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【黒歴史】ジュエル・ハンターズ ~八つの宝石~  作者: 水野 洸也
第二章 運命、選ばれし存在
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6、バティーミウスの洞窟(2)

「ソレイユサンダー!」


 この技は、剣を手で持たずに[鞘にしまい]、相手に向かって全力で走り、その勢いを止めずに前にジャンプする。そして着地は足ではなく、手でする。そして地面に着くと同時にOSGの力でまたジャンプ。足よりも高く跳ぶことができて、でかいやつ相手でも、頭上へと攻撃することができるんだ。しかもその攻撃は、まだ走ったときのスピードが残っているから、「OSG+スピード」で相手に強力な一撃を与えることができる、こういう技なんだ。


 オレの剣が空中で抜かれ、相手の頭めがけて剣をふりかぶった。


 そして、ドグラミスの頭部に正確にふりおろすことができた。


「グゲェェェ!」


 しかし、やつは残った力でオレの方に腕をのばしてきた。やばい! オレは今空中にいて逃げられない! どうしよう!


 その時、サリィがドグラミスにダガーを投げつけた。それと同時に、ザーロックの呪文が聞こえる。


「ストライキング!」


 その呪文がダガーにかけられると、ダガーはおそろしいスピードになり、一直線に、なおかつ正確にドグラミスの首をねらう。


 ドスン。鈍い音とともに、ドグラミスの頭は地面に落ちた。そしてオレをねらっていた腕は、力なく下にたれた。ドグラミスは力尽きて、後ろに倒れた。ズダーン。


 オレたちはこの怪物を殺したのだ。首なしの状態は、とても気持ちが悪かった。


 オレたちはサリィの所に集まり、口々に言う。


「オレの命を助けてくれて、本当にありがとう」

「あのタイミングでダガーを投げられるなんてな。さすがはエルフだ」

「あのときは、ソレイユを助けようと、無我夢中でやったことなの。助かってよかったわ」


 オレはにかっとサリィにほほ笑んで見せた。するとサリィもにこりと笑った。


 そして、ソロイがバティーミウスに向かって言う。


「さあ、バティーミウスさんたち。ここからさっさと出してもらおうか」




 バティーミウスは素直に俺たちの力を認め、親切に道案内をしてくれた。


「ここをまっすぐ行けば出口だ」

「ありがとナン。機会があればまた会おうナン」


 しかしバティーミウスどもはナオの言葉を無視して、「ここからはお前らだけで行けるだろう」と言い、どこかに行ってしまった。


 オレらは歩きだす。するとザーロックがオレに話しかけてきた。


「おい。お前が最後のほうで決めた技、かっこよかったぞ」

「ん? ああ、そうかな」

「思わず言葉を失ってしまったよ。たしか『ソレイユサンダー』とか言ったっけ。本当に雷があの怪物に直撃したようだったよ」

「自分でもそう思うよ」


 そしてザーロックは背中にあった剣を抜いた。


「この剣をお前にやろう」


 何? 剣をオレにくれるって? オレはその剣をじっくりと見る。


 その剣は大きさも長さも普通だ。しかし、刃の部分は青白く光っていて、時々ビリリと電撃がほとばしっている。


 なんなんだ、この剣は? ザーロックがまるでオレの心を見透かしているように答える。


「ああ、この剣は『ライジングソード』、別名『いかずちの剣』といって、不思議なことに電撃の力を持っているんだ。お前にぴったりの剣だろう」


 確かに。オレの技「ソレイユサンダー」に適している剣だ。この剣で技を出したら、本当にかっこいいだろうな。オレはそんな事を考えて、思わず口がだらしなくゆるんでしまった。


 そんなオレにソロイやナオが気付く。


「おい、そのだらしない口もとはどういうわけだ?」

「あっ! その剣はザーロックの大事なライジングソードじゃないか! ソレイユにあげたのかナン?」

「ああ。私はプリースト。昔は剣士だったが、今は違う道を歩んでいるから、この剣を彼に託そうとしたんだ」


 ザーロックの言葉にソロイとナオは何も言えなかった。


 ソロイがオレに言う。


「おい、ソレイユ。オレにもその剣にぎらせてくれ」


 そう言ってオレの剣をつかんだ。すると、バチバチッという音に続き、ソロイの体に電撃が流れた。


「ぐがあぁぁ!!」


 ソロイは剣にさわった手をもんでうなっている。変だな? オレが握った時はこんな事、起こらなかったぞ?


 するとザーロックが言う。


「ライジングソードは一種の魔法剣。その剣はソレイユを主人だと認めたから、電撃は流れなかったんだ」


 へぇ。この剣はオレに忠実だってことか? オレはその場で剣舞を披露してみた。


 剣を振りまわすたびに、電撃がビリリッとほとばしっている。その剣舞は自分でもびっくりするほどかっこよく終わった。


 サリィが小さな拍手をしながら言う。


「すばらしいですね」


 オレの顔は赤くなった。




 そんなこんなで、やっとバティーミウスの洞窟を抜けた。ナオが目をこすりながら言う。


「ふーっ。生きた心地がしなかったな」


 オレたちは西にしずんでいく太陽を見ながら……ん? 西にしずんでいく太陽?


 太陽はオレたちから逃げるように、まぶしい光を出しながら、月へのバトンタッチをしようとしていた。


「すばらしい眺めだな」


 ソロイらしい感想だ。ザーロックが言う。


「太陽がしずまないうちにここがどこなのかを把握しなければいけないぞ、お前たち」


 その時、オレは初めて思いがけない事実を知った。


 オレたちは、今ファーザン・ドウアーのどこにいるのか、まったく分からないんだ。オレたちはあわてふためき、おろおろしていた。


 そこにサリィの声が響きわたった。


「みなさん。あそこに人間の作った道案内の看板があります」


 全員がサリィに注目した。彼女は指である一点を指している。しかし、そこには何もなかった。どうしたんだ? するとザーロックが言う。


「エルフは私たち人間よりも非常に視力がいいと聞いている。サリィ、そこまで連れて行ってくれませんか」


 サリィはうなずくと、歩き出した。オレたちがそのあとに続く。


 約二〇分ほど歩くと、そこに看板があり、こう書いてあった。



  ここより北西に三〇〇メートルにターナグの都市あり

  ここより東に四百キロ八〇〇メートルにネフド砂漠あり



 なんと! オレたちはファーザン・ドウアーの東に来ていたのか! バティーミウスにつかまった時に、かなり東に流されてしまったらしい。ソロイが言う。


「今回は近くの都市、ターナグに泊まることにしよう」


 全員がこの意見に賛成し、北西に歩きだした。

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