第7幕 罰
教会の建物に近づいていき罠がないことを確認してから、扉に手をかけると鍵がかけられてなく簡単に開いた。
中に警戒しながら入っていくと、礼拝堂の一番前の長椅子のところに結衣が寝かされていた。
ただ臓物食いが起こしたであろう被害者たちも一緒にいると思っていたんだが、その予想とは違って結衣以外には誰もいなかった。
ただ、明らかにここで何かをしたのだろう。
かなり薄くなっているが、どことなく血の匂いがしてきていた。
俺はすぐに結衣の様子を確認してみる。
まずは鼻の前に手をやり呼吸をしているか確認する。
次に首に手を当てて脈をはかる。
よし!
どちらも問題ないな。
ただ気絶をさせられているだけみたいだ。
その確認をしていると、
「・・・うーん、ここは?」
「結衣!大丈夫か?」
「・・・清十郎様?」
結衣が目を覚ました。
どうやら今の状態をまだ理解できていないみたいだ。
「・・・わたしは?・・・あああああ!」
「結衣!大丈夫だ!」
どうやら結衣はどうしてここにいるのか思い出したみたいだ。
俺にはわからないが相当怖い思いをしたのだろう。
体が震えていたので、俺は優しく抱きしめた。
「清十郎様。あの方はわたしの目の前で女性の方を!ああ!」
臓物食いの奴!
結衣の目の前で誘拐した女性の体から肝臓を取り出しやがったな!
「大丈夫だ!もう奴はいないから!」
「うわわわー!」
これもきっと俺のせいなんだろうな。
学校内に敵がいるのをわかっていたのに、自分がちゃんと知らせなかったせいでこんな事が起きてしまった。
「すまない。自分のせいだ。」
「うわーん。」
しばらくすると泣き疲れたのか、結衣は俺に抱きついたまま眠ってしまった。
俺はどうするべきか悩んでいると、
「清十郎!お前どういうつもりだ!」
教会の入り口に親父がいて俺の方に怒りながらやってきた。
「親父?」
「お前はここで何をしている!」
なぜ親父がここにいて怒っているのか俺にはわからない。
確かに響也に助けを呼ぶように頼んだから、てっきり今野さんか恭子さんあたりだと思ったんだが。
「お前がいない間に寮に襲撃があったぞ!お前の守るべき相手は誰だ?」
なんだと!
なぜこのタイミングで寮に襲撃が起きるんだ!
「親父!可憐は?」
「幸い海馬のおかげで軽傷で済んだ。」
くそ!
俺はどうすればよかったんだ!
「なあ、清十郎。お前は何故ここにいるんだ?」
「響也から聞いていませんか?」
「・・・響也は今回の襲撃で最初に無力化された。」
!!
やられた!
全て仕組まれていたのか!
「親父、すまない。自分の判断ミスです。」
俺は全てを親父に話した。
親父はしばらくジッと聞いていて話し終えると、
「清十郎、お前は明日から一週間別の任務についてもらう。」
「!!親父!それって!」
「安心しろ、外す訳ではない。少し協力してもらうだけだ。月城可憐に挨拶をしておけ。」
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回は2018/1/20に更新予定です。