賢い動物ほどどうでもいい罠に深読みをして近づかない。
逆であれば餌を前に我慢がきかないからここから退けられる。
俺はここにくる前に準備しておいた試験管を1つだし、ゴム栓を抜き中の白い煙を向かってきていた鳥に浴びせた。
「ギャー!!」
どうやら向かってきていた鳥はカラスだったみたいだ。
そいつは匂いを嗅いで地面に転がった。
「!?名無し貴様何をした。」
「うーん、この匂い。なるほど考えたな。」
獣狂いの奴はわからないみたいだが、毒蛇にはすぐにバレたか。
しかし、結構離れていたのに匂いがわかるなんて軽く化け物だな。
「獣狂いお前はリタイアだな。」
「毒蛇どういうことだ?」
「さっきの白い煙はアンモニアだよ!直接だと人間でも危険なものだ、カラスの大きさならかなり危険だ。」
「くそ!次の機会にまわすか。」
よし、1人はここから離脱したな。
しかし、殺さずにってなるとやっぱりしんどいな。
次は拳で仕掛けてきている破壊者と絶対正義だな!
おれは腰につけていたものから鉛筆を取り出した。
「そんなもん砕いてやるよ!」
おれは繰り出された拳の人差し指と中指の間に鉛筆を突き立てた。
「があああ!」
見事に鉛筆は奴の手に突き刺さった。
「くそが!」
もう片方にも同じ事をする。
そしてその鉛筆の先にはちょっとした薬を塗ってある。
「どけ破壊者この私が正義の鉄槌を下してやる。」
絶対正義がそんな事を言いながら蹴りかかってくる。
おれはそれをかわして太ももに破壊者と同じように鉛筆を突き刺す。
「くうー!やるな悪よ!だがわらしは、ひょのへいろな・・・。」
どうやら個人差があるものの薬が効いたみたいだな。
破壊者をみると奴も地面に倒れていた。
「驚いたのう。まさかこんな準備をしておったか。」
「次は俺だな。」
「・・・・・・参加する。」
後3人をなんとかしなければいけないのか。
いつも読んでいただきありがとうございます。
次回は2018/5/19に更新予定です。