5、バティーミウスの洞窟(1)
オレは目を開けた。そこは暗い部屋の中だった。他のみんなはまだ目を覚ましていない。オレは周りを見わたしながら考える。
オレらは呪文を聞いたとたんに目がまわり、気絶してしまったんだな。だとしたら、そこで聞こえていたブーンと言う音を出していた何者かが、呪文を唱えてなぜだか知らないがオレたちをとらえた。
「うわ、ここはどこだ?」
ソロイが目を覚ましたようだ。それに続いて他のみんなも目を開ける。
オレらがざわざわしていると、部屋の外から声が聞こえた。
「やっと目覚めたか。くさい人間どもめ。その部屋からは絶対に出られないぞ。せいぜいあがくんだな」
オレたちは部屋のすき間から外の様子を見る。すると、外には、やけに小さい生き物がうろついていた。この生物は……。
「バティーミウスだな。フェアリーの亜種で、魔法も普通程度なら扱うことのできるやつらだ。だとしたら、ここはバティーミウスの洞窟か?」
ザーロックが言った。そこへ、ナオの声が入ってくる。
「くそ、油断していなければ、魔法で防いでやったのに!」
そう言って、拳で壁を殴った。サリィが言う。
「ごめんなさい。私は音にあなたたちよりも早く気づいてたのに、気のせいだと思って、言わなかったのよ。それに、魔法のエネルギーはすでにからっぽで。本当に私、みんなの足手まといですね」
「いや、サリィのせいじゃないよ。とりあえず今は、どうやってここから出ようか考えようぜ」
オレたちはそれぞれ思い悩んだ。そのとき、外から声が聞こえてきた。
「お前たち、外へ出てこい。最高にすばらしいものを見せてやるぞ」
そう言うと、部屋のとびらが開いた。オレたちは注意しながら外へ出ると、バティーミウスが数匹でオレらをかこんだ。そして、無言でバティーミウスの指示を受け、ある部屋へと入る。
そこは、とても広い部屋で、高さは二〇メートルくらいはありそうだ。そして、真ん中にいる怪物を見つめる。
その全身で四メートルはあるであろう巨体は、バティーミウスの体にそっくりだ。顔はみにくく、体は筋肉でおおわれ、翼を広げ、ツメは長いかつ鋭く、全身黒の体毛で、体内からはものすごいパワーがあふれている。
その怪物は言う。
「せいぜい私を楽しませてくれ。私を倒せば、ここから出ることができるから、本気でかかってこい!」
なんだこの怪物は? オレは質問する。
「できれば、あんたの名前を教えてくれないか」
すると、怪物は言う。
「私の名は、ドグラミス。私は、強い奴が大好きなんだ。よく覚えておくんだな」
その言葉と同時に、オレたち剣士は剣を抜き、ザーロックは呪文を唱え始めた。
サリィは、周りの状況を確認するサポート役だ。時には、ダガーを投げつけようと、手に持っている。
そして、オレたち剣士がドグラミスの方へと走った。
「ソレイユとソロイは左右から切りつけてくれ!」
ははは。オレの体は、オレの気持ちで動くんだ! 切りつけてやるといわんばかりにオレは左に走る。
ナオが前で剣を構え、呪文を唱えた。
「ドレットスマッシュ!」
鮫がドグラミスの体に直撃した。しかしまるで効いていないようで、ナオの体へツメをふり下ろす。そこへザーロックが呪文を唱えた。
「フリング!」
するとナオは敵の後ろへと瞬間移動した。そして[ドグラミスの]左右と後ろに剣がとびこんだ。
しかしドグラミスの体は予想以上に硬く、俺だけが切りつけることができた[ソレイユはOSGをはめているため]。しかしそいつは平気で呪文を唱える。
「ボディバイオ!」
ドグラミスの体から半径五メートルの爆発が起きた。オレたち三人はふきとばされ、ゆかに思いっきり体をぶつけた。ザーロックの呪文をかすかに聞こえた。
「キュアポインター!」
おお、おお! 体の痛みが消えていく。ソロイとナオも同じ効果を得たようだ。オレたちは立ち上がり、再び三人で固まる。
ちくしょう、こいつは強すぎる。ドグラミスは叫ぶ。
「オォ、いいぞ! もっと楽しませてくれぇ!」
そう言ってドグラミスが呪文を唱える。
「ガノン・ジオウ・ギオウ!」
それは、言葉を失うほどのすごさだった。
三匹のドラゴンが、剣士三人におそいかかる。そのドラゴンは体長二〇メートルはあり、口の大きさは五メートルぐらいある。このやろう! 三人同時かよ! しかし三人は固まっていたので、それは幸いだった。
「デーモン・チャクラ・アメイド!」
ナオが唱えたその呪文は、超巨大な悪魔だった。ドラゴン三匹と悪魔一匹がぶつかり合う。
オレはある事に気づいた。
呪文を使い続けているから、今ドグラミスは完全に攻撃のかっこうの的だ。そこでオレはあの怪物に向かって走り出した。
ドグラミスとナオの呪文は今のところ一歩もゆずらない。そこへザーロックが呪文を唱えた。
「スネクド・アズドン!」
ザーロックの手から出たのは、これまた巨大な蛇だった。その蛇は、全身がトゲでおおわれており、これがドグラミスのドラゴンに体当たりをぶちかました。
しかし、それでもドラゴンは一匹消えただけで、まだ二匹残っている。そこで蛇がドラゴンに、そのトゲだらけの体を巻きつけた。ドラゴンはさすがにそれにはたえられず、消えてしまった。勝った悪魔と蛇がドグラミスにおそいかかった。ドカーン。
「グガアァァ!」
そこへオレの技がとびこむ。くらえ、オレの新技を!




