第1幕 学園生活始動
今野さんの運転で学園に車で向かっている時、今野さんが俺に話しかけてきた。
「なあ、清十郎。ガーディアンとして正式に着くのが初めてになるだろ?絶対にガーディアンの誓い忘れるなよ。」
ガーディアンの誓い。
それは俺が親父に拾われた時から耳が痛くなるほど聞かされてきたものだ。
ガーディアンはボデーガードより過酷なものであり、それがどう過酷なのか言葉にしたものだ。
一つ、ボデーガードと同じで護衛対象は絶対に守り抜く事。
一つ、護衛対象の命を守ると同時に自らの命も絶対に守り抜く事。
一つ、護衛対象に対する危険分子は速やかに排除する事。ただし絶対に殺害してはいけない。
と言う上記の3つがガーディアンの誓いであり、どれか1つでも破れば規則によって粛清される。
「大丈夫ですよ。自分はガーディアンの誓いを誇りに思ってますから。」
「はは、前とはだいぶ変わったな。」
「それは、当たり前ですよ。」
俺が直ぐに答えると今野さんは機嫌良さそうに笑っていた。
しばらくして学園の駐車場に着いたので俺と今野さんは、車から降りて学園長室に向かっていった。
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学園長室の前に着き、ドアをノックすると、
「どうぞ。」
声が返されたので、今野さんが一応俺の護衛という事もあり、誰かに見られているかもしれないため、ドアを開けてくれた。
「失礼します。」
頭を下げてから学園長室に入るとそこには、黒髪を肩のところでバッサリ切った髪型をした、資料通りの年齢より若く見える女性がいた。
「今回は依頼を受けていただきありがとうございます。」
正直俺はその言葉に少し後ろめたさがあったが、ひとまず受け取る事にした。
その後改めて現状の説明を受けた。
簡単にまとめると、どうやら学園長宛に脅迫状が届いたらしい。
最初学園長はよくあるイタズラの1つとして処理をしたらしいが、次にまた脅迫状が届いて中を確認したら孫の細かい情報を書いた物と、殺害予告が入っていたらしい。
そこで学園長は過去に孫の両親が殺された事もあり怖くなって、いろんなところにボデーガードを頼んだのだが、当の本人に拒絶されてしまい駄目だったらしい。
そこでボデーガードではなく俺たちガーディアンに依頼したってことだ!
現状クラス担任とやらが孫に事あるごとに責任を押し付け精神的に参っている以外、怪しい事は起きていないとのこと。
そういえば、親父のくれた資料にも担任に問題ありで上手く組織の人間に替えたいとかあったな。
とりあえずそんな所で現状の説明は終わり実際にその担任に会う事になった。
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「ああ、君が編入生か。」
噂の人物は何ていうか一目見た感想としては、陰湿のメガネ野郎って感じだな。
「これからよろしくお願いします。」
一応当たり障りのない挨拶をしておいた。
「ああ、私に面倒な事をさせるなよ?」
うわー、やっぱ性格が最悪なパターンだった。
とりあえずは、こいつが弱味を出すまで学園生活とやらを頑張るか。
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性格陰湿のメガネ野郎に俺が所属するクラスとやらに案内された。
「ここがお前のクラスだ!サッサと紹介してやる。私は別の仕事で忙しいからな。」
メガネ野郎はそう言うと俺を連れてクラスに入っていった。
「お前ら席につけ、直ぐにホームルームを終わらせる。連絡はなし。それと今日から編入生が入った。月城、俺の代わりに紹介しとけ。」
メガネ野郎はそれだけ言い残して去っていってしまった。
本格的に使えない人だわ。
「うわぁ、出たよあの人の得意技。」
「直ぐに何でも月城さんに押し付ければいいやって考えてるんだから。」
クラスの中がいきなり賑やかになった。
少し観察してみると、どうやら2種類の人間に分かれるようだ。
護衛とボデーガードって感じかな。
「あの、ごめんね!名前聞いてもいいかしら?」
観察をしていたらいきなり話しかけられた。
話しかけてきたのは、依頼された護衛対象の月城可憐だった。
「ああ、すまない考え事してた。自分の名前は柿崎清十郎だ。」
「ありがとう。みんな彼は柿崎清十郎くんだってこれから仲良くしていきましょう。そうそう!自己紹介してもらっていいかしら?」
親父が言ってた最初の試練か!
そういえば親父からこれの対策用の紙をもらったな。
俺が紙を取り出すと、
「おいおいあいつ何を言うつもりだよ。」
「自己紹介に紙用意してるよ。」
なんかあっちこっちで声が聞こえるが気にせず、
「えーと、自分は柿崎清十郎といいます。親の都合でこんな時期の編入になりました。趣味は夜の徘徊?特技は筋トレ、この学園での目標は今まで親の転勤に合わせていたのでボッチ?だったためそれを脱出する事。今はあだ名を募集中です。どうかこれからよろしくお願いします。」
ふぅ、言い終わった。
意味がいまいちわからないものもあったが完璧に言いきった。
次の瞬間、
「ギャハハハハ!」
クラス中から笑い声が聞こえた。
むむ!自己紹介とは笑いを取るものだったのか!
するとクラスの中から1人の男子が俺に近づき、
「最高やったで!清やん!」
「清やん?」
「そや!さっき言っとったあだ名や!」
なんか早速あだ名がついた。
さすが親父だな完璧だ!
「そうそう!わいは、壬生響也やよろしゅう。」
そう言って男子壬生響也が手を出してきた。
「こっちこそよろしく。えっと壬生。」
「響也でええよ。」
「よろしく響也。」
俺はその手をしっかりと握った。
「壬生君相変わらずね。ごめんなさい私の名前がまだだったわね。私は月城可憐です。」
「月城さんもよろしく。」
その後もクラスの一人一人から名前を教えてもらった。
ちょうど全員の名前を教えてもらった所で、
「キーンコーンカーンコーン」
「チャイムが鳴ってしもうた!続きは授業の後やな。」
皆席に所に戻っていった。
「自分の席は?」
「「「「あ!」」」」
次回は2017/7/29を予定しています。