第3幕 敵
学園で体育祭での担当が決まり、その種目の道具を準備する事になり、実行委員の集まりは解散する事になった。
俺はひとまず保健室で待っているであろう、今野さんと合流するためにそこへ向かった。
「あら、清十郎じゃない?」
「恭子さん、さっきもあってますよね?」
「細かい事は気にしないの!あまり細かいとモテないわよ?」
「何を持つんですか?」
「相変わらずあなたはそうよね。」
何が面白いのか、恭子さんは腹を抱えて笑っている。
「恭子さん、それより何か用があるんじゃないですか?」
「ああ、そうだったわ!急いで保健室に行くわよ!」
俺は恭子さんに引っ張られるように、保健室まで連れて行かれた。
「遅いぞ!」
「何いってるのよ!達也は監視してくるのわかってたでしょ?」
「それはそれだ。」
なんだかんだこの2人は仲がいいな。
あれ、てっきり恭子さんが用があるっていって連れてきたから、響也もいるのかと思ったらいないって事は、仕事の話だな。
「それで、恭子さんに今野さん、話の内容は?」
「ああ、そうだったな。今度の体育祭に関してだ。」
「という事は?」
「そうよ清十郎、想像通りよ。その日は外部からもこの学園に入る事ができるわ。とはいっても、ここの生徒からチケットをもらっていなければ入れないわ。」
確かにそういう仕組みになっているが、所詮その程度の仕組みであれば、そのチケットを偽造して入ってくる事は可能だろう。
「そこでだ、保険のためにボスに出てきてもらう。」
「はあ?親父にですか?」
「臨機応変に対応できるのは、ボスくらいよ?他のガーディアンじゃ個性が強くて無理でしょ?」
そんな事を個性的代表みたいな恭子さんに言われても、説得力が全くないんだけどな。
「まあ、その件と前回の剣の追加報告があるらしいから、一旦今日はアジトに戻るぞ。心配するな学園にはもう許可をもらっている。」
今野さんがドヤ顔で言ってきたよ。
まあ、俺も親父に用があったからちょうどよかったか。
保健室での会話は、そのぐらいで終わりになり、俺たち3人は学園の敷地をでて、組織のアジトへと戻った。
「おやおや、君たちですか?新しい獲物の献上ですかな?」
「いや、残念ながら今日は違いますよ。」
「そうですか?それは残念、いつでも待っていますから気軽にもってきてくださいよ?」
「わかっている。」
今話したのは、ガーディアン3の桐生辰巳さんだ。
この人はガーディアン中でも恭子さん並みに個性がユニークな人だ!
なんせ拷問に関しての案件を、基本的に1人で担当している。
そして、彼の攻めは強力らしく相手から必ず情報を手に入れていた。
「ああ、そうそう!清十郎君、前回のは非常に湯意義なものでしたよ。お礼にたっぷり情報をボスに渡しておきましたから。」
そう言い残して桐生さんは、フラフラとどこかへといってしまった。
そのあとは、誰とも出会わずに親父の部屋へとたどり着いた。
コンコン!
「大丈夫だ、入ってこい。」
「「「失礼します。」」」
「すまないな呼び出して。」
「いえ、それより新しい情報とは?」
「ああ、前回の襲撃犯の1人がだいぶゲロってくれた。」
そういって俺たちに書類を見せてきた。
その書類には、襲撃を依頼した人物から、どれくらいの組織が動いているのかおおよその事が書かれていた。
「この依頼主は本当ですか?」
「100%偽名だ。それにその人物は存在していなかった。」
「ボス、この組織の数に名前は?」
「・・・・・・残念ながらあっているようだ。」
今野さんの質問に親父は、正直に言ってきた。
俺は今野さんから組織の名前の書かれているページを貰って内容を見てみた。
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月城可憐暗殺の為雇われた組織
黒の魔弾
ファランクス
ドーンコール
解放戦線
ブラックファング
・・・・
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かなり有名な暗殺組織や闇組織が関わってきている。
一体可憐の何に大手の組織が利益を見出したのだろうか?
変な話だが、可憐は別段これと言ってのオンリーワンがあるわけではないから、組織の名前が表に出る危険を犯してまで暗殺に動くものだろうか?
「追加の情報はこれくらいだな。いくつか用心すべき組織がわかっただけでも御の字だ。」
「ボス、これとは別件で一ついいですか?」
「なんだ今野?」
「もう時期ある体育祭で襲撃が予測されます。それでボスに動いて欲しいんです。」
「お!清十郎が実行委員をやってるやつか!いいぞ、これはカメラを用意しなければ。」
なんだ?
親父すごく軽く受けたけど、組織の長がそんな簡単に決めていいのだろうか?
てか、まだ何も話してないのに、なんで俺が実行委員をやってる事を知っているんだ?
疑いの目を今野さんに向けると、今野さんは俺と目を合わせないように顔を背けた。
あの盗撮映像を親父に送っていやがったな!
その後は学園に外泊届を出したこともあり、久々に自分の部屋に泊まることになった。
ちなみに夕食の時に、親父に障害物や借り物の事を駄目元で聞いてみたが、案の定全く参考にならなかった。
いつも読んでいただきたありがとうございます!
次回は2017/10/7に更新予定です!