表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/53

26、ジャックフェアリーの暴走?(2)

 初めに不満の声をあげたのはソラだ。


「へぇ? 自分を信じて、壁画の扉に突っ込むってわけ? 一つ言っておくけど、戦いの扉はぜーったいにいやよ」


 みんなの視線が一斉にオレに集まる。ちょ、ちょっと待ってくれ。


「ソラが言うには、入りたい道の扉に体当たりするのか? そんなのやって、鼻がつぶれたらどうするんだ!」

「じゃあ、どうしろってのよ」

「うっ……分かった」


 全員の意見が一致して、オレは戦いの扉、しかも一番目にぶつかる事になった。でも、どんなやつと戦えるか楽しみになってきたぞ。


 三人の話し合いの結果、ソラが迷い、サリィが飛ぶ、ダイスが逃げるになったようだ。悲しいが、この中でまともに戦えるのはオレだけかも知れないな。剣を持ってるのもオレだけだし。そんな事を考えながら、助走をつける。


「がんばってね、ソレイユ~♡」


 ズドドー! 甘えた声のトーンで、つまづいて転んでしまった。言い返す前に、ゴロゴロ転がったまま扉にぶつかった……? いや、すりぬけたといった方が正しいだろう。壁にぶつかった感触はなく、立ち上がってみると、まるで違う世界にきていた。


「下がマグマだ……水中なのに」


 オレの頭がおかしいんだろうか。前方には一本の道があって、辺り一面がマグマだ。入った時から汗が止まらなかった理由がようやく分かった。


 オレは特に何もする事がないから、唯一の道を進み始める。


「魔法ってのはすごいな」


 マグマが本当でないくらいはオレにも分かる。壁画も、おそらく呪文によって作り出されたものだ。


「おやっ、あれは……ナオ・チャン?」


 少し広い場所に、Aさんことナオ・チャンが立っている。こっちに気づくと、魔法を使ってきた。


「ド。ベギャダ゛゜コ、―ロ=……」


 ガッシャーン! すごい音がしたかと思うと、でっかいオノが上から降ってきた。とっさに後ろに飛んだが、刃がオレの腕を切断する。


「ぐ、あああっ!」


 むなしくマグマへ落ちるオレの腕。だが痛みに苦しんでる暇なんてない。ナオ・チャンが続けて唱えてきたからだ。


「゜゜゜゜゜゜=、、、、、、、ガゴヂ、ドラドラドラドラ」


 くっ。次に来たのは、何千本という剣だ。ESBでかわすが、一本に足をスパンと切られる。わずかなすきもなく、右耳や残った方の手の小指、足の親指に中指。もはや痛みが感じられない。剣が消えると、ナオ・チャンやウェンス、帝王に囲まれる。


「ダウソンゲハレコ」


 帝王が言った。何を言ってるのか、さっぱり分からない。


「イナハミタイ。ダウホマテベス」


 ウェンスが優しく言う。ん、ちょっと待てよ? こいつらの言葉を、逆から読んでみると……。


 最後にいつのまにかいた兄さんが言った。


「ダンルイテレサマダデウホマハエマオ」


 ははは。ようやく分かったぞ。


「このマグマも、お前らも、痛みも苦しみも、すべてイカサマだ。オレにこんなせこい真似をしたのは、誰なんだ!」


 言い終わると、オレは遺跡に立っていた。マグマなんてなく、たいまつと石でできた壁と床があるだけだ。そして、一人の男がこっちをにらんでるだけだ。


 そいつはくやしそうに壁を拳で叩く。


「ちくしょう、どうしてだまされなかったんだ! お前の心の一番弱いところを攻めたのに!」

「オレには、やるべき仕事がある。達成されるまでは、オレの心は魔法なんかでくじけないんだよ」

「私の負けだ。奥に進んでいいぞ」

「おっ、ありがとよ」


 オレは走りながら出口へ向かう。やっぱり、あれは幻覚を見せる呪文を使用していたんだな。帝王には感謝できないが、兄さんが助けてくれてよかったぜ。まあ本人は意味が分からないと思うけど、礼は言っておくよ。


 とうとう出口だ。外に出ると、仲間たちがもう集合していた。


「みんな! 無事ゴールできたんだな」

「けっこう楽しかったですよ、新しいアトラクションみたいで」


 ダイスはずいぶんおもしろかったんだな。人よりもかなり速いから、迫りくるトゲから逃げるのなんて、朝飯前だろう。サリィとソラもいい表情をしている。


「ソレイユはどうだったの? なんだか、元気がないみたいよ……」


 ソラが唐突にきいてきた。背後のフェアリーに気づかずに。


「その話はあとにしようぜ。オレはもっと重要な事があると思うんだよね」

「えっ?」

「後ろだよ、後ろ」


 彼女はようやく、三大賢者の一人がいるのを認識できた。ゆっくりとふりかえる。


 全員がジャックフェアリーを見る。すると彼はにっこり笑って言う。


「ようこそ、我がフェアリーの遺跡へ」


 えっ? 反抗期で凶暴になってたんじゃなかったのか? もう何が何だか全く分からん。どこかに通訳はいるかー。


 オレがしんちょうにきいてみる。


「あ、あのー、反抗期はどうなたんですか」

「それならもう克服した」

「何だってー?」


 四人が驚きの声をあげた。ジャックフェアリーはあいかわらずにこにこしながら話す。


「おっと、自己紹介がまだであったな。私はジャックフェアリーのジオス。そなたたちの名は?」


 オレたちは落ち着かないまま言っていく。全員が終わると、また人のよさそうな笑みをうかべて言う。


「そなたがヘーレゴニーの王位相続者か。若くて大変な時もあるだろうが、あきらめないでほしい」

「わかりました。ところで、私以外の三人はジュエル・ハンターズなんです。宝石はどこにありますか」

「ジュエル・ハンターズだと……」


 ジオスは下を向いたまま、動かなくなった。オレたちは、静かに言葉を待つ。


 彼はとうとう重い口を開ける。


「私は三大賢者。宝石との関係が最も深い者たちだ。すべて天空の城に納めた時……私たちは真の姿になるのだ」


 難しい話だな。しかも、天空の城って何だよ!


「あの、ちょっといいかな。天空の城ってどこにあるんだ」

「この大陸を見下ろせるところ、つまり大空だ。ジュエル・ハンターズなのに知らなかったのか」

「全然」


 ジオスはこっちに近づきながら言う。


「そなたたちはまだ知らない方がいいだろう。少なくとも、今は。宝石を全部集めれば、自然と導いてくれるぞ」

「誰が?」

「ルクシーノとハンドルートだ」

「えっ?」


 意外にも反応を示したのはダイスだ。オレも多少は驚いてるけど、そこまでびっくりするなよ。


「ルクシーノといえば、とっくに死んだんじゃないんですか? 五百年前の人物ですよ」


 あ、そうか。ダイスは一つ目の宝石を手に入れたあとに仲間になったから、シュナイドの話を聞かなかったんだっけ。でも、ソラは別に動揺する様子がない。


「ソラはルクシーノが生存してるのを聞いた事あるのか」

「えっ? だって、エルフの森とかで話してくれたじゃない」


 そうだっけ。そうだ、思い出したぞ。寝る前のあいてる時間にきかせてあげたんだ。オレはそのあとのキスを思い浮かべてくくくっと笑った。


 オレは笑いをおし殺して言う。


「で、宝石はどこにあるんだ? あ、その前に、頼み事があるんだった」

「言ってみろ」

「地表に戻る時に、〈ニ・グリーメ〉を唱えて、オレらを魚人間にしてくれないか」

「魚人間? わかった。宝石はというと、私の後ろの通路の奥にあるぞ」

「じゃあ行くぞ、みんな」

「そうね」「そうですね」「そうしましょう」


 ジオスに背を向け、歩き出す。よし、とうとう三つ目の宝石が見つかったんだ。わくわくしながら、目の前を見る。


 そこに、紫に輝く宝石がある。少し意地をはりながらも堂々と光っているな。


「じゃあ、触れる準備はいいか?」

「いいわ」「OKです」

「せーの!」


 シューン!


 同じように異世界に来たな、おそらく。近くにはサリィとダイスが上から舞い降りてくる天使を見ている。天使は話し始めた。



 ジュエル・ハンターズは残り五人

 宝石も残りは五個


 帝王が動きだしています

 さらに追っ手も近づいてきています


 ソレイユ、そしてサリィよ

 その腕輪はあと数時間であなた二人の

 自由を奪います


 つけている方の腕をこちらへ……



 オレとサリィは言われるままに腕を差し出す。天使が言葉をつぶやくと、腕輪が光り出し、黒いものがどんどんぬけていく。どうやら、呪いが解けたようだな。



 これで大丈夫

 あなたたちに幸運を……



「ま、待ってくれ! あなたの名前は!」



 私は 聖天使アルティマです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ