第2幕 種目
「可憐、ちょっといいか?」
「何?清十郎君。」
ホームルームが終わった後に、俺は体育祭の実行委員が何をするものなのか可憐に聞いてみる事にした。
「実行委員って何をするんだ?」
「そうか、清十郎君は初めてなんだ。実行委員はね、体育祭がスムーズに進むようにする仕事だよ。」
「具体的にどんな事をするんだ?」
「うーん、いろいろあるんだけど、まずは体育祭でやる種目を決めたり、それに使う道具を出す人を種目ごとに決めたりするんだよ。」
「何となくだが分かったよ。」
なるほど、体育祭とは己の実力を示すための場所なのか!
それに種目とは、格闘技のクラス分けみたいなものだろうか?
しかも、道具を使用してもいいなんて、かなり本格的だな。
これは、それを決める立場になる以上気を引き締めないとだな。
「ねえ、どうせ行く場所は同じだから一緒に行かない?」
「それは、助かる。正直場所がわからなかったから。」
「それならよかった。」
俺と可憐は一緒に実行委員の集まる教室へと向かって歩いて行った。
そして、目的の場所に着くとすでに何人かは集まっていた。
「おや、君たちは体育祭実行委員かな?」
教室に入ると、いかにも真面目そうな男子生徒が話しかけてきた。
「はい、そうです。」
「それなら空いている席に座って待っていてくれ。たぶん時期に全員集まるだろうからね。」
俺と可憐は、言われた通りに近くの空いていた席に並んで座った。
それから時期に、次々とほかのクラスの実行委員が集まっていき、全ての空いていた席が埋まると、
「タイミングよかったわね!全員揃ったなら直ぐに始めましょ。」
恭子さんが教室に入ってきて、いきなり仕切りだした。
集まりの内容は、実行委員の自己紹介に始まり、次に種目決めになっていった。
これが大変だった。
なんせ俺には初めて聞くものばかりで、どんなものなのか不明なものがいくつもあった。
まず、借り物競走というものだ。
トラックを走るのはわかるんだが、何故その後に封筒をとって、中に書かれているものを借りてこないといけないとか、これは実力だけではなく運も調べるのか?
次に障害物競走だ。
まあ、走るコースに様々な障害物があるのは、実戦で役に立つのはわかる。
ただその障害物に飴玉さがしや、着替えってどんな役に立つんだろうか?
最後に騎馬戦と棒取りの2つだ。
騎馬戦なのに、馬に騎乗せずに戦うなんて、全く意味がわからない。
説明を聞いても3人の人の上に乗って、相手チームの帽子を取るってどうやるのかわからない。
棒取りもそうだ。
合図に合わせて互いの陣地から等距離においた棒を、自分の陣地に持っていくのにどんな意味があるのだろうか?
俺の疑問は余所に次々と種目は決まっていった。
てか、大縄ってクラス全員で縄跳びって、本当に何の鍛錬になるのだろうか?
その後はその決まった種目の時に、それに必要な道具を準備をする担当を恭子さんがあっという間に決めていってしまった。
確実に狙ったであろう、俺と可憐は同じ担当にされて、種目は借り物競走と障害物競走にされた。
「うーん、清十郎君。借り物は封筒の中を決めないとだよね。どんなのがいいのかな?」
「俺は詳しくないからな。ちょっと森崎先生に聞いてみるよ。」
俺は借り物の事を聞きに恭子さんのところに行った。
「なに、借り物の封筒の中身?そんなのはなかなか手に入らないものにすればいいわよ。」
「なるほど!これは試練をかすものなのか?」
「そうよ!障害物も同じだから、頑張りなさい!」
流石に恭子はよく知っていたな。
ならば、その説明通りに難易度の難しいものを用意すればいいのか!
俺は直ぐに、可憐のところに戻って聞いた事を伝えた。
「あれ?なんか私の知っているのと違う気がするけど?」
「まあ、先生の言うことだからあってるさ。」
「そうかな?まあ、最終チェックするだろうから、借り物の封筒の中身は2人で半分づつにしようか!」
「了解した。」
これで、借り物の役割分担は問題ないな。
障害物の方も、とにかく障害になるものを、用意できる範囲であれば何でもいいらしいので、これも半々で用意する事になった。
俺としては、障害物にはあまりにも危険なものはダメだと言われたから、そうだな、まずば巨大な箱と、ピッチングマシン、それと最後の着替えに使う仮装を用意すればいいだろう。
本番まではかなり時間があるから、これは一回親父に相談してみるのもいいかもしれないな。
しかし体育祭か。
外部からも見に学園に入れる以上、気をつけておかないといつ狙われるかわからないな。
いつも読んでいただきありがとうございます!
次回は2017/9/30に更新予定です。