表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/53

12、アジトを探せ(2)

「起きろ、朝じゃ」


 見ると、目をこすりながら立っているドスがいた。


「日差しがさしこんでこないから、すっかりねぼうじゃ。もう朝の九時じゃぞ」

「やばい、みんなを起こそう」


 約五分後、ようやく全員が目を覚ました。出発しようとすると、ドルがオレに何かをくれた。


「この袋に、宝石を入れろ」

「ありがとな」


 早速二つの宝石を中に納める。そして別れを告げ、宿から出た。


 その時だ。急にぞくっと殺気を感じた。まさか?


 立っていたのは、男だった。そいつはつぶやく。


「今から十分で都市の北にある爆弾のスイッチを止めろ」

「おい。今、爆弾って言ったか?」

「間に合えば、次の指示を出す。魔法は絶対に使うな」


 男はどこかに走り去ってしまった。


「早く行かなければ、多くの人が死んでしまう」

「今いるのは都市の南側ですよ! 僕の足でも、スイッチを止めるのは不可能です」

「サリィ、ハーストの呪文を使ってみたら?」

「さっきの男が魔法は使うなと言ってたわ。ということは、使えばすぐ爆発させるんじゃないかしら」

「じゃあ、どうするんだ、くそっ!」


 だが、オレには考えがあった。ESBを取って、言う。


「これをはいて、走れ。間に合うはずだぜ」

「でも……」

「いいから、全力で走るんだよ!」


 ダイスはすぐにESBをはいて、北に走った。


「オレたちも、急いで向かおう」


 オレたちも走り出した。ソラは、時計で時間を気にしている。


「大変。私たちが話してる時間だけで二分失っているわ。だから、残り八分……」

「がんばれ、ダイス!」


 いくらか走り、残り時間が一分を切ってしまった。オレたちはまだ南の区域を走っている。道に迷うかと思いきや、ダイスの超スピードで市場のみかんが転がってたり、道にもブレーキの跡があったから、楽勝だった。


「あと二十秒!」


 ソラの声が響く。ソロイは言う。


「爆発すれば、ダイスも死んでしまうぞ、きっと」

「それは、やばい!」


 彼はジュエル・ハンターズなんだから、死んでしまえば終わりだ。ここまでの苦労が、すべて水の泡になってしまう。


「あと五秒よ! 四、三、二、一、〇!」


 思わず耳をふさぐ。だが、爆発はしなかったようだ。ソラがうれしそうに手をたたいた。


「やった! 間に合ったのね!」

「オレたちも、早くそこに行こう」


 夢中で走った結果、およそ一時間で着いた。そこには、ぐったりと地面に寝そべっているダイスがいた。


「ダイス、大丈夫か?」

「はあ、はあ、ちょっと、全力で、はあ、走りすぎました」

「よくやったな。じゃあ、ESBを返してくれ」


 兄さんと違って、欲というものが彼にはないようだ。普通、すんなりと返すか? まあいいか。オレはESBをはいた。


 すると、また同じ男がこっちに歩いてきた。


「まさか爆弾を止めるとはな」

「驚いたか?」

「まあまあ。それより、次だ」


 男はオレに紙を渡してきた。みんなに見せて、読み上げる。


『今から十二時までに俺をつかまえろ。そうすれば、アジトへ案内する』


「つまり、鬼ごっこをやれと?」

「そうだ。この勝負は魔法を使ってもいいぞ」

「わかった」

「三十秒数えてから、オレを探せ。もちろん変な真似はするな。数十個の爆弾がたった数秒でマーナリンをふきとばす。もちろん、この勝負で負けてもそうなるが」

「お前にタッチすればいいのか?」

「そうだ」

「よし、じゃあ数えるぞ。ソラ、頼む」


 彼女はうなずき、時間をはかり始めた。男はどこかに逃げてしまった。


「大規模な鬼ごっこだな。それも、マーナリンという人質付きでな」

「絶対勝たなくちゃな、みんな」

「そろそろ三十秒よ」

「いよいよだな」

「逃げた方向は南西ね」

「サリィさんは、男を探知する呪文を」

「そうね」

「三十秒になったわ」


 サリィはそれを合図に唱え始めた。しばらくして彼女は叫んだ。


「ディレクトヒューマン!」


 そういうと、南西に指差した。


「あっちに約三〇〇メートル先よ!」

「じゃあ、オレとダイスが男に追いつくから、ソロイとソラはサリィと一緒に男を追うんだ」


 オレはそう言って、ダイスと走り出す。周りの市民が何事だ、と口をそろえて言っている。だが俺らはシカトした。


 十分くらい走ったが、全然見つからない。


「どうする、ダイス」

「とりあえず南西の区域を探しましょう。おそらくまだこの区域にいるはずです」


 その後も十五分走ったが、全くダメだ。


「あーっ、どうする」

「あっちにいます!」


 見てみる。あ、さっきの男だ。オレたちがここにいるのを知らずに、オレらの方に走ってくる。


「見つけたぜーっ!」

「うわっ。逃げろ」

「追いかけるぞ、ダイス」

「もちろんです」


 追跡を開始する。だが男の足はおそろしく速い。あっという間に消えてしまった。


「くそ、逃がしたか」


 そこへ、サリィたちが来て、合流した。事情を説明すると、ソロイはうなった。


「それじゃあ、またダイスにESBを貸せばいいじゃないか」

「そして私の魔法で自分が空を飛びます。上空から私の視力で男を見つけて、メッセージの魔法で居場所をみんなに伝えます」

「ダイス、頼むぞ」


 またダイスにESBを渡した。そして、男が逃げた方向に走っていった。


「オレたちはどうするんだ?」

「あなたは男が近くにいたら魔法で攻撃し、足止めして。ソロイ、ソラは二人で行動して、市民の情報を聞いて男を探してね」

「作戦開始だ!」

「おーっ!」


 こうして、それぞれの行動に移った。


「フライ!」


 サリィが空に舞い上がった。エルフの視力は抜群だと聞いた覚えがある。すると、頭に言葉が流れた。


『あなたの近くにいます。北から南に移動中。あなたが今いる道を通りますよ』

「よーし、やってやる!」


 オレは建物の影に隠れて、チャンスをうかがう。やがて、だれかが走ってきた。タイミングを合わせて、呪文を使う。


「エレキフィールド!」

「ぐあっ」


 辺りが電撃の流れるフィールドになった。男はまんまとひっかかり、俺がひそんでいるのに気づかず、こうしてあんたの負けになるんだ。男に触れるためにオレも雷フィールドに足を踏みいれようとした時だ。


「う、わあーっ! オレもしびれるーっ!」


 なんとエレキフィールドは、魔法使用者にも効くみたいだ。しかも騒ぎを聞きつけて人々が集まってきたから、オレは呪文を無効化した。オレは剣を杖がわりにしてかろうじて立ち、男もよろよろしてたが、すぐ逃げてしまった。


 市民の一人が話しかけてきた。


「おい。今の男は何だ?」

「作戦を思いついたぞ」


 市民はよく分からない、という顔をした。しょうがない、このすばらしい作戦を発表してやるか。


「お前ら。この金貨が欲しくないか?」

「おおっ!」


 市民の息を飲む音が聞こえる。


「さっきの男をつかまえた人にこれをくれてやる。だから、必死で探せぇーっ!」

「うおおー! 男を見つけろ! 金貨はオレのもんだ」

「オレがいただいてやる!」

「手に入れるのは私よ!」

「おいらだ!」

「ぼくだ!」


 市民は言い争いながらも、手分けして探しだした。こんなだいたんな作戦にでるとは、あの男も考えなかったはずだ。まさか数千人の市民を敵にまわすとはな。


「うっ、さっきのダメージが大きいみたいだ。ちょっと休もう」


 オレはそこらへんの道に座った。オレはうっかり眠ってしまった。




 何分たったか知らないが、だれかがオレをゆすっていたから、目を覚ました。


 いたのは、ソロイ、サリィ、ソラ、ダイス、そしてたくましい男、最後にあの逃げまわっていた男だ。ソロイが説明する。


「この人がつかまえてくれたんだ。どうやらソレイユと何か約束をしたらしいが」


 オレは金貨をピーン、と指ではじいて、男に渡した。すると男はにやっと笑い、満足そうに歩いていった。


「ソレイユ! こんなにいい作戦があったのに、何で言わなかったのよー」

「いや、オレもついさっき考えついたんだよ」

「じゃあ、案内してもらいましょう」

「わかった。ついてこい」


 オレたちは勝負に勝ち、ついにアジトへ進入した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ