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ガーディアンラプソディ  作者: shun
試験騒乱編
27/47

第6幕 本能


俺は1人で教会へとたどり着いた。


「おい、臓物食い(カニバル)約束通り1人できたぞ!」


「おや?やっぱり1人できたんじゃな名無し(ヴォルフ)。久々で血が騒ぐじゃろ?」


「約束を守ったんだから人質を解放しろ。」


「くかかかか!平和ボケして牙を失ったのか?我らのルール通りにするとしようかの。」


かつてのスコーピオンでのルールは実に簡単で、意見が違えたら力で相手をねじ伏せればいいだけだ。


「俺はかつてとは違う。あんたと殺し合うつもりはない。」


「無駄じゃよ名無し(ヴォルフ)。お主の身体に染み付いた血の匂いはとれんよ。」


「・・・黙れよ、臓物食い(カニバル)。」


「くかかかか!その感じじゃよ!懐かしいのう!楽しみじゃのう!」


臓物食い(カニバル)はそう言って壊れたように笑い続けてる。

しばらくしてやつはいきなり糸の切れた人形のように身体を脱力させた。


「なあなあなあなあなあ、名無し(ヴォルフ)よ。儂を楽しませるんじゃよ?」


臓物食い(カニバル)はいきなりその場から姿が消えた。


「!!っと、あぶない。」


俺の死角となる位置からいきなりナイフが飛んできた。

なんとかそれには反応でき、ギリギリで回避ができた。


「なんじゃ怠けておるのう。」


どこからかやつの声が聞こえてくるが、場所がわからない。


ヒュン!


「くっ!」


またしても、俺の死角となる位置から正確にナイフが飛んでくる。

回避が遅れたために少し頬をナイフが掠めてしまった。


俺はとっさにその傷を右手の甲で拭って、なんとなくその手の甲についた自分の血を見た時だった。


ドクン!


身体の奥底から何かが込み上げてくる感覚があった。

それは何でかは、わからないが突然に破壊衝動が身体の奥底からでてきた。


わからない。

ただ、自分の血を見ていると、何故だか怒りと破壊衝動が感情として込み上げてくる。


自然と昔の感覚が戻ってくる。

ただ言われるがままに殺人を起こしていたあの時の感覚が・・・。


これはまずい!

意識が切り替わっていってしまう。


「くかかかか!いい目になったの!その目じゃよ、その殺人鬼の目がお主にはふさわしいんじゃよ!」


「・・・黙れ。」


俺は、自分の感覚を頼りに臓物食い(カニバル)を気配を感じとりそこに攻撃を仕掛ける。


やつはすぐにまた気配を消して移動してしまう。


しかし今の俺には隠れても無駄だ。

やつの息遣い、鼓動、呼吸といった気配はすでに感じとっている。


次の瞬間に今までと同じように俺の死角からナイフが飛んできたが、俺はすぐにそのナイフを受け止めると、飛んできた場所とは少しズレた場所に投げる。


「くっ!」


ナイフの飛んでいった方から苦痛が聞こえてくる。


「やはり名無し(ヴォルフ)お主は殺しに生きている時が一番のようじゃな。」


俺はその言葉に頭から水をかけられたような感じだった。


いま俺は何をしようとしていた?

俺はナイフを相手を殺す為(・・・)に投げた?


「くかかかか!自覚しておらんみたいじゃのう。お主、儂と殺し合っている間生き生きとしておったぞ?」


「・・・違う。」


俺は過去とは決別すると決めたんだ!

もう殺しはしないと、あの頃のようなことはけしてやらないと!


「まあよいわ。今回はここまでじゃな。名無し(ヴォルフ)少しは楽しめたから褒美に返してやるよ。次はもっと楽しく殺し合って行こうじゃないかの。」


臓物食い(カニバル)はそれだけ言い残してその場から姿を消してしまった。


俺はたた呆然としていた。


俺は結局あの頃から何も変わっていなかったのか?

俺は結局殺人鬼でしかないのだろうか?

空を見上げるが、けして答えが見つかることはなかった。

いつも読んでいただきありがとうございます!


次回は2018/1/13に更新予定です。

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