第4幕 疑い
俺は清十郎の姿が見えなくなるとすぐにボスへと連絡をした。
「どうした達也?」
「どうも敵にこちらの情報が流れているみたいです。」
「根拠は?」
「今日俺の設置した監視カメラ、それにセキュリティーシステムの一部が操作されていたみたいです。敵は捕獲していますが、たぶん替え玉みたいなもんですね。」
「そうか、まあ、うちも一枚岩じゃないからな。しかし、こうして知らせてきたって事は心当たりがあるのか?」
「裏切りではないとは思いますが、清十郎の様子がこの前の体育祭からおかしいですね。」
「・・・そうか、もしもに備えて監視を頼むぞ。」
「いいんですか?」
「・・・いいもなにも、清十郎が裏切っていれば誓約通りに処分をするだけだ。」
「まったく意地はっちゃって。まあたぶんあいつはあらかた昔馴染みでもあっているんじゃないですか?」
「スコーピオンか、それはあるな。どちらにしろ用心しておいてくれ。それと捕まえた奴はこっちに連れてきてくれ。尋問したいからな。」
「了解です。」
はあ、今この場所で警備にあたっているのはうちの組織だと、全員で6人しかいないから情報が漏れたとしても誰だか検討はつくが、あまり仲間を疑いたくはないものだな。
後は別の可能性としては、体育祭の時に敵組織に下見をされてここの状態を知られていたかもしれないな。
一応後で全てのシステムをいじっておくしかないか。
清十郎、お前は今何を1人で考えて行動しようとしているんだ?
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海馬と可憐と別れてから俺はすぐに臓物食いの捜索に乗り出した。
とは言っても探せる範囲はこの学園の敷地のみだけれど、たぶん何かをしようとしている以上ここのどこかにはいるのだろう。
まず、学園の建物内には間違いなくいないだろう。
後は各クラスの寮や、部活の部室なども隠れるにはあまり適していないな。
となるとどこが怪しいだろうか?
「おや?そこにいるのは柿崎君だったかな?」
「えっ!」
考え事をしていたとはいえ、近くに人が来ていたことに気づけないなんて油断していたな。
俺は驚いて声のした方をみると、
「あれ?御厨先生?」
そこにいたのは、社会担当でいつもいろんな話をしてくれている御厨先生がいた。
「いやー、何か難しい顔で考え込んでいたからねどうしたのかと思って声をかけたんだよ。」
「それはすみません。よくよく考えると自分はまだこの学園の敷地を全部は知らないので、どこに何があるのだろうかと考えていました。」
「そうなのかい?なら先生は今暇だから話し相手のついでに案内をしてあげるよ。」
「いや、そこまでしてもらうわけには。」
「いいから、いいから。私も気分転換したかったからね。」
御厨先生が強引についてくることになってしまった。
本音を言うと、そんな事をしてもらわずにいそいで奴の侵入経路を調べておきたかったんだけどな。
それからしばらくは、俺と御厨先生とで話しながら校舎の外の施設の案内をしともらっていた。
「それにしてもやっぱり広いですね。」
「そりゃそうさ。じゃなければ人が集まらないだろ?」
「そういうものなんですか?」
「そりゃね、学園ってのは何かしらの魅力がなければ人が集まらない。人が集まらないなら、運営が難しくなるからね。」
「ぶっちゃけますね。」
「そりゃ、愚痴も言いたくなるさ。っと、後は敷地の外れにある教会で紹介は終了だな。」
「敷地の外れに教会なんてあるんですか?」
「もっとも今は施錠されていて中には入れないよ。」
敷地の外れにあって、誰も近づかないだろうし、しまいには施錠がされていて人の出入りがないとするとそこが一番怪しいな。
「一応見てみるかい?」
「はい、お願いします。」
そして御厨先生の案内でその場所に行った時だった。
「おや?おかしいな。」
「どうしたんですか?」
「いや、なんか誰かが・・・いや気のせいだったみたいだな。」
なんだろうか?
御厨先生はそんな事を言ってきた。
けど確かに最近ここに近づいた人はいるみたいで、草がところどころ踏み倒されていた。
「これは後でみまわらないとだな。まったく仕事を増やしてくれるよ。」
そんな事を愚痴っていた。
「さてと、これで全部だね。」
「御厨先生、ありがとうございます。」
俺は確信した。
敵はきっとここから侵入をしていたのだろう。
ここならば周りからはなれているし、今野さんの監視カメラを設置するための電源もないから、気づかれることもないな。
これは後で確認をしに戻ってこよう。
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回は2017/12/29に更新予定です。