第3幕 決着
「いいな、清十郎!そうだ、そうだよ!それでいいんだよ!お前はそういう戦い方しかできないんだ。ならば無理に変えずにそのスタイルを貫くしかないんだよ!」
今野は俺と戦いながらも、俺にそんな事を言ってくる。
俺だって流石にもう自覚しているよ。
俺はやっぱり昔の戦闘スタイルがあっている事や、相手との距離の取り方を今更変えるのではなく、大切な人を守るために使える物は全て使うべきだという事を!
「・・・あんたに言われなくてもわかってる。」
次々に今野に攻撃を繰り出すが、簡単にかわされてしまっている。
片腕が使えないのに器用なもんだな。
「ほら、甘いぞ!」
「ぐぅっ!」
しまいにカウンターで銃弾で怪我をした場所をもう何度も攻撃されてしまっている。
なんとか危険な場所は避けたものの、地味に出血がやばくなってきたな。
少し頭がぼーとしてきてしまっている。
それでも、ここは、今だけは引くわけにはいかない。
何としても今野を止めて可憐を助けなくては!
俺はふらふらになりながらも今野への攻撃の手は緩めない。
「おい、清十郎。もうおしまいか?お前の覚悟はそんなものなのか?」
「言われなくても、まだいける!」
そうは答えたものの次の一撃が最後のチャンスだろうな。
ならば、次に俺の全てをかけるだけだ。
俺は切り札の1つである寸頸を使う為に今野にもう一度間合いを詰めていく。
「なんだ?やけくそか?無駄な事だな。」
今野はどうやら俺の行動が理解できていないみたいだな。
俺は今野の攻撃を辛うじてかわし、何とか今野の脇腹に手を合わせられた。
「何のつも、ぐぁ!」
「はあ、はあ、はあ、どうだ。これなら。」
今野は吹き飛んでいったのが、何とか見れたがやっぱり少し血を流し過ぎたせいか意識を保つのがやっとだな。
一先ずは可憐の無事を確認しないとだな。
俺は可憐がいる場所に近づこうとしたら、
「だから詰めが甘いんだ。だが今回は清十郎お前の勝ちだ。」
「えっ!がっ!」
可憐に集中してしまったせいで接近に気付けずに、今野に一撃をもらって俺は意識を失ってしまった。
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「はあ、全く世話がかかるな。」
俺は折れてしまっている腕と肋を見つめてから、目の前で気を失っている清十郎を見た。
少し見なかっただけでだいぶいい面構えになったもんだな。
それにようやく吹っ切れたのかいい攻撃だった。
そして何よりもようやく大切な人を見つけられたんだな。
確か清十郎にとっては初恋になるのかな?
まあ、こいつは自覚がないのだろうがな。
っと!
あまり時間がないからすぐに後片付けを済ませて移動しないとだな。
俺はすぐに清十郎の傷の手当てを済ませて、月城可憐の近くに運んでから警備のいない場所から工場跡より離脱をしていく。
建物を出てしばらくすると、
「達也、終わったのか?」
声のした方を向くとそこには、ボスである矢澤さんがいた。
「ええ、そっちはどうなんです?」
「裏切り者は処断した。」
「そうですか。」
「なあ、本当に良かったのか?」
「何がです?」
「だってお前は清十郎の事。」
「ボス、だからですよ。あいつはこれからもっと辛い事がある。これぐらいでへこたれてもらったら困るんだよ。」
「あいつに嫌われてもか?」
「ああ、必ずあいつの元所属していた場所の連中は襲ってきますよ。その時に自由に動ける奴がいた方がいい。それもあいつがしらない場所でね。」
「・・・辛い事をさせてしまう。」
「構わないさ。俺にとってあいつは・・・・・・だからな。」
「そうか。気をつけろよ。」
その言葉を最後に俺は矢澤さんに軽く頷くだけでその場所を後にした。
しばらくは身を隠さなければいけないから、安全な場所を見つける事からしていかないとだな。
いつも読んでいただきありがとうございます。
体調不良が長引いてしまい他の作品が更新停止してしまいすみません。
体調が戻り次第頑張ります。
次回は2018/3/31に更新予定です。