第2幕 初授業
その後は、響也のおかげ?もあり、転入して色々とわからないこともあるだろうからと、学級委員でもある月城可憐の隣の席となった。
「何か困ったことがあったら言ってね?」
「ありがとう、助かるよ。」
「そういえば教科書ってもうもってるの?」
?
教科書とはなんだろうか?
親父が持ち物は全部用意してくれたから、たぶんバックの中にあるだろう。
早速バックの中を確認してみると、沢山の本が入っていた。
わからないので全部取り出してみる。
「あ!ちゃんとあるね。今日の一限は現国だから教科書は、これだよ。」
そう言って月城可憐は、現代国語と表紙に書かれた本を見せてくれた。
「すまない。わからなかったから助かったよ月城さん。」
「ふふ、どういたしまして。」
「授業始めるぞ!全員席に着け。」
それからの授業は実に俺にとっては新鮮だった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
一限 現代国語
「それじゃあ、今日は26ページを進めてくぞ!えーと、岩見よんでみろ。」
「はい!」
むむ!
なぜに本を指名して立って読ませるんだ?
これはどんな訓練なんだ?
全くわからない、羞恥心かなんかをなくすのか?
それからしばらくは、指名して本を読むのが続いた。
「よし!座っていいぞ!全員内容は頭の中に入ったな?じゃあ問題を出してくぞ!」
なるほど!
読ませていたのは、相手の話を瞬間で暗記する訓練だったのか!
くそ!油断していた。
「よし!正解だ。次は、31ページの15行目にある文を書いている時の、筆者の心情はどんな感じか?そうだな柿崎答えてみろ!」
なんだと!
筆者の気持ちの追跡するだと?
それもこの文の部分だけで判断させるなんて、組織での訓練よりも難しいな。
情報が少なすぎる、こうなったら無難なところで答えるしかないか。
「はい、筆者はこの時きっと締め切りが近くて不味いと思っていたと思います。」
・・・・ギャハハ!
クラス中が笑いに包まれた。
何故だ?
ガーディアンの知り合いの作家は、常に締め切りを気にして騒いでいたからあってると思ったのに。
「あー、柿崎難しく考えるな。」
その後は、先生に丁寧に説明をしていただいた。
今までこんな訓練をしてこなかったツケが回ってきたのか。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
二限 数学A
これは全く問題なかった。
組み合わせなんて普段俺がやってた、狙撃ポイントや、奇襲ポイントを割り出しているのと同じだったから。
ただ不思議なことは、5枚のカードから2枚を取り出して、二桁の数字を作る問題で、最初に0を取り出すと二桁にならないから違うというのは、どういう事なのだろうか?
普通に暗号とかで02とか使うのに実に不思議だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
三限 化学
これは実に興味深い。
それぞれの原子の特徴や危険性を細かく説明されていった。
特にまさかここでフッ化水素の説明を聞くとは思わなかった。
更には水と反応して爆発する原子の詳しく説明もされたし、その保存法として石油がいいなどの専門的なことまで教えていた。
特に驚いたのが炎色反応は暗記をする事だ。
これでいつでも煙によって連絡を取れるようになるからな。
そのほかにも色々な毒物の製造法まで、教科書に載っているなんてすごいな!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
四限 世界史
これにも驚いた。
俺としては、歴史というものに全く興味がなかったのだが、今回やったエジプト文明は凄かった。
まずは、先生によるミイラの製造方法からはじまった。
昔はミイラを作るのにも金を取っていたのか。
しかも値段によって造り方の丁寧さが変わってくるなんて確かに知らなかった。
安いと内臓そのままに巻かれるから腐ってしまうなんて知らなかったし、高いと内臓を取り出して壺に移し香油で漬けるなどもしらなかった。
更には王の選定の仕方も最初は凄かった。
まさか町中の子供を集めて王が使っていた道具を4種類用意して、それぞれ偽物を3種類一緒に並べ最初に全部正解したものが王の生まれ変わりとして、王になれるなんて想像もできなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
昼休み
教室では不思議な光景が広がっていた。
全員席をくっつけたり、黒板の所に腰をかけたりして、弁当を食べたり、何処かへ出ていったりしていた。
学園では昼食は支給じゃなくて自己調達なのか。
まあ俺は基本的に非常食で充分だし、常に持ち歩いているので問題ない。
そうやって自分の席で食べていると、
「あれ?柿崎君は何食べてるの?」
仲のいい女子生徒と昼食を食べていた月城可憐が話しかけてきた。
「ああ、非常食を食べていた。」
「え!それで足りるの?」
「ああ、何時もこんな感じだから慣れたな。」
「ダメだよそんなんじゃ!栄養失調になるよ?」
「それも大丈夫だ!栄養は1つで1日補える。」
「それでもしっかり食べないとダメだよ!ちょっと待ってね。」
月城可憐は自分の弁当箱の蓋に中身のおかずを少しづつ乗せると、
「はい、どうぞ!」
俺に渡してきた。
仕方なく受け取り、それを食べていくと、とてつもなく美味しかった。
そういえば今まで料理とは、無縁でいつも組織での飯といえば缶詰や保存食ばっかりだったからな。
俺は全部食べ終わってから蓋を返し、
「ありがとう、凄くうまかった。」
「へぇ!そうよかった。」
月城可憐の顔が少し赤かった。
風邪でもひいているのだろうか?
そんなこんなで昼休みは終わった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五限 体育
これはまさしく戦闘訓練みたいなものだった。
まずは準備運動、これは理にかなっている。
運動まえに体をほぐす事によって、突然起こる怪我の危険性を下げておける。
実戦では不可能だが訓練だからこそのものでもある。
今回は持久走らしく自分の限界までとりあえず走っておいた。
何故か周りはドン引きしていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
六限 英語
この時間割りは悪意を感じる。
前の時間で疲れたのに、そのうえで語学教育とは・・・・!
そういうことか、疲れていても頭がちゃんと働くかどうか、調べるためにあえてこうしているのだろう。
確かに油断すると英語が呪文に聞こえて寝てしまいそうになる。
学園とは、こんなにもきつい場所だったのか!
なるほど、親父はここでもう一度俺に自分をみつめなおさせようとしたのか!
1日目にして学園という場所の恐ろしさを身をもって知る事が出来た。
途中のミイラ作成や王の選び方はあくまでも想像ですorz
次の更新は2017/8/5を予定しています。