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再会と旅立ち

ドラゴンの従者に案内されてリンのところにやってきた。

案内された場所はドラゴンの訓練所だ。

訓練所はとても頑丈でドラゴンの熱戦や体当たりにも耐えうる装甲が床、壁、天井にまで覆われている。

リンは訓練所の中央でこの国の将竜の一体、『炎竜 ヴァーミリオン』と対峙していた。

リンの方は息が上がり今にも倒れそうなのに対しヴァーミリオンは余裕のある表情でリンを睨んでいる。


「どうしたリンよ?その程度ではロイ様を守ることなど夢のまた夢だぞ?」


「はあ・・・はあ・・・ま、まだまだです。」


俺は従者のドラゴンに礼を言い訓練が終わるのも待つことにする。


リンの攻撃はとても激しい。

尻尾を叩きつけや体当たり、爪による引っ掻きや嚙みつきなどを行っているがヴァーミリオンは涼しい顔で躱したり翼でガードしたりしている。


「何度言えばわかる?!攻撃を激しくするだけでは戦いには勝てぬと言っているであろう!!」


ヴァーミリオンはそう言うとリンの突進を躱し尻尾を頭に叩きつけた。


「グゥ・・・ガ・・・。」


バタッとリンが倒れてしまった。

俺は慌ててリンに駆け寄りながらヴァーミリオンに問う。


「おい、大丈夫なのか?こんなに傷付けて。」


「む?これはこれはロイ様・・・こんなところまでお越しいただきありがとうございます。リンなら心配には及びませんぞ、ドラゴンはこの程度の傷ならば数十分もあれば回復いたしますゆえ。」


「それならいいけど見ていて痛々しいな・・・。」


「お優しいのですな。む?そろそろ目を覚ましますな、では私は下がらせていただきます。」


ヴァーミリオンはそう言うと頭を下げて訓練所から出て行った。


「う、う〜ん・・・頭痛い・・・。」


「よう、大丈夫か?チビッ子死神さん。」


俺が声をかけるとリンは驚いて飛び起きた。


「へ?!この声は転生したあの人ですか?!」


「そうだよ、竜王の息子の一人らしい。今の名前はロイだ。」


実は俺はまだ兄妹に会ったことがないのだ。なぜかは分からないが何か理由があるのだろう。

それよりも今はリンのことだ。


「リンはどんなドラゴンなんだ?見たところ黒いドラゴンのようだけど?」


リンの見た目は一言で言うと美しい黒竜だ。

すでに再生しきった鱗は光を一切反射しない漆黒の色をしている。

瞳の色は血のような赤だ。

多分初めて見たときのような子供っぽい感じは完全になくなっているだろう。

人間じゃないのに美しいと思うのはやはり俺がドラゴンになったからなんだろうな。


「はい、私はロイ様の直属の従者です。種は黒竜です。今まではロイ様にお仕えするには力が足りなかったので炎竜様にお頼みして鍛錬をしていただきました。まだ炎竜様に傷一つ付けることもできませんが。」


「そ、そうか。まあほどほどにしとけよ?死んだら意味がないからな!」


「私には勿体無いお言葉です。ありがとうございます。」


リンはあくまでも淡々と事務的にそう答える。


ふぅむ・・・俺ってなんか嫌われてる?

初対面のときもあまり怒っていなかったはずなんだが・・・。

まあいいか。


「そろそろこの国を出て自分の国を作ろうと思ってる。父上はやりたいことをやらせる方だから反対はしないと思うけど説得してみる。」


実は俺が転生先で一番やりたかったことは自分の国を作ることなのだ。しかも転生先は竜王の息子だ。

子供だが箔は足りてるだろう。


急にそんなことを言ったせいかリンは軽くポカーンとしながら「は、はあ・・・。」と、間抜けな返事を返してきた。


「じゃ、そういうことだから。」


俺はそれだけ言うと訓練場をあとにした。

俺はそのまま玉座の間に向かった。

玉座といっても人間の王が座るような豪華な椅子などはない。せいぜい豪華な毛皮ぐらいだ。

父上はでかいからそれだけ玉座の間も広い。


「父上、今はお時間はよろしいですか?」


俺は玉座の間に着くなり父上に聞く。

父上は玉座の間だというのに寝そべっていたが俺を見るとまるで来るのを予想していたように口を開いた。


「む?ようやく来たか、待ちくたびれたわ。お前の用事はこの国を出て行きたいことだろう?」


「・・・気が付いていたのですね。」


俺は内心驚きつつそれを表情に出さないようにしながら話を続ける。


「この国に不満があるわけではないのですが私は自分の国を自分の手で作ってみたいという夢があります。それにこの国には私がまだ会ったことのない兄妹もいます。私は彼らと王の座を争って戦いたくなどありません。なので是非とも許可していただきたいのです。」


俺がそう言うと父上はフッと目を細めて笑った。


「子供が立派になったではないか。そんなことを言える者はなかなかおらぬぞ。お前を見てると昔の我を思い出すわ・・・良いだろう、旅に出るがいい!そしてこの国以上の大国を作ってみせよ!どのような国になるか楽しみにしておるぞ?」


父上はそう言うとゆっくりと立ち上がって言った。


「では今日は宴でも開くか!息子の旅立ち前の送別宴だ!ついでに兄妹にも会うといい。初めて会うから緊張するだろうが気楽にするがいいぞ。ハッハッハッハ!!」


俺は父上に感謝しながら疑問に思っていたことを聞いてみた。


「父上、なぜ私は兄妹と会わせてもらえなかったのでしょうか?」


それを聞くと父上は少しだけ悲しそうに下を向いて言った。


「我には六人の兄妹がいたのだが長兄は王の座が欲しいあまりに自分の兄妹を、家族を殺して回っていたのだ。その中には生まれたばかりの妹もいた。我はそうならないために長兄を殺した。ここまで言えばわかるだろう?最低でも皆が同じ土俵に立ってから争ってほしいのだ。できれば殺し合い以外の形でな。」


なるほど、つまりもしかしたら俺が殺されるかもしれないから他の兄妹には黙っていたということか。納得した。


「質問に答えていただきありがとうこざいます。失礼いたしました。」


俺はそれだけ言うと玉座の間から立ち去った。

3話まで書いて気付いたのですが短すぎますねら。

次からは文字数が増やせるように頑張ります!

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