第7幕 障害物走
「それじゃあ柿崎、さっさと障害物の紹介をしていくよ。」
「森崎先生いきなりですね。」
選手入場が終わり、どうやら走る準備が全員できたらしく恭子さんは勝手に中継のマイクの電源をいれてしまった。
「さてさて、ここからの中継は美人教師の私、森崎恭子とこの危険なレースを準備した柿崎清十郎が担当するよ!
早速レースが始まったね!第一の関門はなんなんだい柿崎?」
「第一の試練は、過去の資料から網潜りになっています。まあ、出るところで一番油断するだろうから罠がありますけど。」
俺がそう説明をし終えると、
「うわー!」
「なんだこれ?」
どうやら早速兵士が罠に引っかかったらしいな。
「おい、柿崎あれはなんだ?」
「とある人に協力してもらって作った見た目は普通の土なとりもちです。」
「さっきまであんなものなかったよな?」
「こっそり準備しました。」
実際はこういうのが得意な仲間にこっそりと、他の人が道具準備中に仕掛けてもらった。
「くそー、なんとか抜けられた。次はってなんだこれ?」
「おや?選手の中にはあの悪質な罠を突破したツワモノがいた!しかし次の罠は平均台だ!なんだ普通じゃないか!」
恭子さんは、どうやら俺の出した計画書をちゃんと読んでいなかったんだな。
まあ、この人は基本大雑把だからな。
「こんなん楽勝じゃん!」
先頭の選手が一気に渡ってしまおうと、平均台に登り進み始めると、
「ぐは!」
横から飛んできた水風船で撃墜された。
「なんだこれは?一体彼らは何者だ?柿崎説明よろしく!」
「了解!平均台には、常にバランス感覚を意識してもらう意味があります。」
「それなら彼らは?」
「普通じゃつまらないとのことで、有志を募集したら是非にと野球部が協力してくれました。野球部の皆さん楽しんでますか?」
「「「うす!」」」
「まて、柿崎。当てるのを楽しんだらダメだろ!」
「まあ、それは置いておいてこの先には交代して飴玉探し、金魚掬いがダメだったので亀すくい、交代して中身当てと仮装が待っていますよ。」
「おい、流すな!つかなんだこの競技どこに向かっているんだよ!なんか後半ほどおかしくなっているし!」
「それでは選手の皆さん引き続き頑張ってください。」
「まて柿崎、これ本当にゴールできるのか?」
「まあ、できるでしょう。」
「おい!」
そこからは、ひたすら悲鳴や絶叫が響き続けていた。
飴玉では、みかん箱サイズのプラスチックの箱にコーンスターチを入れ、あたりの飴玉を一個と、ハズレのものを大量に入れた。
「辛ー!」
「何これ、ムッチャ酸っぱい!」
「痛ー!なんだこれ?」
「・・・・・・」
「柿崎お前これなんだ?1人あれ気絶してるだろ?」
「飴玉探しはこういうものだと聞いたので。」
「いや、限度があるだろ。」
次の亀すくいでは、
「おい!亀子供でも重すぎて、ポイが簡単に破けちまうよ!」
「無理すぎるわ!」
「どうすればいいんだよ!」
「おい柿崎、流石にこれ無理だろ?」
「枠に引っ掛ければいけますよ。それより金魚掬いのあの網ってポイって言うんですね。初めて知りました。そういえば社会の先生がポイは、ジャグリングの道具のひとつで、紐の片側の先に玉がついていて両手にひとつずつ持って回す。 もとはニュージーランドの先住民、マオリ族の儀式に使用されていたものであるって言ってましたね。」
「ちょっと清十郎君今それ関係ないよ!」
「ああ、可憐も聞いていただろ。」
「柿崎、月城ここでイチャつくな!つか実況中継しろ!」
さすが学園で教育されてるだけあって、どのチームも何とかクリアをしてきた。
そして次の中身当てゲームでは、
「いてー!おい!噛みついたぞ!」
「なんか舐められた!」
「吸い付かれてるんですけど?」
「モジャモジャしてる。」
「柿崎説明よろしく。」
あ!
恭子さんついに丸投げしたな!
「仕方ない。中身はそれぞれ名前はジョセフィーヌ、アンソニー、亀吉、山田です。その動物名を当ててください。」
「「「「ヒントになってないよ!」」」」
まあ、俺もこのネーミングセンスは酷いと思う。
飼育している奴が悪いな。
ちなみにジョセフィーヌはアメフクラガエル、アンソニーはピグミージェルボア、亀吉はアンゴラウサギ、山田はアルマジロトカゲらしい。
俺自身はじめて見る動物すぎてあまりよくわからないけど、まあ、当てられるだろうさ。
結局かなりヒントというか、正解を教えるような感じで各チームクリアした。
一番最後はお待ちかねの仮装だ!
全員が着替え用の建物の前に置かれている箱に手を入れて、番号が書かれた紙を取り出しそれぞれその番号の場所に入っていった。
「なあ、柿崎。あの中には何があるんだ?」
「仮装の衣装ですよ。」
「普通だな。」
「そりゃそうですよ。」
そして着替えをすまして出てきた人物をみて、会場が笑いに包まれた。
「これは屈辱だ!」
最初に出てきた男子生徒はメイド服だった。
「ないわー。」
次は女子生徒で学ランだった。
「まあ、これはアリでしょ!」
次の女子生徒は普通にチアリーダーの服だった。
「おい!これ前見えないし、バランスがってうわ!」
そう!
一つだけ大当たりで大仏のなりきりセットを用意していた。
ただ異様に顔をでかく作られたために、頭の部分だけでかなり重いはずなんだっけ?
そして、障害物の第1レースは爆笑の中でゴールでき終わり、全部で8レースが無事に終わり次の競技へと移っていった。
「そうだ、柿崎。また借り物の時にこれやるからな!」
「はあ、了解です!それじゃあ一旦俺たちは戻りますよ。」
「わかったよ。っと忘れてた!柿崎お前の親御さんきていたぞ!」
「!!わかりました。見つけたら挨拶します。」
「?清十郎君?」
「ああ、親父は厳しい人だからちゃんとそういうのしないとうるさいんだよ。」
やばいな!
普通の家族は見つけて挨拶はしないよな。
「そうなんだ。大変だね。」
「まあ、いつものことだからな。それよりクラスの場所に戻ろう。」
俺と可憐は一緒にクラスの応援席へと戻っていった。
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回は2017/11/4に更新予定です。